セラミック矯正がヤバい!後悔する前に!オススメしない理由3選【歯医者が解説】

こんにちは、篠塚歯科医院です。
最近、SNS上で「セラミック矯正」が流行っていますよね。当院でも、患者さんから「セラミック矯正をしたいです!」とご相談いただくことがあります。
しかし、当院ではセラミック矯正を行っていません。ご相談を受けた場合は、必ず他の治療方法をご提案しています。今回は、その理由を3つに整理してお伝えします。
SNSでは、セラミック矯正のビフォーアフターとして審美的な写真や動画が並びます。比較的短期間で見た目を整えられる「SNS映えする治療」ですから、魅力的に映るのも理解できます。人生のタイミングや仕事上の制約など、さまざまな理由で従来の歯列矯正ができず、すぐにきれいな歯並びが欲しいという気持ちも分かります。それでも——おすすめできません。
歯科医師が自分自身にはやらない歯科治療の代表格が、このセラミック矯正です。セラミックを入れた瞬間は「やって良かった、きれい!」と思うかもしれませんが、将来後悔する可能性が高い治療です。
目次
セラミック矯正をすすめない3つの理由
1. 健康な歯へのダメージが大きい

セラミック矯正では、虫歯でもない健康な歯を大きく削らなければなりません。削るだけでなく、歯の軸を揃えるために神経を抜く、または抜歯をするケースも多くあります。
そもそも歯列矯正をする目的は、見た目を良くすることだけではありません。理想的な噛み合わせにして顎関節の負担を減らし、歯並びを整えて磨きやすい状態にすることで虫歯や歯周病のリスクを下げる——つまり歯を生涯にわたって長持ちさせることが最大の目的です。
歯を長持ちさせたいのに、削り、神経を抜き、ときには抜歯までして、将来多くの歯を失って後悔する——これでは本末転倒です。歯並びをきれいにするための代償が大きすぎるのです。
神経を抜いた歯は、栄養が届かなくなって脆くなります。全国8,003本の抜歯を集計した調査でも、抜歯の原因の17.8%が「歯の破折(割れ)」で、歯周病・虫歯に次ぐ第3位を占めていました(公益財団法人8020推進財団「第2回 永久歯の抜歯原因調査報告書」2018年11月)。神経を抜くという選択は、その後の破折リスクと隣り合わせなのです。
2. 必ず再治療になる

そこまで苦労して入れたセラミックは、一生ものではありません。人工物である以上、毎日使う消耗品です。接着剤の劣化や、内側で進む虫歯(二次う蝕)などが生じて必ず再治療になり、残った歯はさらに削られ、抜歯へと近づいていきます。
奥歯の修復物649本を分析した国内の研究では、メタルブリッジの10年生存率は31.9%にとどまりました(青山貴則ほか口腔衛生学会雑誌 第58巻1号, 2008年)。つながった被せ物は、単独の歯より条件が厳しくなるということです。素材がセラミックになっても、倍持ちが良くなるようなことは文献上ありません。
さらに、やり直しのたびに歯は小さくなります。海外で奥歯の修復物のやり直しを判断した1,337件を調べた研究では、70%で修復する面の数が増えていたと報告されています(Brantley CFほかJournal of the American Dental Association 第126巻10号 1407-1413, 1995年)。1本の歯が耐えられる治療の回数には限りがあります。被せ物までいきなり入れてしまうセラミック矯正は、その貴重な回数を一気に消費してしまうのです。

また、セラミック矯正では歯の軸の方向を修正しないまま「ブリッジ」でつながってしまうことが多く、磨きにくく虫歯になりやすいというデメリットもあります。金属の被せ物よりセラミックは劣化しにくいのは事実ですが、まったく劣化しないわけではありません。そのセラミックを接着している樹脂も、時間とともに劣化していきます。
20代で神経の処置まで行ってしまった歯が、80代まで残る確率は——残念ながら、決して高くはありません。
3. より長持ちする歯列矯正が、すでに確立されている

時間はかかりますが、歯へのダメージが少ない「従来の歯列矯正」という確立された治療法があります。セラミック矯正でなければ解決しない審美的な問題は、基本的にありません。
治療後も何十年と続く長い人生において重視すべきは、その治療法の予知性(見通しの確かさ)が高いかどうかです。残念ながらセラミック矯正は、歯列矯正と比べて予知性の高い治療とはいえません。
なお、YouTubeのゆなるんるんチャンネルさんは、セラミック矯正のあとに若くして抜歯を経験され、その後悔の体験談を語っておられます。検討している方は、ぜひ一度ご覧になってください(セラミック矯正の末!!!後悔!!!)。
セラミック矯正の実態とは?

ここまで読んで「デメリットばかりじゃないか」と思われたでしょう。そのとおりです。
「セラミック矯正」という都合の良い名前が付いているだけで、実際に行われているのは矯正治療ではありません。健康な歯を削って行う、ただの被せ物・ブリッジです。歯を動かして並べる矯正治療とは、まったく別の処置なのです。
短期間で終わり、見た目のインパクトが大きく、そして提供する側にとって収益性が高い——広告で目にする機会が増えた背景には、そうした事情もあると考えています。「早く・きれいに」という言葉の裏にある代償を、患者さんが知らないまま選んでしまうことが、いちばんの問題です。
よくある質問

Q. 前歯を数本だけなら問題ないのでは?
A. 本数の問題ではありません。1本でも、健康な歯を削って神経を抜けば、その歯の寿命は確実に短くなります。少ない本数で済むケースこそ、歯列矯正で対応できる可能性が高いともいえます。
Q. 矯正は時間がかかるので、早く終わる方法がよいのですが。
A. お気持ちは分かります。ただし、数か月を短縮する代わりに数十年を失う可能性があります。部分矯正であれば3〜6か月程度で終わるケースもありますので、まずはご相談ください。
Q. すでにセラミック矯正をしてしまいました。どうすれば?
A. まずは今ある歯を守ることに集中しましょう。境目の清掃を徹底し、定期的なチェックで内側の虫歯(二次う蝕)を早期に見つけることが大切です。今の状態を記録しておくと、変化に気づきやすくなります。
Q. ラミネートベニアも同じですか?
A. 削る量は少なく済みますが、健康な歯の表面を削ることに変わりはありません。適応を選べば有効な方法ですので、目的と状態を確認したうえでご説明します。
Q. どんな方法があるか相談だけでもできますか?
A. もちろんです。当院は一人一時間の予約枠を確保していますので、選択肢とそれぞれの利点・欠点をじっくりご説明できます。
最後に

もしセラミック矯正を積極的にすすめられたら、いったん立ち止まって、ぜひセカンドオピニオンを受けてください。この記事を読んで、気軽にセラミック矯正を検討する方が少しでも減ってくれたら嬉しいです。
すでにセラミック矯正をされた方は、気分を害してしまったかもしれません。申し訳ありません。これからできることは十分にあります。後悔しないよう、ご自身の歯を長持ちさせるための予防を一緒に実践していきましょう。
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篠塚歯科医院 歯学博士 篠塚嘉昭




