【コーヒーで歯が茶色い?】歯の着色(ステイン)の原因と落とし方・防ぎ方【歯医者が解説】

コーヒー・紅茶・緑茶と、根元に茶色い着色がついた歯の模型。歯の着色の原因と対策

こんにちは、篠塚歯科医院です。

「コーヒーをよく飲むせいか、前歯が茶色っぽい」「歯みがきをしているのに、すき間の茶色が取れない」。そんなお悩みを、診療室でよく伺います。

この茶色の正体は、歯の表面につく「着色(ステイン)」であることが多いです。この記事では、色がつくしくみと、自分でできる落とし方、毎日の防ぎ方をお話しします。

この記事のポイント

  • 歯の着色の多くは、歯の表面の薄い膜に、お茶やコーヒー、たばこの色がついたものです。
  • 自分で落とすなら、着色ケア用の歯みがき剤でやさしく。重曹の粉やメラミンスポンジでこするのはやめましょう。
  • 落ちない着色は、歯科医院のクリーニングで。飲んだあとの水のひと口、ストロー、紅茶のミルクが予防に役立ちます。

歯の着色(ステイン)とは?茶渋・ヤニの正体

「毎日磨いているのに、どうして色がつくの?」と、ふしぎに思いますよね。

着色の多くは、歯そのものではなく、歯の表面にはりついた「膜」に色がついたものです。

歯の表面には、目に見えない薄い膜がある

歯の表面には、唾液の成分でできた、ごく薄い膜(ペリクル)がいつもはりついています。歯を守る役目のある膜で、歯みがきのあとも、すぐにまたできてきます。

この膜に、飲み物や食べ物の色、たばこの成分がくっついて、少しずつ茶色く見えてきます。

歯の変色の多くは、こうした外からの着色です。その主な理由は、この膜の変化だと考えられています[1]。

茶渋がつくしくみは、湯のみと同じ

紅茶や緑茶に含まれる渋みの成分(タンニン)は、この膜にくっつきやすい性質があります。

渋みの成分を溶かした液で、毎日うがいを続けてもらった研究があります。10〜12日ほどで、歯が茶色っぽくなりました[2]。

湯のみや急須に茶渋がつくのと、よく似ています。「茶渋」「ヤニ」とよばれる汚れの多くは、この表面の着色です。

表面の汚れなので、多くは歯科医院のクリーニングで落とせます。まずは安心してくださいね。

着色の主な原因は?飲み物・たばこ・お薬

「コーヒーは好きだし、やめたくない…」という方も多いと思います。まずは、何が色の元になるのかを知っておきましょう。

コーヒー・紅茶・緑茶・赤ワイン・カレー

色の濃い飲み物や食べ物は、着色の代表です。当院のホワイトニングのページでも、次のようなものを着色しやすいものとしてご案内しています。

  • 飲み物…コーヒー、紅茶、緑茶、赤ワイン
  • 食べ物…カレー、ミートソース、チョコレート
  • 嗜好品…たばこ

お茶やコーヒーをよく飲むこと、たばこ、年齢を重ねることは、着色を進める要因に挙げられています[1]。

とはいえ、好きなものをやめる必要はありません。飲み方の工夫は、この記事の後半でご紹介します。

たばこのヤニ(紙巻きたばこ・加熱式たばこ)

