歯ぎしり・食いしばり

bruxism

歯ぎしり・食いしばりの持続時間が長いと様々な悪影響があります。

朝起きたとき、顎が疲れていたり、だるいなどの症状はありませんか?それは、夜中の「歯ぎしりや食いしばり」が原因かもしれません。
程度に差はありますが、実は2人に1人が歯ぎしり・食いしばりをしているというデータもあります。その中には自覚症状ない方も多くいらっしゃいます。
歯ぎしり・食いしばり自体は、生理的な現象のひとつですが、その持続時間・期間が長いと「歯」・「周りの歯茎、骨や筋肉」・「顎関節」と様々に悪影響を及ぼしてしまうため注意が必要です。

歯ぎしり・食いしばり
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歯ぎしり・食いしばりの症状

歯・歯周組織への症状

歯・歯周組織への症状

・歯がすり減る、ヒビが入る、根っこが折れる
・知覚過敏が生じる
・歯が痛くなる
・詰め物がよく取れる
・歯周病の悪化

筋肉の症状

筋肉の症状

・顔のエラが張ってくる
・肩が凝る
・頭痛が生じる

顎関節の症状

顎関節の症状

・顎が痛い
・顎がカクカクする
・口が開けにくい、閉じにくい

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歯ぎしり・食いしばりの原因

歯ぎしり・食いしばりの発生原因はいくつか分かっておりますが、個人差がかなり大きい生理的な現象であり、発生自体を制御するのはとても難しいと言われています。

01

ストレス

ストレス

歯ぎしりの大きな原因はストレスだと言われています。
大きなライフスタイルの変化による不安・緊張や、日々のストレスを感じることで、交換神経優位となり、歯ぎしりが強くなります。
歯ぎしりすることによって、実はそのストレスの解消をしていると言われていますが、歯にダメージを与えるほどの過度な歯ぎしりは当然改善するべきです。

02

喫煙や飲酒

喫煙や飲酒

歯ぎしりは、浅い眠りのレム睡眠時に起こることが分かっており、飲酒や喫煙や過度のカフェイン摂取は睡眠が浅くなる原因になります。

03

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群

脳の酸素量が減りやすいため、浅い眠りのレム睡眠になりやすく、歯ぎしりが生じやすくなる原因となります。

04

TCH(Tooth Contacting Habit)

TCH(Tooth Contacting Habit)

端的に説明すると「日中の噛み癖」になります。「歯ぎしり・食いしばり」と並ぶ、咬み合わせの悪習癖がこのTCHです。
通常、上下の歯が接触している一日の平均時間は20~30分です。
実は一日のうち殆どの時間は咬んでおらず、唇は閉じていても上下の歯は2mmほど隙間があるのが正常なポジションです。
そして夜だけでなく、日中にも噛み癖が無意識のうちに出てしまう方が多くいらっしゃいます。それはギリギリと食いしばっている訳ではなく、上下の歯がピタッと当たっている程度です。
その程度の力でも、通常の20~30分/日を大きく超えてしまうため長時間・長期間続くと、歯や顎に対してダメージになってしまいます。
力仕事以外にも、家事や読書、テレビを見ている時など、物事に集中していると生じやすいと言われています。

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歯ぎしり・食いしばりの治療法

マウスピース

マウスピース

歯ぎしりなどで歯と歯が直接当たって過剰な力がかかると悪影響が出てしまうため、就寝時はマウスピースを装着し、クッションの役割として力を分散し「歯と顎関節をリラックスさせる」のが目的です。症例に応じて、ハードタイプ・ソフトタイプの材質や厚みを変えていきます。型取りをして、一人一人の咬み合わせにあったオーダーメイドのマウスピースを作成します。
また顎関節症の方には、日中の使用もご指導する場合があります。

行動変容(行動認知)療法

行動変容(行動認知)療法

TCHを意識によって抑制する方法です。
①数秒咬んだ後、歯を離して、当たっている時と当たっていない時の感覚を覚える。
②歯を当てないよう自身で注意する。
③よく作業する場所(パソコンや台所など)に張り紙をして、再認識のきっかけを複数作る。
即効性のある方法ではありませんが、TCHがある方は、就寝時により強く歯ぎしりが出やすいと言われています。逆にTCHを減らすことで、夜間の歯ぎしりの軽減も期待できるため、継続することが大切になります。

筋肉マッサージ

筋肉マッサージ

肩こり同様、凝った筋肉の緊張をほぐしてあげることで筋肉の血行が改善します。
マッサージの際に、痛気持ちいいと感じるようであれば凝っている証拠です。朝・晩や疲労時に一日2.3セット筋肉マッサージをすると良いです。

咬筋マッサージ

咬筋マッサージ

左右のエラの3cm程前方を指で押さえた状態の時に、グッと咬みこむと筋肉の盛り上がりが感知できると思います。そこが咬むときに一番大きな力が加わる「咬筋」です。人差し指などを使って、くるくると円を描くように30秒間マッサージします。

側頭筋マッサージ

側頭筋マッサージ

咬む時に使う筋肉の中で、一番面積が大きい筋肉です。
左右のこめかみにあり、ここが凝っていると片頭痛の原因になったりします。筋肉を、人差し指などを使って、くるくると円を描くように30秒間マッサージします。
※咬筋ほどではないですが、軽く噛みしめるとこめかみの部分で筋肉が膨らむような動きを実感できると思います。

咬み合わせの調整

咬み合わせの調整

誰しも歯並びが多少前後することで、歯と歯が強く当たっている部分もあれば、当たりが弱い部分もあります。それら咬み合わせの不調和によって、虫歯じゃないのに歯が痛くなったり、顎関節に負担が掛り顎関節症を引き起こしたりする場合があります。
多少の不調和の場合は、咬み合わせの調整によってバランスを整えることが可能です。

歯列矯正

歯列矯正

咬み合わせの調整には限界があります。そもそもの歯並びが適切な位置から大きくずれている場合は、歯列矯正を行い力学的に安定する歯並びに整えてあげるのが、理想的です。

ボトックス注射

ボトックス注射

ボトックスやボツリヌスどちらの名称もよく見ると思いますが、簡潔に説明すると、ボトックスはボツリヌストキシンと呼ばれる複合毒素から毒素を取り除かれて抽出されたタンパク質の一種です。
歯科でボトックス?と思われる方も多いと思いますが、皆さんがよく知っているシワ取り以外にも、筋肉を緩める状態にする作用があります。医科では、美容以外にも身体に麻痺が残ってしまった患者さんに対して筋肉をほぐすためにも活用されている安全性の高い治療法になります。歯科では歯ぎしりや食いしばりの治療に用いられます。
ボトックスをエラの部分に付着している「咬筋」に対して注射します。咬筋を弛緩することで、歯ぎしりの際に生じる力を軽減するのが目的です。
過剰な力を抑制するだけなので、食事がしにくくなることはありません。

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最後に

歯ぎしりしているけど「今が問題ないから」・「これくらい大丈夫」と考えていると、将来気づかないうちに大切な歯や顎が大きなダメージを負ってしまうかもしれません。
歯ぎしりの症状に心当たりのある方は、しっかりと対策をして、いつまでも健康に保っていきましょう。気になる方はお気軽に担当までご相談下さい。