2026年10月04日
【歯が浮く感じ】原因は歯周病?疲れ?考えられる病気と対処法【歯医者が解説】

こんにちは、篠塚歯科医院です。「なんだか、歯が浮いた感じがする」「噛むと、その歯だけ先に当たる」。そんな違和感が続いていませんか。
痛みほどはっきりしないぶん、様子を見てしまう方も多いと思います。歯が浮く感じは、疲れたときだけの一時的なこともあれば、歯ぐきや歯の根のトラブルが隠れていることもあります。
この記事では、歯が浮く感じの正体と主な原因、自分でできること、受診したいサインを、東京都墨田区東駒形の篠塚歯科医院がお伝えします。
この記事のポイント
- 歯が浮く感じは、歯の根のまわりのクッション(歯根膜)が、炎症やむくみを起こしているサインです。
- 多い原因は、歯周病・根の先の炎症・食いしばりです。疲れたときだけの、一時的なこともあります。
- 数日たっても治らない、腫れや膿がある、何度もくり返す。そんなときは、早めに受診しましょう。
「歯が浮く感じ」は、歯の根のクッションからのサイン
「歯が浮くって、本当に歯が動いているの?」と、ふしぎに思う方もいるかもしれません。
歯は、あごの骨に直接くっついているわけではありません。歯の根と骨のあいだには、歯根膜(しこんまく)という、ごく薄いクッションがあります。
歯根膜は、噛む力を受け止める役目と、食べ物のかたさを感じとるセンサーの役目をしています。
この歯根膜が炎症を起こしたり、むくんだりすると、歯がほんのわずかに押し上げられます。これが「浮いた感じ」や「噛むと当たる感じ」の正体です。
つまり、歯が浮く感じは、歯根膜が「調子が悪いよ」と知らせているサインです。原因によって、対処法は変わります。
歯が浮く感じの、主な原因

原因は1つとは限らず、いくつかが重なっていることもあります。主なものを、順に見ていきましょう。
いちばん多いのは、歯周病です
歯周病は、歯と歯ぐきの境目にたまった歯垢(しこう。細菌のかたまり)が、歯ぐきや歯根膜、歯を支える骨に炎症を広げていく病気です。
国の調査では、15歳以上の約半数に、歯周病のサインとなる深い歯ぐきの溝(歯周ポケット)が見つかっています[1]。決して特別な病気ではありません。
歯が浮く感じに加えて、歯ぐきの腫れや出血、口臭、歯のぐらつきがあれば、歯周病が進んでいるサインかもしれません。
歯周病は、歯みがきだけで治すのはむずかしい病気です。歯科で歯ぐきの溝の深さを測る検査をして、歯みがきでは届かない歯石を取りのぞいていきます。
1本だけ浮くなら、根の先の炎症かもしれません
「前に神経を取った歯が、急に浮いてきた」。そんなときは、歯の根の先の炎症(根尖性歯周炎・こんせんせいししゅうえん)が考えられます。
虫歯が神経まで進んだり、神経を取った歯の中で細菌がふたたび増えたりすると、根の先に炎症が起きます。それが歯根膜に広がると、その歯だけが浮いた感じになります。
たくさんの研究をまとめた報告では、根の治療をした歯のおよそ4割に、根の先の炎症が見つかっていました[2]。痛みのないまま、静かに続くことも多い病気です[2]。
放っておくと、膿がたまって歯ぐきや顔が腫れることもあります。治療は、根の中の細菌を取りのぞく根管治療(こんかんちりょう)が基本です。
当院では、歯科用CTとマイクロスコープ(歯科用の顕微鏡)で、根の形を確かめられます。ラバーダム(細菌が入るのを防ぐゴムのシート)を使った根管治療にも対応しています。
朝、何本も浮くなら、食いしばりかもしれません
眠っている間の歯ぎしりや、起きている間の食いしばりがあると、歯根膜に強い力がかかり続けます。
すると歯根膜が疲れて炎症を起こし、朝起きたときに「歯が浮く」「歯が重い」と感じることがあります。1本ではなく、何本もまとめて浮くのが特徴です。
食いしばりや歯ぎしりは、大人でもめずらしくない癖です[3]。上下の歯が触れ合うのは、本来、食事や会話のときなど、ごくわずかな時間だけです。
日中、気づくと歯を噛みしめている方は、TCH(上下の歯を接触させ続ける癖)かもしれません。「歯と歯を離す」と意識するだけでも、負担は減らせます。
歯ぎしりが強い方には、寝ている間に歯とあごを守るマウスピースをおすすめしています。当院では型を取り、一人一人の噛み合わせに合わせて作ります。詳しくは歯ぎしり・食いしばりのページをご覧ください。
疲れや寝不足のときだけ、浮くこともあります
「疲れると、歯が浮く」。そんな経験のある方も、少なくないと思います。
疲れや寝不足、ストレスが続くと、体の抵抗力が落ちます。ふだんはおさえられている歯ぐきや歯根膜の軽い炎症が、表に出てくると考えられています。
この場合は、しっかり休んで体調が戻ると、数日でおさまることが多いです。ただ、疲れるたびに同じ歯が浮くなら、その歯に歯周病や根の炎症が隠れていることもあります。
歯以外が原因のこともあります
上の奥歯の根の先は、鼻の横にある空洞(上顎洞・じょうがくどう)のすぐ近くにあります。
風邪や花粉症のあとに副鼻腔炎を起こすと、上の奥歯が何本かまとめて浮いたように感じることがあります。鼻づまりや、頬・目の下の重さをともなうのが特徴です。
この場合は、耳鼻咽喉科など医科の受診が必要です。歯が原因かどうか迷うときは、まず歯科で確かめるのがおすすめです。
また、妊娠中や月経前は、ホルモンの影響で歯ぐきが炎症を起こしやすくなります。当院はマタニティ歯科にも対応していますので、気になる症状があればご相談ください。
歯が浮くときに、自分でできること

