手用vs電動歯ブラシ「どっちがいいの!?」歯医者が解説!

こんにちは、篠塚歯科医院です。
CMでよく見る電動歯ブラシ。家電量販店や歯科医院にも置いてあるのを、よく目にしますね。院長も患者さんからよく質問されます——「電動歯ブラシって、本当にいいの?」。普通の歯ブラシより高いから、と躊躇している方もいるかもしれません。
今回は歯科界の永遠のテーマのひとつ、「電動歯ブラシ vs 手用歯ブラシ、どっちが良いのか?」を、研究で何が報告されているかを軸に、選ぶ際の注意点も含めて分かりやすく解説します。先に結論からお伝えします。
目次
【まとめ】先に結論

- 電動歯ブラシは、ハイエンド(上級)モデルでないと効果が弱い
- 電動歯ブラシは手用より時短になる(ハイエンドモデル使用が前提)
- 歯みがきが上手な人は、電動・手用どちらでも同じくらいきれいに磨ける
- 歯ブラシの当て方が上手くない人は、電動を使ったから上手く磨けるようになるわけではない
- 手用歯ブラシのほうが、ランニングコストは安価
電動歯ブラシが向いている人
- 値段は高くても、時短で結果を出したい方
- 歯ブラシの当て方が上手い方
- 手や指の力が弱く、細かく動かすのが難しい方
手用の歯ブラシが向いている人
- コスパ良く日々の歯みがきをしたい方
- 細かい場所に自分で角度をつけて当てたい方
それでは、それぞれ解説していきます。
研究では、どう報告されているのか

電動と手用歯ブラシを比べた研究は数多くありますが、結果は「電動歯ブラシが少し優れている」または「どちらも同じ」というものがほとんどです。
信頼性の高い研究をまとめる国際的な組織(コクラン)の報告では、電動歯ブラシは手用に比べて歯垢と歯ぐきの炎症を短期・長期ともに減らすとされています。ただしその差は、歯ぐきの炎症の指標でみて6〜11%の減少にとどまり、報告書自身が「この結果の臨床的な重要性は明らかではない」と述べています。なお、研究数がもっとも多かったのは「回転振動タイプ」のブラシでした(Yaacobほか「Powered versus manual toothbrushing for oral health」Cochrane Database of Systematic Reviews 2014年 CD002281)。
つまり、「電動歯ブラシは手用に勝るので皆さん使ってください!」と単純に結論づけるのは、少し誤解を生みやすいのです。
大切なのは「当て方」——電動は魔法の道具ではない
これらの研究できれいに磨けている人は、「手用でも電動でも、歯ブラシの当て方が上手な人」というのが前提です。電動歯ブラシも魔法の道具ではないので、ブラシがそもそも当たっていない場所は、当然ほとんど磨けません。
ご自身の歯並びや口の中の環境に合った当て方をマスターしていないと、宝の持ち腐れになってしまいます。しかし、自分でしっかり磨けているかどうかを判断するのは、なかなか難しいものです。そこでおすすめしたいのが、歯科医院で自分に合った磨き方を身につけてから電動歯ブラシに移行するという順番です。当院では染め出し液を使って、実際にどこが磨けていないかを目で見て確認しながらお伝えしています。
もうひとつ、電動歯ブラシならではの注意点があります。押し当てすぎないことです。電動は自分で動かす必要がないぶん、つい力を入れて押しつけてしまいがちですが、それでは毛先が寝てしまい、歯ぐきを傷める原因にもなります。「歯に添えるだけ」が正解です。圧センサー付きのモデルを選ぶと、力加減を覚える助けになります。
おすすめの電動歯ブラシ

ここで大事な補足を。研究で用いられている電動歯ブラシは、スーパーで売っているような安価なモデルではありません。基本的にハイエンドモデルを使って比較しています。ですから、電動歯ブラシを購入するならハイエンドモデルをおすすめします。
Panasonic、フィリップス、ブラウンの3メーカーをすべて使用した歯科医師の立場から、当院がおすすめするのは【Panasonicのドルツ】です。理由は次の3つです。
① 横磨きの振動に対応している

歯科医院で習う歯みがき方法は、基本的に横磨き(小刻みに動かす方法)です。習った当て方がそのまま再現しやすいため、手用から電動へスムーズに移行できます。独自の音波振動で、浅い歯周ポケットのプラークにもアプローチできます。
② コンパクトヘッドで日本人向き

3社のうち唯一の日本メーカーで、薄く小さいヘッドが用意されており、日本人の口のサイズに合っています。ヘッドの小回りが利くので、細かい部分にも当てやすいのが利点です。
③ 替えブラシが安い

歯みがきは一生続けるものなので、ランニングコストのチェックも忘れてはいけません。各メーカーの替えブラシの価格(2023年1月時点の目安)は次のとおりでした。
- Panasonic ドルツ……約350円/本
- ブラウン オーラルB……約850円/本
- フィリップス ソニケア……約1,200円/本
1本あたりの価格が3倍以上違うのは、長く続けるうえで見逃せないポイントです(価格は変動しますので、購入時にご確認ください)。もちろんフィリップスやブラウンにも、ドルツにはない優位性があります。興味のある方は、お近くの家電量販店で実際に手に取ってみてください。
そして、電動でも替えブラシの交換は必要です。毛先が広がったら早めに交換してください。摩耗した毛先では、いくら振動しても汚れは落ちません。
よくある質問

Q. 電動歯ブラシに歯みがき剤は使えますか?
A. 使えます。ただし研磨剤の多いものは避けたほうが無難です。泡立ちが気になる場合は、少量から試してみてください。みがいたあとのうがいは、少量の水で1回だけにするとフッ素が残りやすくなります。
Q. 何分くらい使えばよいですか?
A. 多くの機種に2分のタイマーが付いています。まずはそれを目安に、1本ずつ順番に当てていきましょう。時間より「全部の面に当たったか」が大切です。
Q. 電動を使えばフロスは不要ですか?
A. 必要です。歯と歯の間の汚れは、電動でも落としきれません。デンタルフロスや歯間ブラシを併用してください。
Q. 子どもに使わせてもよいですか?
A. 年齢に応じたモデルであれば問題ありません。ただし仕上げ磨きは別途必要です。仕上げは保護者の方が手用ブラシで行うほうが、細かい部分を確認しやすいでしょう。
Q. 歯ぐきが下がってきました。電動が原因ですか?
A. 押し当てて使っていると、その可能性はあります。むしろ研究では、力が入りにくいぶん電動のほうが歯ぐきへの負担が小さいという報告もあります。「添えるだけ」を意識してみてください。
まとめ
手用でも電動でも、どちらを使ってもきれいに磨けます。大切なのは道具ではなく、自分に合った当て方ができているかどうかです。研究でも電動がわずかに優れるという結果は出ていますが、その差は「臨床的な重要性は明らかではない」とされる程度のものです。
歯並びだけでなく、歯ぐきの薄さや手の動かし方にも個性があります。ぜひ歯科検診で相談し、自分に合った歯ブラシを選んでいきましょう。「電動に替えたけれど、これで合っているか分からない」という方も、一度お持ちいただければ当て方をお伝えできます。
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篠塚歯科医院 歯学博士 篠塚嘉昭




