2026年08月22日
【痛かった親知らず】抜歯後の腫れはいつまで続く?正しいケアと注意点【歯医者が解説】

こんにちは、篠塚歯科医院です。
「親知らずを抜いたら、思っていたより腫れがひどくて驚いた」「痛みがいつまで続くのか不安」というお声を、抜歯を終えた患者様からよくいただきます。特に下顎の親知らずは、まっすぐ生えていなかったり歯茎の中に埋まっていたりするケースが多く、抜歯後に腫れや痛みが出やすい傾向があります。今回は、親知らずを抜いた後の腫れ・痛みの経過の目安や、正しいセルフケア、注意していただきたい症状について詳しく解説します。
目次
親知らずの抜歯後に腫れ・痛みが出るのはなぜ?
抜歯は、歯を支えている骨や歯茎を傷つける処置です。体は傷を治そうとして血液や体液を集めるため、炎症反応として腫れが生じます。これは異常なことではなく、傷が治っていく過程で起こる自然な反応です。ただし親知らずは、他の歯に比べて根の形が複雑だったり、骨の中に埋まっていたりすることが多いため、抜歯にかかる時間や骨・歯茎へのダメージが大きくなりやすく、その分だけ腫れや痛みも強く出やすい傾向があります。
腫れ・痛みはいつまで続く?経過の目安

抜歯後の経過には個人差がありますが、一般的な目安は次の通りです。
- 抜歯当日〜翌日:麻酔が切れた後から痛みが出始めます。腫れはまだそれほど目立ちません。
- 抜歯後2日目:腫れが最も大きくなるピークの時期です。頬が膨らんで見えることもあります。
- 抜歯後3〜4日目:腫れのピークを越え、少しずつ引き始めます。
- 抜歯後1週間前後:多くの場合、腫れや痛みはほとんど気にならない程度まで落ち着きます。
当院でも、歯茎や骨の中に埋まっている親知らず(埋伏歯)の抜歯では、平均して3日程度は腫れる可能性があるとご案内しています。あくまで目安であり、抜歯の難易度や親知らずの生え方によって経過は変わりますので、心配な場合は無理に我慢せずご相談ください。
上顎と下顎で腫れ方が違う理由
親知らずの抜歯では、上顎と下顎で腫れ・痛みの出方に差があることをご存じでしょうか。一般的に、上顎の親知らずは痛みや腫れが生じにくく、下顎の親知らずは生じやすいといわれています。これは、下顎の骨が上顎に比べて硬く密度が高いこと、また下顎の親知らずは横向きに生えていたり骨の中に深く埋まっていたりするケースが多いことが関係していると考えられます。
特に注意したい「ドライソケット」
抜歯後の合併症として知っておいていただきたいのが「ドライソケット」です。通常、抜歯した穴には血のかたまり(血餅)ができ、これがかさぶたのような役割をして傷口を保護しながら治っていきます。ところが、この血餅が何らかの理由で流れてしまったり、うまく作られなかったりすると、中の骨がむき出しの状態になり、強い痛みが長引くことがあります。これがドライソケットです。
愛知学院大学口腔外科学第2講座の研究チームが、下顎の親知らず(埋伏智歯)を抜いた患者1,146人を対象に行った調査では、ドライソケットが起こった人は全体の5.4%(62人)だったと報告されています。年齢別では40歳以上の方でやや起こりやすい傾向がみられ、男女による差は見られなかったとのことです。この調査は日本口腔外科学会雑誌に掲載された論文によるものです。
数値だけを見るとそれほど高い確率ではありませんが、「抜歯後3〜4日たっても痛みが引くどころかどんどん強くなる」「傷口から嫌なにおいがする」といった場合は、ドライソケットの可能性がありますので、早めに歯科医院にご相談ください。
出典:河合俊彦ほか「下顎埋伏智歯抜歯の臨床的研究 第2報:ドライソケットについて」日本口腔外科学会雑誌 41巻11号(1995年)参考文献(J-STAGE)
抜歯後にやってはいけないこと