たばこは、着色の大きな原因の一つです。厚生労働省の健康情報サイトでも、喫煙は歯周病の原因になり、歯の変色にも関係するとされています[3]。

たくさんの研究をまとめた報告でも、たばこで歯や詰め物に色がつくことが確かめられました[4]。

加熱式たばこや電子たばこでも、着色は起こりえます。紙巻きたばこより軽い傾向でしたが、主に実験室での研究で、まだはっきりとは言い切れません[4]。

「加熱式に変えたから歯は大丈夫」とは言えません。気になる方は、お気軽にご相談ください。

うがい薬や鉄のお薬で色がつくことも

意外な原因が、お薬です。

殺菌成分のクロルヘキシジンが入ったうがい薬は、4週間以上続けると、着色がはっきり増えることが分かっています[5]。

鉄も、色の元になります。お茶の渋みの成分やクロルヘキシジンで膜が変わったところに鉄がふれると、色が強くつきました[6]。

お子さんが貧血の治療で鉄のシロップを飲むと、歯が黒っぽくなることもあります[7]。お薬は自己判断でやめず、主治医や歯科医院にご相談ください。

同じものを飲んでも、つきやすい人がいる

着色のつきやすさは、人によって違います。次のことに思いあたる方は、色がたまりやすい傾向があります。

  • 歯石や歯垢が残っている…表面がザラザラして、色がつきやすくなります
  • 磨き残しが多い…歯と歯のすき間や、歯ぐきのきわに残りやすいです
  • 歯の表面に細かい傷がある…くぼみに色が入りこみやすくなります
  • 口が乾きやすい…唾液が汚れを洗い流す働きが弱くなります

当院の予防歯科のページでも、歯石やステインでザラザラした表面には、次の汚れがつきやすくなる「悪循環」があるとお伝えしています。

「自分はつきやすいかも」と思ったら、後半の予防の工夫を少し多めにすると安心です。

表面の着色?歯そのものの色?見分け方

「ホワイトニングをすれば、この茶色も取れますか?」と聞かれることがあります。

実は、歯の色の悩みには2つの種類があり、それぞれ対処が違います。まずは、どちらに近いかを見てみましょう。

表面の着色は歯のすき間や歯ぐきのきわに茶色がつき、歯そのものの色は歯全体の色が変わることを比べた図
表面の着色歯そのものの色
色茶色・黄土色・黒っぽい色黄色っぽい・灰色っぽい
つく場所すき間、歯ぐきのきわ、歯の裏側歯全体。1本だけのことも
落とし方クリーニングで落ちることが多いクリーニングでは変わらない

歯そのものの色が変わる主な理由

  • 年齢…歯の表面がすり減り、中の黄色っぽい層が透けて見えやすくなります
  • 神経のない歯…1本だけ灰色っぽく、暗く見えることがあります
  • 歯が育つ時期の影響…ある種の抗菌薬(テトラサイクリン系)による変色や、表面がうまく作られなかった歯(形成不全歯)

こうした内側の色は、歯みがきやクリーニングでは変わりません。歯の内側の色を明るくするのが、ホワイトニングです。

ただ、テトラサイクリン歯・形成不全歯・神経のない歯は、ホワイトニングの効果が出にくいことがあります。くわしくは当院のホワイトニングのページをご覧ください。

黒い点や線が気になる方は、歯の黒い線・黒い点の見分け方の記事もご覧ください。虫歯との見分け方をまとめています。

自分で見分けにくいときは、無理にこすらず、お口を見せてくださいね。

自分でできる着色の落とし方と、やってはいけないこと

「市販のもので、なんとか落とせないかな」と考える方は多いです。

軽い着色なら、毎日の歯みがきを少し工夫するだけで、目立ちにくくなることがあります。ポイントは「成分を選んで、やさしく磨く」です。

着色ケア用の歯みがき剤を使う

歯みがき剤の「清掃剤(研磨剤)」は、表面の着色を落とす役目をもっています。

さらに、着色を浮かせたり、つきにくくしたりする成分が入ったものもあります。成分表示の「ポリリン酸ナトリウム」「ピロリン酸ナトリウム」などが目印です。

約90人で比べた研究があります。清掃剤にピロリン酸ナトリウムなどを組み合わせた歯みがき剤を使った人は、2か月後に前歯の着色が少なくなっていました[8]。

なお、お子さんの歯みがき剤は、着色ケア用より、年齢に合ったフッ素入りのものを基本にしましょう。

ゴシゴシ強くこすらない

着色が気になると、つい力が入りがちです。でも強い力でこすると、歯の根元や歯ぐきを傷めることがあります。

ホワイトニングをうたう歯みがき剤は、表面の着色を落とすのが得意です。一方で、実験の研究をまとめた報告では、歯の表面がざらつきやすくなる傾向も見られました[9]。

着色ケア用の歯みがき剤は、力を入れすぎず、やさしく使いましょう。研磨剤のくわしい話は、研磨剤は歯を削る?の記事にまとめています。

電動歯ブラシも選択肢の一つ

電動歯ブラシは、手みがきより歯垢(しこう。歯の表面につく細菌のかたまり)をよく落とすことが分かっています[10]。

歯垢が減れば、色がしみこむ土台も減ります。使うときは歯に押しつけず、軽く当てるだけにしましょう。

重曹の粉やメラミンスポンジは使わない

インターネットでは、台所の重曹や、メラミンスポンジで歯をこする方法も見かけます。どちらも、歯みがきの代わりにはおすすめしません。

  • 重曹の粉…重曹入りの歯みがき剤は、着色を落とす効果と安全性が確かめられています[11]。台所用の粉ではなく、歯みがき剤として売られているものを使いましょう。
  • メラミンスポンジ…食器やシンクの汚れを削って落とす、掃除の道具です。歯や口の中に使うものではありません。削れた歯の表面は、元には戻りません。

