【毎日磨いても虫歯になる人へ】唾液検査でわかる「あなたの虫歯リスク」【歯医者が解説】

「唾液でわかる! あなたの虫歯リスク」の文字と、試験管を見せて説明する歯科衛生士と女性

こんにちは、篠塚歯科医院です。「毎日ちゃんと磨いているのに、どうして虫歯になるの?」。診療室でよくいただくご質問です。

いっぽうで、「それほど丁寧に磨いていないのに、虫歯になったことがない」という方もいます。この差は、一人ひとり虫歯の原因が違うことから生まれます。

この記事では、その違いを確かめる唾液検査で何が分かるのか、結果で予防がどう変わるのか、検査の限界まで、東京都墨田区東駒形の篠塚歯科医院がお伝えします。

この記事のポイント

  • 虫歯は、菌・糖・歯の質・唾液・時間が重なって起こります。磨き方だけでは防ぎきれない人もいます。
  • 唾液検査で自分の弱いところが分かると、力を入れる対策をしぼれます。
  • ただし検査は万能ではありません。お口の記録や、これまでの虫歯の経験とあわせて読み解きます。

同じように磨いても、虫歯になる人とならない人がいます

虫歯は5つの条件が重なってできる。菌、糖、歯の質、唾液、時間

虫歯は、「歯みがきをさぼったから」という、ひとつの原因だけで起こるものではありません。次のような条件が重なったときにできます。

  • 菌…お口の中にいる、虫歯菌の数や種類
  • 糖…甘いものを口にする「量」よりも「回数」
  • 歯の質…歯の表面の強さや、フッ素が届いているか、詰め物の状態
  • 唾液…出る量と、酸を中和する力
  • 時間…お口の中が酸っぱい状態になっている時間の長さ

土台が違えば、同じ歯みがきでも結果は変わります。一生懸命磨いても虫歯が減らない方は、ほかのことが主な原因になっているのかもしれません。

だからこそ、まずは「自分はどのタイプか」を知ることが、遠回りに見えていちばんの近道です。

唾液は、お口を守る天然の守り役です

意外かもしれませんが、虫歯のなりやすさを大きく左右するのが唾液です。唾液には、次のような働きがあります。

  • 洗い流す…食べかすや細菌を流し、お口を清潔に保ちます。
  • 酸を中和する…食事のたびに酸っぱくなったお口を、もとの状態にもどします。
  • 歯を修復する…唾液の中のカルシウムなどが、溶けかけた歯の表面を元にもどします。
  • 細菌をおさえる…細菌が増えるのをおさえる成分が含まれています。

この「酸を中和する力」は、人によって差があります。幼稚園児を調べた国内の研究では、中和する力が弱い子のほうが、虫歯のある子の割合が高くなっていました[1]。

同じ環境で暮らしていても、唾液の性質が違えば、結果が変わるということです。

唾液検査で分かること

当院の唾液検査では、虫歯菌の数や、虫歯に対する唾液の抵抗性を調べます。たとえば、次のようなことです。

  • 虫歯菌の量…虫歯を始めたり進めたりする菌が、どのくらいいるか
  • 唾液の量…よく出ているか。少ないと、洗い流す力も中和する力も落ちます
  • 酸を中和する力…食後に酸っぱくなったお口を、どのくらい早くもどせるか

唾液をとるだけの、痛みのない検査です。結果は数字で示されるので、「なんとなく気をつける」から、「どこをどれだけ強めるか」へと具体的にできます。

当院では、結果をもとに、暮らし方に合わせた予防の方法を、歯科衛生士が患者さんと一緒に考えていきます。

正直なところ、検査はどこまで当たるの?

ここは、正直にお伝えしたいところです。虫歯のリスク検査は、未来を言い当てる占いではありません。

世界中の研究をまとめた報告では、子どもで、虫歯になる人を見つけ出せる割合も、ならない人を正しく見分けられる割合も、7割ほどでした[2]。

この報告は、検査の当たり方は「まずまず」で、歯科医師の診察と組み合わせて使うべきだとまとめています[2]。

つまり、結果が良くても油断はできませんし、悪くても「虫歯になる運命」ではありません。検査は、作戦を立てるための地図として使うのがおすすめです。

「菌が少ない=安心」とは言い切れません

唾液の虫歯菌の検査には、はっきりした特徴があります。研究をまとめた報告によると、「菌が多い」と出たら要注意ですが、「菌が少ない」と出ても、虫歯にならないとは限りません[3]。

