歯ぎしりの原因はストレス以外にも!対策と治療について解説

こんにちは、篠塚歯科医院です。

起床時に顎がだるい、家族に歯ぎしりを指摘された——そんな歯ぎしりのお悩みはありませんか。歯ぎしりにはストレスが関係していることをご存じでしょうか。今回は、歯ぎしりとストレスの関係、そしてストレス以外の原因と歯科でできる対策を、最新の研究をふまえて解説します。

ストレスは歯ぎしりの大きな原因のひとつ

ストレスと歯ぎしり

ストレスは歯ぎしりの大きな要因のひとつと考えられています。たくさんの研究をまとめた報告でも、ストレスを感じている人ほど、歯ぎしりのある人が多い傾向がありました[1]。ストレスがたまると、睡眠中に無意識に歯を食いしばったり、擦り合わせたりすることがあります。ストレスと聞くと精神的なものをイメージされる方が多いでしょうが、過度な運動による肉体的な疲労も、体にとってはストレスになるといわれます。

歯ぎしりは、無理に止めるべき「異常」というより、体の反応のひとつと考えられています[2]。ただし、過剰な歯ぎしりは口の中や体に悪影響を及ぼす可能性があります。問題は「歯ぎしりをすること」自体ではなく、その力によって歯や顎がダメージを受けることなのです。

ストレス以外の歯ぎしりの原因

アルコール、喫煙、カフェイン

飲酒・喫煙・過度なカフェイン摂取は、歯ぎしりと関係があると報告されています[3]。どれも睡眠を浅くする原因にもなるため、就寝前の習慣を見直すことは対策のひとつになります。

睡眠不足、睡眠時無呼吸症候群

睡眠の質が下がると、眠りの途中で短い覚醒(脳が一時的に目覚めかける状態)が増えます。睡眠中の歯ぎしりは、この短い覚醒と一緒に起こることが分かっています。子どもの歯ぎしりを睡眠検査で詳しく調べた研究では、歯ぎしりの7割以上が、短い覚醒や体の動きとともに起きていました[4]。いびきや睡眠時無呼吸が疑われる方は、そちらの改善が歯ぎしり対策につながることもあります。

TCH(歯を接触させるくせ)

TCH(tooth contact habit)は、端的にいえば「日中の噛みぐせ」です。「歯ぎしり・食いしばり」と並ぶ、噛み合わせの悪習癖です。

通常、上下の歯が接触している時間は1日の合計で平均17.5分ほどと報告されています[5]。実は1日のほとんどの時間は噛んでおらず、唇を閉じていても上下の歯は少し離れているのが正常なポジションです。

日中に噛みぐせが出てしまう方は、ギリギリと食いしばっているわけではなく、上下の歯がピタッと当たっている程度のことがほとんどです。しかしその程度の力でも、通常の時間を大きく超えて長時間・長期間続けば、歯や顎へのダメージになります[5]。力仕事だけでなく、家事や読書、スマートフォンの操作、パソコン作業など、物事に集中しているときに生じやすいといわれています。

意識のある日中にTCHが出る方は、睡眠中にも食いしばっていることがあるともいわれます。まずは、目につくところに「歯を離す」と書いた付箋を貼るなどして、気づいたら力を抜く練習から始めてみましょう。

歯ぎしりによる5つの不調

歯ぎしりによる不調

過剰な歯ぎしりは、体の不調につながります。歯ぎしりが原因で起こる不調は、主に次の5つです。

  • 歯がすり減る、欠ける、割れる
  • 歯周病を悪化させる
  • 詰め物・被せ物が壊れる、取れる
  • 顎関節に負担がかかり、顎関節症のリスクになる
  • 頭痛・肩こり

睡眠中の無意識の歯ぎしりでは、日中に意識して思いきり噛むときを超える力が、歯や周囲の組織にかかることもあります[6]。歯や周辺組織に大きな負担がかかるため、歯が欠ける・割れるほか、歯周病の悪化にもつながります。せっかく治した詰め物や被せ物が短期間で壊れる方は、その背景に強い噛みしめが隠れていることが少なくありません。

また、歯ぎしりをすると顎関節に負担がかかり、口まわりの筋肉も常に緊張した状態になります。顎関節への過度な負担は顎関節症の要因になるともいわれますが、どこまで関係するかは、まだはっきりとは分かっていません[2]。口まわりの筋肉とつながる肩や首の緊張から、頭痛や肩こりといった全身の不調につながることもあります。

歯科医院でできる歯ぎしりへの対応策

歯科医院でできる歯ぎしり対策

歯ぎしりから歯や周辺組織、全身の健康を守る対策はあるのでしょうか。歯科医院では、大きく次の3つの方法でアプローチしていきます。

①マウスピース(ナイトガード)

マウスピースは、歯ぎしりへの対応策としてもっともポピュラーな方法です。ここで大切なのは、マウスピースは歯ぎしりそのものを止める装置ではないということ。歯ぎしりが原因で起こる歯のすり減りや、顎関節への負担を回避するための「盾」です。「音が止まらない=効いていない」ではありませんのでご安心ください。歯ぎしりと診断されれば、公的医療保険の対象になります。

②噛み合わせの調整・歯列矯正

噛んだときに一部の歯だけが強く当たっていたり、治療した詰め物・被せ物が高すぎたりすると、その歯に負担が集中します。歯科医院で噛み合わせを整えることで、特定の歯にかかるダメージを減らすことが可能です。