落ちにくい着色は、ムキにならずに歯科医院に任せてくださいね。

歯科医院のクリーニングで着色を落とす

「着色を取るだけで歯医者に行くのは、気がひける」という声も聞きます。どうぞ、遠慮なくご相談ください。

自分では落としきれない着色も、専用の器具でていねいに落とせることが多いです。

当院の予防歯科のページでも、一度ついた歯石やステインは、ご自身で取り除くのはむずかしいとお伝えしています。そのままにすると、だんだん強くこびりついていきます。

当院のクリーニングで行うこと

  1. 歯石とステインの除去…ついている場所に合わせた専用の器具で取ります
  2. ポリッシング…ステインや細菌のかたまりを分解して磨き、汚れの再付着を防ぎます
  3. フッ素の塗布…最後にフッ素を塗り、むし歯を予防します

抜けた乳歯に鉄の着色をつけた実験では、市販の歯みがき剤では落としきれませんでした。歯科で使うクリーニング用のペーストで磨くと、すっかり落ちています[7]。

クリーニングの流れは、歯のクリーニングの記事でもくわしくご紹介しています。

クリーニングのあとも、着色は少しずつつく

磨いたあとの歯はなめらかで、汚れがつきにくい状態です。それでも、毎日の飲食で着色は少しずつ戻ってきます。

当院では、検査の結果をもとに、担当の歯科衛生士が次のクリーニングの時期をご提案しています。間隔は1〜3か月の幅で、お一人おひとりに合わせて決めています。

なお、クリーニングで落とせるのは表面の着色です。歯そのものを白くしたい方は、ホワイトニングもあわせてご相談ください。

着色を防ぐ毎日のコツ

「好きなコーヒーは、やめずに続けたい」。その気持ち、よく分かります。

やめなくても、飲み方を少し変えるだけで、着色はためにくくできます。

着色を防ぐ3つのコツ。飲んだあとに水でゆすぐ、ストローで飲む、紅茶にミルクを入れる

飲んだあとに、水をひと口

色の濃いものを飲んだり食べたりしたあとは、水で口をゆすぐか、お水をひと口飲みましょう。

当院のホワイトニングのページでも、飲食のあとなるべく早く歯みがきや洗口をすると、色素の沈着を最小限にできるとお伝えしています。

赤ワインなど酸っぱい飲み物のあとは、すぐにゴシゴシ磨くより、まず水でゆすぐのがおすすめです。

冷たい飲み物は、ストローで

アイスコーヒーやアイスティーは、ストローを使うのも一つの方法です。

飲むときの口の中をエックス線の動画で調べた研究があります。ストローを口の奥寄りにくわえると、前歯に飲み物がふれにくくなりました[12]。

着色そのものを調べた研究ではありません。それでも、前歯にふれる量を減らす工夫として、ためしてみる価値はあります。

紅茶には、牛乳を少し

紅茶がお好きな方は、ミルクティーにするのも手です。

抜いた歯を紅茶に1日ひたした実験では、牛乳を加えると着色が少なくなりました。牛乳のたんぱく質(カゼイン)が、その働きの主役でした[13]。

ただ、口の外での実験です。コーヒーでも同じかどうかも、まだはっきり分かっていません。

たばこをやめる・減らす

ヤニの着色を防ぐいちばんの近道は、たばこをやめることです。歯ぐきの健康にとっても、大きなプラスになります[3]。

着色が固まる前に、定期的なクリーニングを

着色は、厚く固まる前に落とすほど、きれいな状態を保ちやすくなります。毎日のケアと歯科医院のクリーニングを、両方うまく使いましょう。

できることから、今日ひとつ、ためしてみてください。

よくある質問

よくある質問

Q. ホワイトニングをすれば、着色も取れますか?
A. 表面の着色は、まずクリーニングで落とすのが基本です。ホワイトニングは、歯そのものの色を明るくする方法です。どちらが合うかは、お口を拝見してご案内します。

Q. 加熱式たばこなら、歯に色はつきませんか?
A. 紙巻きたばこより軽い傾向ですが、色がつかないわけではありません。歯ぐきの健康のためにも、禁煙をおすすめします。

Q. 着色を取りたいだけで、歯医者に行ってもいいですか?
A. もちろん大丈夫です。着色の下に歯石や虫歯がかくれていないかも、一緒に確かめられます。

Q. 子どもの歯が黒っぽくなってきました。
A. 鉄のシロップや、子どもに多い黒い着色のことがあります。虫歯との見分けが大切なので、一度ご相談ください。

Q. 着色ケアの歯みがき剤は、毎日使ってもいいですか?
A. 力を入れすぎなければ、毎日使えるものが多いです。しみる、歯の根元がえぐれてきたなどがあれば、歯科医院でご相談ください。

まとめ

  • 歯の着色の多くは、歯の表面の膜に、お茶・コーヒー・たばこなどの色がついたものです。
  • クロルヘキシジン入りのうがい薬や、鉄のお薬で色がつくこともあります。
  • 自分でケアするなら、着色ケア用の歯みがき剤でやさしく。重曹の粉やメラミンスポンジでこするのはやめましょう。
  • 落ちない着色は、歯科医院のクリーニングで落とせることが多いです。
