歯ぎしりボトックスのメリット・デメリット|後悔しないためのポイント【歯科医師が解説】

「朝起きると顎が疲れている」「歯がすり減ってきた気がする」「家族に歯ぎしりを指摘された」 このようなお悩みはありませんか?

無意識に行っている歯ぎしりや食いしばりは、放置すると歯や顎に大きなダメージを与え、頭痛や肩こりの原因になることもあります。

一般的な治療法としてマウスピースがありますが、「違和感が強くて眠れない」「毎日の手入れが面倒」といった理由で断念してしまう方も少なくありません。

そんな方におすすめしたい選択肢の一つが「ボトックス治療」です。

この記事では、歯ぎしりに対するボトックス治療のメリット・デメリット、治療の流れや費用について、分かりやすく解説します。

そもそも歯ぎしり・食いしばりを放置するリスクとは?

歯ぎしりや食いしばりで歯にかかる力は、食事の時の数倍にもなると言われています。この強い力が日常的に加わることで、お口の中や全身に様々な悪影響を及ぼす可能性があります。

  • 歯へのダメージ: 歯がすり減る、欠ける、ひびが入る、被せ物や詰め物が破損する原因になります。
  • 歯周病の悪化: 歯を支える骨に過度な負担がかかり、歯周病の進行を早めてしまうことがあります。
  • 顎関節症: 「顎が痛い」「口が開きにくい」「カクカク音がする」といった顎関節症の症状を引き起こすことがあります。
  • 全身への影響: 咬筋(ものを噛む筋肉)の緊張が、頭痛や肩こり、首のこりにつながることがあります。
  • 顔貌の変化: 咬筋が過剰に発達することで、エラが張って顔が大きく見えてしまうこともあります。

これらの症状に心当たりがある方は、お早めに歯科医院にご相談ください。

歯ぎしりに対するボトックス治療とは?

ボトックス治療とは正式には「ボツリヌストキシン療法」と呼ばれ、この「ボツリヌストキシン」という成分を筋肉に注入することで、筋肉の過剰な働きを和らげる治療法です。

ボトックスとはアラガン社の製品名であり、これが一般的に広く知られたことで一般的になったものです。

当院では韓国製の「リズトックス」を主に使用しております。これはKFDA(韓国食品医薬品安全庁)で認可されており、安全性も認められています。

歯科領域では、歯ぎしりの原因となる「咬筋」に直接注射します。これにより、睡眠中など無意識下での強い噛みしめの力を緩和させ、歯や顎への負担を軽減することができます。

歯ぎしりボツリヌストキシン療法の5つのメリット

ボトックス治療には、マウスピース治療にはないメリットがあります。

  1. 無意識の歯ぎしりを根本から緩和 マウスピースが歯を保護する対症療法であるのに対し、ボトックス治療は歯ぎしりの原因である筋肉の力そのものを弱めるため、より根本的な改善が期待できます。
  2. 歯や顎、被せ物への負担を軽減 噛む力が弱まることで、歯のすり減りや破折、セラミックなどの被せ物が割れてしまうリスクを低減できます。
  3. 肩こりや頭痛の改善が期待できる 咬筋の緊張が緩和されると、それに関連する側頭筋や首周りの筋肉の緊張もほぐれ、慢性的な頭痛や肩こりが改善されるケースがあります。
  4. エラの張りがすっきりする(小顔効果) 歯ぎしりによって過剰に発達した咬筋(エラの筋肉)の働きを抑えるため、筋肉の盛り上がりが解消され、フェイスラインがすっきりする効果も期待できます。
  5. マウスピースが苦手な方でも治療可能 「口の中に異物を入れるのが苦手」「嘔吐反射が強い」といった理由でマウスピース治療が続けられなかった方でも、無理なく治療を受けられます。

ボツリヌストキシン療法の4つのデメリットと注意点

多くのメリットがある一方で、治療を受ける前に知っておくべきデメリットや注意点もあります。

  1. 効果は永続的ではない ボトックスの効果は永久ではありません。効果の持続期間には個人差がありますが、約4~6ヶ月です 。効果を持続させるためには、定期的に治療を続ける必要があります。ただし、継続することで持続期間が長くなる傾向があります
  2. 副作用のリスクがある 注射した部分に、内出血や腫れ、顎のだるさや違和感が出ることがあります が、通常は数日で治まります。当院では、患者様にご安心いただけるよう、事前のカウンセリングで丁寧に説明いたします。
  3. 保険適用外の自由診療である 歯ぎしりのボトックス治療は保険が適用されないため、費用は全額自己負担となります。当院での費用は以下の通りです。
    • ボトックス注射(1回): 30,800円(税込)
    • ※費用はあくまで目安であり、お口の状態によって変動する場合があります 。
  4. 治療を受けられない場合がある 安全性の観点から、以下に該当する方はボトックス治療を受けられません。
    • 全身性の筋肉疾患がある方
    • 妊娠中・授乳中の方
    • 妊娠を予定している方(とその配偶者)

篠塚歯科医院のボツリヌストキシン療法の流れ

当院では、患者様が安心して治療を受けられるよう、プライバシーに配慮した完全個室の診療室で治療を行います

  1. カウンセリング まずはお悩みやご希望を詳しくお伺いします。治療のメリット・デメリット、費用や期間について丁寧に説明し、ご納得いただいた上で治療を進めますのでご安心ください。
  2. 診査・診断 咬筋の緊張程度やお口の中の状態を拝見し、ボトックス治療が適切かどうかを歯科医師が判断します。
  3. 施術 咬筋の位置や大きさを確認し、適切な箇所に極細の針でボトックスを左右で6回に分けて注入します。施術時間は10分程度です。
  4. アフターケア 施術後の注意事項についてご説明します。
    • 施術当日は、長時間の入浴、サウナ、激しい運動、飲酒は控えてください
    • 注射部位を強く揉んだり、冷やしたりしないでください

まとめ:歯ぎしりのお悩みは、まず専門家にご相談ください

歯ぎしりボトックス治療は、歯や顎への負担を軽減するだけでなく、頭痛や肩こりの改善、小顔効果も期待できる有効な治療法です。しかし、メリットだけでなくデメリットも存在するため、治療を受ける前には歯科医師による適切な診断と、十分な説明を受けることが非常に重要です。

「自分の歯ぎしりは治療が必要?」「ボトックスに興味があるけど、ちょっと怖い」など、少しでも気になることがあれば、まずは一度お気軽にご相談ください。

「歯ぎしり」自体についての詳細な説明は以下の画像をクリック!

篠塚歯科医院では、患者様一人ひとりのお悩みに寄り添い、最適な治療法をご提案いたします。当院は、質の高い医療を提供するための先進設備を導入しており 、痛みや恐怖心に配慮した治療もご用意しております

ご予約は、お電話(03-3622-2619)にて承っております

まずは正確な診断のために、一度ご来院いただきお気軽にご相談ください。

篠塚歯科医院 歯学博士 篠塚嘉昭

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