菌が少なくても、甘いものを口にする回数が多かったり、フッ素が届いていなかったりすれば、虫歯はできます。

いちばんの手がかりは、これまでの虫歯の経験

将来の虫歯をいちばんよく言い当てる手がかりは、意外にも検査の数字ではなく、これまでの虫歯の経験だとされています[4]。

これまでの虫歯の本数は、生活習慣や体質、お口の環境が積み重なった結果そのものだからです。

当院では、唾液検査の数字だけでなく、お口の写真、歯ぐきの検査、治療の記録、毎日の習慣とあわせて判断しています。

結果が分かると、予防はこう変わります

唾液検査の結果で変わる予防の例。菌が多い、唾液が少ない、中和する力が弱い、歯の質が弱いタイプ

弱いところが見えると、対策の順番が決まります。たとえば、次のようにです。

  • 虫歯菌が多いタイプ…歯みがきの精度を上げ、歯間の清掃を足し、クリーニングの間隔を短くします。
  • 唾液が少ないタイプ…よくかむ、水分をとる、口呼吸を見直す。お薬の影響も確かめます。
  • 中和する力が弱いタイプ…間食の回数を減らして、お口が酸っぱい時間を短くします。
  • 歯の質が弱いタイプ…フッ素を使う回数を増やし、歯科医院での高濃度フッ素塗布を定期的に行います。

同じ「がんばる」でも、力を入れる場所が違えば結果は変わります。全部をやみくもに続けるのではなく、自分に効く対策にしぼれる。これが検査のいちばんの価値です。

当院の「4回からの予防歯科プログラム」

当院では、唾液検査を、予防プログラムのひとつとして行っています。次のような検査や処置で、お口の状態をいろいろな角度から確かめます。

  • 12枚のお口の写真…今の状態を記録し、次回と比べられるようにします。
  • 位相差顕微鏡の検査…お口の中の細菌の様子を確かめます。
  • 唾液検査・歯周ポケット検査…虫歯と歯ぐきの両方の状態を調べます。
  • 歯石とステインの除去、ポリッシング…専用の器具で、お口をリセットします。
  • 染め出しでの歯みがき指導…磨き残し20%以下を目標に、その方に合った磨き方を身につけていただきます。
  • 高濃度フッ素塗布…歯を強くし、酸に溶けにくくします。

当院は、虫歯や歯周病を、毎日の小さなリスクが積み重なった結果と考えています。原因を突き止めずに削って詰めるだけでは、同じことがくり返されてしまいます。

検査の前には、食事や歯みがきを控えていただくなどの注意点があります。ご予約のときにご案内します。

よくある質問

よくある質問

Q. 唾液検査は、痛くありませんか?
A. 痛みはありません。唾液をとるだけの、体に負担のない検査です。お子さんでも受けていただけます。

Q. 結果が悪いと、必ず虫歯になりますか?
A. いいえ。結果は「なりやすさの傾向」を示すものです。対策を続ければ変えられますし、反対に結果が良くても油断は禁物です。

Q. どのくらいの間隔で受ければいいですか?
A. 毎回行うものではありません。まず今の状態を知るために一度受けていただき、その後は暮らしの変化や、虫歯が増えたときに確かめ直すのがおすすめです。

Q. 唾液が少ないと言われました。増やせますか?
A. よくかんで食べる、こまめに水分をとる、鼻で呼吸する、といった工夫で、良くなることが期待できます。お薬の影響のこともあるので、飲んでいるお薬がある方はご相談ください。

Q. 子どもにも受けさせたほうがいいですか?
A. お子さんにもおすすめです。虫歯になる前に傾向が分かれば、フッ素の使い方やおやつの与え方を、早いうちから調整できます。

まとめ

  • 「毎日磨いているのに虫歯になる」背景には、虫歯菌の量や唾液の性質、食べ方など、人によって違う原因があります。
  • 唾液検査は、その中身を数字で見えるようにし、自分に必要な対策を選ぶための地図になります。
  • 検査は万能ではありません。当たり方はまずまずで、診察やこれまでの虫歯の経験とあわせて読み解きます。
  • 削る治療をくり返さないために、まずはご自身のリスクを知ることから始めてみませんか。

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予防歯科について

墨田区の篠塚歯科医院では、予防歯科に注力し、患者さんのお口の健康を守るため予約は一人一時間を確保して、丁寧な診療を心掛けています。お口の中の気になる点やお悩みがあれば、いつでもご相談ください。

篠塚歯科医院 歯学博士 篠塚嘉昭

参考文献

  1. 岡崎好秀 ほか「新しい唾液緩衝能テストに関する研究 第1報 幼稚園児におけるCAT21Bufテストと齲蝕罹患状態との関係」小児歯科学雑誌. 2001;39(1):91-96. J-STAGE
  2. Hasyim R ほか. Predictive accuracy of caries risk assessment: A systematic review. J Dent. 2026;176:107016. PubMed
  3. Senneby A ほか. Diagnostic accuracy of different caries risk assessment methods. A systematic review. J Dent. 2015;43(12):1385-1393. PubMed
  4. Mejàre I ほか. Caries risk assessment. A systematic review. Acta Odontol Scand. 2014;72(2):81-91. PubMed

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