2026年08月23日
【歯磨きで肺炎予防】高齢者の口腔ケアはなぜ大切?訪問歯科でできることを解説【歯医者が解説】

こんにちは、篠塚歯科医院です。
「以前は毎年歯科検診に通っていた親が、最近は足腰が弱って通院できなくなった」「食事中にむせることが増えた気がする」——ご高齢のご家族について、そんな変化に気づいたことはありませんか。実は、こうしたサインの多くは口腔(お口)の機能低下と深く関係しています。そして、通院が難しくなった方でも、歯科医院に足を運ばずにお口のケアや治療を受けられる「訪問歯科」という選択肢があります。
今回は、なぜ高齢期の口腔ケアがそれほど重要なのか、そして篠塚歯科医院が墨田区・浅草・東駒形エリアで行っている訪問歯科サービスの具体的な内容について、歯学博士の院長が詳しく解説します。
目次
高齢者の口腔ケアがなぜ重要なのか
加齢とともに、歯の本数が減ったり、噛む力・飲み込む力(嚥下機能)が弱くなったりすることは自然な変化です。しかし、この変化を「年のせい」と放置してしまうと、全身の健康や生活の質(QOL)に大きな影響を及ぼすことが、近年の研究で明らかになってきています。
この「口の中のささいな衰え」は、専門的にはオーラルフレイルと呼ばれます。地方独立行政法人・東京都健康長寿医療センター研究所の調査によると、歯の本数や咀嚼・嚥下の困難感、舌の力、滑舌などをもとにした評価で、地域在住高齢者のうち19.3〜20.4%がオーラルフレイルに該当すると報告されています。さらに同研究所が紹介する追跡調査では、口腔機能が低下した高齢者は、そうでない高齢者と比べて低栄養状態のリスクが約2.17倍、孤食(一人で食事をとる状態)のリスクが約1.82倍に高まるというデータも示されています。出典
つまり、口腔機能の衰えは「食べこぼしが増えた」「滑舌が悪くなった」といった小さなサインから始まり、放置すると栄養状態の悪化や社会的な孤立、さらには要介護状態へとつながっていく入り口になり得るということです。
口腔ケアと全身の健康——誤嚥性肺炎との関係
高齢者の口腔ケアが重視されるもう一つの大きな理由が、誤嚥性肺炎の予防です。誤嚥性肺炎は、食べ物や唾液が誤って気管や肺に入り込み、そこに含まれる細菌が炎症を引き起こすことで発症します。加齢によって嚥下機能や咳反射が弱まると、誤嚥そのものが起こりやすくなるうえ、口腔内の細菌数が多いほど肺炎のリスクも高まると考えられています。
この分野で国内外から広く参照されている研究のひとつに、米山武義氏・鴨田博司氏による「口腔ケアと誤嚥性肺炎予防」(学会誌『老年歯科医学』16巻1号、2001年7月31日発行、3〜13頁)があります。出典(J-STAGE) この研究をはじめとする一連の報告では、歯科専門職による定期的な口腔ケアを取り入れることで、発熱の頻度が減少するなど、口腔内の衛生状態を良好に保つことが呼吸器の健康維持に寄与する可能性が示されています。もちろん誤嚥性肺炎の発症には嚥下機能や全身状態など複数の要因が関わるため、口腔ケアだけで完全に防げるわけではありませんが、「お口を清潔に保つこと」が全身の健康を支える土台の一つであることは、こうした学術的な報告からも裏付けられています。
訪問歯科とは?どんな方が対象になるのか
訪問歯科とは、歯科医師や歯科衛生士がご自宅や施設に伺い、通院と同じように検査・治療・口腔ケアを行うサービスです。「寝たきりの方専用のサービス」と思われがちですが、篠塚歯科医院の訪問診療ページでも明記している通り、対象となるのは特定の病気をお持ちの方だけではありません。
足腰が弱って歩行が困難になった、付き添いの負担が大きい、認知症の影響で長時間の通院が難しいなど、「通院そのものが負担になった」という状態であれば訪問歯科の対象となります。以前は通院されていた患者様が、加齢とともに訪問診療へ切り替えるケースも少なくありません。
篠塚歯科医院の訪問歯科でできること