「歯医者さんに行くまで、何をしたらいい?」。そんなときは、まず歯根膜を休ませてあげることが大切です。
- やわらかい歯ブラシで、やさしく磨く…歯と歯ぐきの境目の歯垢を、ゴシゴシこすらずに落とします。
- 浮いている歯で、かたい物を噛まない…おせんべいやナッツは控えて、反対側で噛みましょう。
- 日中は「歯と歯を離す」を意識する…パソコンや家事の合間に、噛みしめていないか確かめます。
- しっかり休む…睡眠をとって、体調を整えましょう。
- 痛みが強いときは…市販の痛み止めで一時的にやわらげ、早めに受診しましょう。
ただ、これらはあくまで応急のケアです。原因そのものを治すものではないので、続くときは歯科で確かめましょう。
こんなときは、歯科医院でご相談を
次のようなときは、様子を見ずに、早めに受診してください。
- 数日たっても、浮く感じが治らない
- ズキズキ痛む。噛むと強く痛む
- 歯ぐきが腫れている。膿が出る
- 歯がグラグラする。顔まで腫れてきた
- 同じ歯が、何度もくり返し浮く
原因を放っておくと、歯を支える骨が失われ、歯を抜くことになる場合もあります。
当院では、歯周ポケット検査やレントゲン、必要に応じて歯科用CTで、原因をていねいに確かめます。原因が分かるだけでも、安心につながります。
よくある質問

Q. 歯が浮く感じは、放っておけば治りますか?
A. 疲れによる一時的なものは、休むと数日でおさまることが多いです。ただ、歯周病や根の先の炎症が原因のときは、自然には治りにくく、進んでしまうこともあります。数日続くときは受診してください。
Q. 1本だけ浮くのと、全体が浮くのとで、原因は違いますか?
A. 目安として、1本だけなら、その歯の根の先の炎症や、部分的な歯周病が考えられます。何本もまとめて浮くなら、食いしばりや疲れ、上の奥歯なら副鼻腔炎のこともあります。あくまで目安なので、検査で確かめることが大切です。
Q. 浮いている歯で噛んでも大丈夫ですか?
A. 強く噛むと、歯根膜の炎症が長引くことがあります。落ち着くまでは反対側で、やわらかい物を噛むようにしましょう。
Q. 痛み止めを飲んでもいいですか?
A. 痛みが強いときは、市販の痛み止めで一時的にやわらげてもかまいません。ただ、原因が治るわけではないので、早めに受診しましょう。持病のある方や妊娠中の方、ほかにお薬を飲んでいる方は、薬剤師や医師にご相談ください。
まとめ
- 歯が浮く感じは、歯の根のクッション(歯根膜)からのサインです。
- いちばん多い原因は歯周病です。1本だけなら根の先の炎症、何本もなら食いしばりのこともあります。
- 疲れたときだけの一時的なものは、休むとおさまることが多いです。
- 数日続く、腫れや膿がある、くり返す。そんなときは、早めにご相談ください。
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墨田区の篠塚歯科医院では、予約は一人一時間を確保し、検査で原因をていねいに確かめてから、お一人おひとりに合った治療を行っています。
篠塚歯科医院 歯学博士 篠塚嘉昭
参考文献
- 厚生労働省「令和6年歯科疾患実態調査結果の概要」 資料を開く
- Tibúrcio-Machado CS ほか. The global prevalence of apical periodontitis: a systematic review and meta-analysis. Int Endod J. 2021;54(5):712-735. PubMed
- Manfredini D ほか. Epidemiology of bruxism in adults: a systematic review of the literature. J Orofac Pain. 2013;27(2):99-110. PubMed