- 飲酒・入浴・激しい運動を避ける:血流が良くなると出血や腫れが強くなりやすいため、抜歯当日はシャワー程度にとどめ、飲酒や運動も控えましょう。
- 強いうがいをしない:血餅が流れてしまい、ドライソケットの原因になることがあります。うがいは控えめにしましょう。
- ストローの使用を避ける:吸う動作で口の中が陰圧になり、血餅が外れやすくなります。
- 傷口を舌や指で触らない:気になっても触らないようにしましょう。
- 硬いもの・辛いもの・熱いものを控える:麻酔が切れるまでの飲食は避け、その後もしばらくは刺激の少ない食事を心がけてください。
抜歯後にしていただきたいセルフケア
- 処方された薬は指示通りに服用する:痛みが出ていなくても、抗生物質は途中でやめず飲みきりましょう。
- 患部を冷やしすぎない:冷やしすぎると血流が悪くなり、かえって治りが遅くなることがあります。腫れが気になる場合は、濡れタオルなどで軽く冷やす程度にしましょう。
- やわらかい食事を選ぶ:おかゆ、うどん、豆腐、ゼリーなど、噛む刺激が少ないものを選びましょう。
- 反対側でよく噛む:抜歯した側での咀嚼は避け、傷口に負担をかけないようにしましょう。
- 睡眠と栄養をしっかりとる:体の治癒力を高めるためにも、無理をせずゆっくり休みましょう。
こんな症状が出たらすぐにご相談を
以下のような症状がある場合は、自己判断で様子を見ず、早めに歯科医院を受診してください。
- 抜歯後4日以上たっても痛みが強くなる、または引かない
- 38度以上の発熱が続く
- 顔全体が大きく腫れ、口を開けづらい
- 出血が止まらない、血が止まりにくい
- 唇や舌のしびれが数日たっても改善しない
特に下顎の親知らずは、根のすぐ近くに神経が通っていることがあり、まれに抜歯後に唇やあごのしびれ(知覚麻痺)が残ることがあります。多くの場合は数ヶ月かけて徐々に改善しますが、気になる症状が続く場合は必ず歯科医院にご相談ください。当院では、埋まっている親知らずについては事前にCT撮影を行い、神経との位置関係を確認したうえで治療方針をご説明しています。
よくある質問

Q. 親知らずは必ず抜かなければいけませんか?
A. 必ずしもそうではありません。上下ともまっすぐ生えていて噛み合わせができており、きちんと歯磨きできる状態であれば、残しておける場合もあります。一方で、横向きに生えていたり歯茎からわずかしか出ていなかったりして、うまく咬み合わない・磨きにくい状態の場合は、隣の歯の虫歯や歯周病のリスクを避けるためにも抜歯をおすすめすることが多いです。
Q. 抜歯当日にお風呂に入ってもいいですか?
A. 湯船に浸かると血流が良くなり、出血や腫れが強くなることがあるため、当日はシャワー程度にとどめることをおすすめします。
Q. 腫れを早く引かせる方法はありますか?
A. 抜歯後2〜3日の腫れは自然な炎症反応ですので、無理に早く引かせようとするより、飲酒・運動・強いうがいなど腫れを助長する行動を避けて安静に過ごすことが、結果的に早く落ち着かせる近道です。
Q. 親知らずの抜歯は痛いですか?麻酔の方法は選べますか?
A. 抜歯自体は麻酔をして行いますので、処置中に強い痛みを感じることは基本的にありません。当院では通常の局所麻酔に加え、恐怖心が強い方向けに笑気麻酔(保険適用)や全身麻酔・静脈内鎮静法(自由診療)にも対応しておりますので、ご不安な方は事前にご相談ください。
Q. 抜歯の費用はどのくらいですか?
A. 保険診療の場合、完全に生えている親知らずでおよそ2,000円程度、骨や歯茎の中に埋まっている場合は4,000〜5,000円程度が目安です(自己負担3割の場合)。矯正治療を目的とした抜歯は自由診療となり、5,000〜15,000円程度が目安です。正確な金額は診断内容によって異なりますので、レントゲンやCTでの検査後にご説明いたします。
まとめ
親知らずの抜歯後に腫れや痛みが出るのは、体が傷を治そうとする自然な反応であり、多くの場合1週間程度で落ち着いていきます。ただし、下顎の親知らずや骨の中に埋まっている親知らず(埋伏歯)は腫れが強く出やすく、まれにドライソケットのような合併症が起こることもあるため、抜歯後の過ごし方には注意が必要です。飲酒・入浴・激しい運動・強いうがいを控え、処方された薬をきちんと飲みきることが、スムーズな回復への近道です。
「抜歯後の痛みがなかなか引かない」「これは普通の経過なのか心配」という場合は、自己判断せずお気軽に当院までご連絡ください。また、これから親知らずの抜歯を検討されている方も、レントゲンやCTでの事前診断をもとに、抜歯が必要かどうか、どのような麻酔方法が適しているかを一人ひとり丁寧にご説明いたします。墨田区・浅草・東駒形周辺で親知らずのことでお悩みの方は、お気軽に篠塚歯科医院までご相談ください。
篠塚歯科医院 歯学博士 篠塚嘉昭