篠塚歯科医院は、都内でも数が少ない「在宅療養支援歯科診療所(歯援診)」の施設基準を満たした医療機関です。医科の主治医や地域包括支援センターとも連携しながら、ご自宅や施設での歯科診療体制を整えています。訪問診療では、主に次のような対応が可能です。
- 歯周病治療:超音波器具を使った歯石除去や、グラグラして動揺している歯の固定処置
- 虫歯治療:ポータブルの診療機器を用いた治療、詰め物やブリッジの作製
- 入れ歯の作製・調整:新しい入れ歯の作製に加え、合わなくなった入れ歯の調整・修理
- 専門的な口腔ケア:歯科医師・歯科衛生士による口腔内の清掃で、誤嚥性肺炎の予防をサポート
- 口腔リハビリテーション:飲み込む力(嚥下機能)を維持・向上させるための訓練で、認知症予防にもつながるアプローチ
- 各種検査:舌の力を測る舌圧検査や、飲み込みの様子を確認する嚥下内視鏡検査など
このように、篠塚歯科医院の訪問歯科は「歯を治すだけ」にとどまらず、噛む・飲み込む・話すといったお口全体の機能を支え、全身の健康や生活の質を維持することを目指しています。詳しい内容は訪問歯科のご案内ページでもご確認いただけます。
訪問歯科の費用について
「訪問してもらうと費用が高くなるのでは」と心配される方も多いのですが、篠塚歯科医院の訪問診療は保険の範囲内で対応しており、通院時の治療と同様に保険が適用されます。また、訪問料・出張料は一切いただいておりません。具体的な自己負担額は、治療内容や介護保険との併用状況などによって異なりますので、お電話でお気軽にご相談ください。
ご家族に知っておいていただきたいセルフチェック
次のような様子が見られたら、口腔機能が低下しているサインかもしれません。一つでも当てはまる場合は、無理に様子を見続けず、一度ご相談いただくことをおすすめします。
- 以前より食事中にむせることが増えた
- 硬いものや繊維の多いものを避けるようになった
- 食事の時間が長くなった、食べこぼしが増えた
- 滑舌が悪くなった、口の中が乾きやすい
- 入れ歯が合っていない、外れやすい
- 歯磨きを嫌がる、自分で歯磨きをするのが難しくなった
よくある質問(FAQ)

Q1. 認知症のある家族でも訪問診療を受けられますか?
はい、対応可能です。ご本人の状態に合わせて、無理のない範囲で診療を進めます。ご家族からの聞き取りをもとに治療計画を立てますので、まずはご相談ください。
Q2. どのくらいの頻度で訪問してもらえますか?
訪問の頻度は、口腔内の状態やご希望に応じて個別にご相談のうえ決めています。継続的な口腔ケアが必要な方には定期的な訪問を、治療が必要な方にはその内容に応じた計画をご提案します。
Q3. 入れ歯の調整だけをお願いすることはできますか?
可能です。「作ったはずの入れ歯が合わなくなってきた」「痛くて外している」といったご相談も、訪問診療でよくいただく内容の一つです。
Q4. 篠塚歯科医院に通院したことがなくても依頼できますか?
はい、これまで当院に通院歴がない方からのご相談もお受けしています。まずはお電話にてご本人の状態をお聞かせください。
Q5. 訪問できるエリアを教えてください。
当院は東京都墨田区東駒形1-19-7(浅草駅近く)にございます。周辺エリアへの訪問診療に対応しておりますので、対象地域かどうかも含めてお気軽にお問い合わせください。
まとめ
高齢期の口腔ケアは、単に「虫歯や歯周病を防ぐ」ためだけのものではありません。オーラルフレイルや誤嚥性肺炎に関する研究が示すように、お口の健康は栄養状態や全身の健康、そして生活の質そのものを支える重要な土台です。「通院が難しくなったから」とお口のケアを諦める必要はありません。
篠塚歯科医院は、在宅療養支援歯科診療所として、ご自宅や施設で暮らすご高齢の患者様のお口の健康を支える体制を整えています。ご家族の食事の様子や滑舌の変化が気になる方は、どうぞお気軽に篠塚歯科医院(03-3622-2619、受付時間9:00〜18:00)までご相談ください。
篠塚歯科医院 歯学博士 篠塚嘉昭


