【歯磨きで血が出る】歯茎からの出血の原因と正しい対処法【歯医者が解説】

歯ブラシを手に、口元に手を当ててはっとする女性のイラスト。要注意!歯磨きで血が出る

こんにちは、篠塚歯科医院です。「歯を磨くと、歯ブラシに血がにじむ」「うがいをすると、洗面台がうっすら赤くなる」。そんなことはありませんか。

血が出ると驚いて、歯みがきを控えてしまう方も多いと思います。でも、じつはそれが、出血を悪くしてしまうこともあるのです。

この記事では、歯ぐきから血が出る原因と、正しいケア、受診したいサインを、東京都墨田区東駒形の篠塚歯科医院がお伝えします。

この記事のポイント

  • 歯ぐきからの出血は、多くが歯垢による炎症、つまり歯肉炎や歯周病のサインです。
  • 血が出るところこそ、やわらかい歯ブラシでやさしく磨きましょう。歯肉炎なら、元にもどせます。
  • タバコを吸う方は、血が出なくても安心できません。2週間ケアしても良くならなければ受診を。

出血は、歯ぐきが出しているサインです

歯ぐきから血が出る原因で、いちばん多いのは、歯垢(しこう。細菌のかたまり)による炎症です。歯肉炎や歯周病と呼ばれる状態です。

健康な歯ぐきは、淡いピンク色で引きしまっています。歯ブラシが少し当たったくらいでは、血は出ません。

ところが、歯と歯ぐきの境目に歯垢がたまると、体が細菌に反応して、歯ぐきが腫れてもろくなります。そこに歯ブラシが当たると、かんたんに血が出てしまうのです。

国の調査では、10歳以上で歯ぐきから出血がある人は、10人に4人ほどいました[1]。決してめずらしいことではありません。

歯肉炎なら、元にもどせます

歯垢が炎症を起こすことは、昔から知られています。健康な人に歯みがきをやめてもらった有名な実験では、歯垢がたまるにつれて歯ぐきに炎症が起きました[2]。

そして、歯みがきを再開すると、炎症は消えていきました[2]。歯肉炎の段階なら、歯垢をきちんと落とせば元にもどせるのです。

歯ぐきから血が出る、主な原因

歯ぐきから血が出る主な原因(歯垢・歯石、強すぎる歯みがき、ホルモンの変化、全身の病気やお薬、合わない被せ物)

出血の裏には、歯肉炎や歯周病のほかにも、いくつかの原因が重なっていることがあります。

  • 歯垢・歯石がたまっている…いちばん多い原因です。かたまった歯石は、歯みがきでは落とせません。
  • 歯みがきの力が強すぎる…炎症のある歯ぐきを、かたい毛でゴシゴシこすると、傷ついて血が出ます。
  • ホルモンの変化…妊娠中や思春期は、歯ぐきが炎症を起こしやすくなります。
  • 全身の病気やお薬…糖尿病では炎症が悪くなりやすく、血をさらさらにするお薬を飲んでいると、血が止まりにくいことがあります。
  • 合わない被せ物…段差のある被せ物のふちに、歯垢がたまりやすくなります。

まれに、血液の病気や、極端な栄養のかたよりが、歯ぐきの出血として表れることもあります。

また、糖尿病と歯周病は、おたがいに影響しあうことが知られています。糖尿病のある方は、歯ぐきの出血を「いつものこと」と見過ごさず、早めにご相談ください。

「血が出るから磨かない」は、逆効果です

「血が出るところは、そっとしておこう」。そう思って、その部分を避けて磨く方がいます。でも、これはたいてい逆効果です。

出血の多くは、歯垢による炎症が原因です。磨かずに歯垢を残せば、炎症はさらに強くなり、出血も悪くなります。

血が出ているところこそ、やさしく、ていねいに歯垢を落とす。これが回復への近道です。正しいケアを続けると、多くは1〜2週間ほどで落ち着いてきます。

出血を防ぐ、正しいセルフケア

出血を防ぐ正しいセルフケア(やわらかめの歯ブラシ、境目をねらう、歯と歯の間も、フッ素入りの歯みがき剤)
  • やわらかめの歯ブラシを、軽い力で…えんぴつを持つように握り、毛先が広がらない程度の力で動かします。
  • 歯と歯ぐきの境目をねらう…歯ブラシを境目に斜めに当て、小刻みに動かして歯垢を落とします。
  • 歯と歯の間は、フロスや歯間ブラシで…歯ブラシだけでは落としきれません。血が出ても、やさしく続けましょう。
  • フッ素入りの歯みがき剤を使う…歯ぐきが下がって出てきた根の部分は、虫歯にもなりやすいからです。