ただし補足があります。かつては「噛み合わせのズレが歯ぎしりの原因」と広く考えられていましたが、この考え方は現在見直されています[7]。睡眠中の歯ぎしりについてまとめた報告によると、歯ぎしりが顎などの不調の原因になるという従来の通説は、主に専門家の経験に基づくものでした。近年はむしろ、生理的な筋肉の活動である可能性を示す研究が報告されています[2]。つまり「歯を削って噛み合わせを整えれば歯ぎしりが治る」とは限りません。だからこそ当院では、元に戻せない処置(歯を削ること)は慎重に判断し、まず元に戻せる方法から検討します。

③ボトックス注射

ボツリヌス製剤を噛む筋肉(咬筋)に注射する方法です。筋肉に力が入りにくくなるため、咬筋の緊張を抑えることができます。過度な力がかかりにくくなるので、歯ぎしりによるダメージの軽減が期待できるでしょう。ただし効果は少しずつ弱まり、長くても半年ほどとされているため、定期的な施術が必要です[8]。

ボトックス注射についての詳細は、こちらをご覧ください。

ご自身でできる工夫

  • 就寝前のお酒・カフェイン・喫煙を控える……眠りを浅くする要因を減らします。
  • 睡眠時間を確保する……睡眠の質が上がると、短い覚醒も減りやすくなります。
  • 日中は「歯を離す」を意識する……気づいたら息を吐いて、力を抜きましょう。
  • いびき・無呼吸を放置しない……気になる方は医科への相談もご検討ください。
  • 詰め物・被せ物の状態を定期的に確認する……壊れやすい方は、力のかかり方に問題があるサインです。

よくある質問

よくある質問

Q. 音がしなければ、歯ぎしりはしていませんか?
A. いいえ。音の出ない食いしばりタイプもあり、音だけでは判断できません。朝の顎のだるさ、歯のすり減り、頬の内側や舌のふちの圧痕などが手がかりになります。

Q. 歯ぎしりは治りますか?
A. 完全になくす方法は、現在のところ確立されていません。目標は「なくすこと」ではなく、歯や顎へのダメージを減らすことです。マウスピースと生活習慣の見直しを組み合わせるのが現実的です。

Q. ストレスを減らせば治りますか?
A. ストレスは要因のひとつですが、それだけが原因ではありません。睡眠の質、飲酒・喫煙、日中のくせなども関わります。ストレスだけに原因を求めず、複数の面から手を打つのが効果的です。

Q. 子どもの歯ぎしりも治療が必要ですか?
A. 子どもの歯ぎしりは一時的なものが多く、年齢とともになくなっていくことが多いです[9]。ただし、歯が極端にすり減っている場合や顎の痛みを訴える場合はご相談ください。

Q. マウスピースは市販品でもよいですか?
A. おすすめしません。適合が悪いと噛み合わせの高さが狂ったり、歯が動いたりするおそれがあります。歯科医院で型を採って作るものをご使用ください。

まとめ

歯ぎしり対策のまとめ

歯ぎしりの背景には、ストレスだけでなく、睡眠の質、飲酒・喫煙・カフェイン、日中の噛みぐせ(TCH)など、さまざまな要因があります。近年の研究では、睡眠中の歯ぎしりは眠りの途中で起こる短い覚醒とともに現れる、体の反応であることが分かってきました。

過度な歯ぎしりは、お口の健康だけでなく全身の健康にも影響します。歯科医院では、マウスピース・噛み合わせの調整・ボトックス注射といった方法で対策が可能です。自覚症状のある方は、早めにご相談ください。

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歯ぎしり・食いしばりについて

墨田区の篠塚歯科医院では、一人一時間の予約時間を基本としており、丁寧な治療とカウンセリングを心掛けております。診療室はすべて個室ですので、周囲を気にせずご相談いただけます。お口まわりで気になることがあれば、お気軽にご連絡ください。

篠塚歯科医院 歯学博士 篠塚嘉昭

参考文献

  1. Chemelo VDS ほか. Is There Association Between Stress and Bruxism? A Systematic Review and Meta-Analysis. Front Neurol. 2020;11:590779. PubMed
  2. 原節宏. 睡眠時ブラキシズムにおける歴史的通説の推移. 日本口腔顔面痛学会雑誌. 2026;18(1):11-19. J-STAGE
  3. Bertazzo-Silveira E ほか. Association between sleep bruxism and alcohol, caffeine, tobacco, and drug abuse: A systematic review. J Am Dent Assoc. 2016;147(11):859-866.e4. PubMed
  4. Shiraishi Y ほか. Relationships between cortical, cardiac, and arousal-motor activities in the genesis of rhythmic masticatory muscle activity across sleep cycles in primary sleep bruxism children. Sleep. 2021;44(11):zsab156. PubMed
  5. 内田剛也. 習慣性咀嚼側に生じる咬合性ストレスの影響. 日本歯周病学会会誌. 2024;66(2):77-84. J-STAGE
  6. Nishigawa K ほか. Quantitative study of bite force during sleep associated bruxism. J Oral Rehabil. 2001;28(5):485-491. PubMed
  7. Lobbezoo F ほか. Bruxism is mainly regulated centrally, not peripherally. J Oral Rehabil. 2001;28(12):1085-1091. PubMed
  8. Chen Y ほか. Effectiveness of Botulinum Toxin Injection on Bruxism: A Systematic Review and Meta-analysis of Randomized Controlled Trials. Aesthetic Plast Surg. 2023;47(2):775-790. PubMed
  9. 日本小児歯科学会「こどもたちの口と歯の質問箱(3歳ごろから就学前まで):子どもが寝ている間によく歯ぎしりをするのですが、大丈夫でしょうか?」 資料を開く

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