  • 飲んだあとの水のひと口、ストロー、紅茶にミルク、禁煙が予防に役立ちます。
  • 歯全体の色が気になるときは、ホワイトニングのご相談を。

着色は、歯みがきをさぼっているから、とは限りません。好きなものを楽しみながら、上手につき合っていきましょう。

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篠塚歯科医院 歯学博士 篠塚嘉昭

参考文献

  1. Eriksen HM ほか. Extrinsic discoloration of teeth. J Clin Periodontol. 1978;5(4):229-236. PubMed
  2. Nordbø H. Discoloration of dental pellicle by tannic acid. Acta Odontol Scand. 1977;35(6):305-310. PubMed
  3. 厚生労働省 e-ヘルスネット「喫煙によるその他の健康影響」 ページを開く
  4. Karanjkar RR ほか. Effect of tobacco and nicotine in causing staining of dental hard tissues and dental materials: A systematic review and meta-analysis. Clin Exp Dent Res. 2023;9(1):150-164. PubMed
  5. James P ほか. Chlorhexidine mouthrinse as an adjunctive treatment for gingival health. Cochrane Database Syst Rev. 2017;3:CD008676. PubMed
  6. Nordbö H ほか. Iron staining of the acquired enamel pellicle after exposure to tannic acid or chlorhexidine: preliminary report. Scand J Dent Res. 1982;90(2):117-123. PubMed
  7. Heidari A ほか. Efficacy of Three Toothpastes in Iron Stain Removal from Primary Teeth. Int J Clin Pediatr Dent. 2019;12(1):10-14. PubMed
  8. Liu H ほか. Reduction of extrinsic tooth stain by a toothpaste containing 10% high cleaning silica, 0.5% sodium phytate and 0.5% sodium pyrophosphate: an 8-week randomised clinical trial. BMC Oral Health. 2021;21(1):113. PubMed
  9. Jamwal N ほか. Effect of whitening toothpaste on surface roughness and microhardness of human teeth: a systematic review and meta-analysis. F1000Res. 2022;11:22. PubMed
  10. Yaacob M ほか. Powered versus manual toothbrushing for oral health. Cochrane Database Syst Rev. 2014;(6):CD002281. PubMed
  11. Li Y. Stain removal and whitening by baking soda dentifrice: A review of literature. J Am Dent Assoc. 2017;148(11S):S20-S26. PubMed
  12. Edwards M ほか. A videofluoroscopic comparison of straw and cup drinking: the potential influence on dental erosion. Br Dent J. 1998;185(5):244-249. PubMed
  13. Lee RJ ほか. Prevention of tea-induced extrinsic tooth stain. Int J Dent Hyg. 2014;12(4):267-272. PubMed

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