とはいえ、「磨けているつもり」でも、磨き残しはあるものです。当院の予防歯科では、染め出しで磨き残しを目に見えるようにして、その方に合った磨き方をお伝えしています。

目標は、磨き残し20%以下です。すでにかたまった歯石は、歯科のクリーニングで取り除きます。

タバコを吸う方は、「血が出ないから安心」ではありません

「自分は血が出ないから、歯周病は大丈夫」。そう思っている方の中に、タバコを吸う方が少なくありません。

じつは、タバコには、歯ぐきの出血をおさえこんでしまう働きがあります。約1万2千人を調べた研究では、タバコを吸う人は、歯ぐきから血が出にくくなっていました[3]。

その働きは、1日に吸う本数が多い人ほど大きかったのです[3]。タバコの成分が、歯ぐきの血管や炎症の反応に影響するためと考えられています。

つまり、炎症があっても出血として表に出にくく、歯周病に気づくのが遅れがちです。血が出ないことが、かえって危険のサインを隠してしまうことがあると、知っておいてください。

こんな出血は、歯科医院でご相談を

次のようなときは、自己判断せず、早めに受診してください。

  • ていねいなケアを2週間ほど続けても、出血が良くならない
  • 歯ぐきが腫れている。押すと膿が出る。口臭が気になる
  • 歯がグラグラする。歯と歯の間のすき間が広がってきた
  • 同じところから何度も出血する。血がなかなか止まらない

国の調査では、15歳以上の約半数に、歯周病のサインとなる深さ4mm以上の歯ぐきの溝(歯周ポケット)が見つかっています[1]。歯周病は、気づいたときにはかなり進んでいた、となりやすい病気です。

なお、歯ぐき以外からの出血が続く、あざができやすいといった体の症状があるときは、内科など医科の受診もお考えください。

よくある質問

よくある質問

Q. 血が出るのは、磨く力が足りないからですか?
A. 逆のことが多いです。出血の主な原因は歯垢による炎症で、強く磨くと歯ぐきを傷つけて、さらに血が出やすくなります。力ではなく、境目に毛先を当てて、やさしく歯垢を落とすことが大切です。

Q. 血が出るところは、磨かないほうがいいですか?
A. いいえ。避けて磨くと歯垢が残り、炎症が悪くなります。血が出るところこそ、やわらかい歯ブラシでていねいにケアしてください。

Q. 妊娠してから、歯ぐきの出血が増えました。
A. 妊娠中は、ホルモンの影響で歯ぐきが炎症を起こしやすくなります。ケアを続けながら、体調の安定した時期に、歯科でのクリーニングを受けると安心です。当院はマタニティ歯科にも対応しています。

Q. タバコを吸っていますが、出血はありません。心配いりませんか?
A. 油断はできません。タバコは歯ぐきの出血をおさえてしまうため、歯周病が進んでいても気づきにくくなります。出血のあるなしに関わらず、定期的な検診で確かめましょう。

まとめ

  • 歯ぐきからの出血は、多くが歯垢による歯肉炎や歯周病のサインです。
  • 歯肉炎の段階なら、歯垢をきちんと落とせば元にもどせます。放っておくと、歯を支える骨が失われる歯周病へと進みます。
  • 血が出ても磨くのをやめず、やわらかい歯ブラシでやさしく。歯と歯の間まで届くケアを続けましょう。
  • ケアで良くならないとき、腫れや膿、ぐらつきがあるときは、早めにご相談ください。

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墨田区の篠塚歯科医院では、予約は一人一時間を確保し、染め出しや歯周ポケット検査で歯ぐきの状態をていねいに確かめながら、お一人おひとりに合った治療を行っています。

篠塚歯科医院 歯学博士 篠塚嘉昭

参考文献

  1. 厚生労働省「令和6年歯科疾患実態調査結果の概要」 資料を開く
  2. Löe H ほか. Experimental gingivitis in man. J Periodontol. 1965;36:177-187. PubMed
  3. Dietrich T ほか. The effect of cigarette smoking on gingival bleeding. J Periodontol. 2004;75(1):16-22. PubMed

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