【親知らず抜歯後の激痛】ドライソケットの原因・症状・予防法【歯医者が解説】

頬を押さえて痛みを相談する男性と、話を聞く歯科スタッフのイラスト

こんにちは、篠塚歯科医院です。親知らずを抜いて数日たってから、抜いた場所がズキズキと激しく痛み出した。そんな経験や不安はありませんか。

それは「ドライソケット」という、抜歯のあとのトラブルかもしれません。正しく気をつければ多くは防げますし、なってしまっても、歯科での処置で痛みが和らぐことが多いです。

この記事では、ドライソケットの原因、見分け方、防ぎ方、治し方を、東京都墨田区東駒形の篠塚歯科医院がお伝えします。

この記事のポイント

  • ドライソケットは、抜いた穴の「かさぶた」(血のかたまり)が失われて、骨がむき出しになる状態です。
  • いったん落ち着いた痛みが、抜歯の2〜3日後にぶり返して強くなるのが特徴です。
  • 強いうがいをしない、傷口をさわらない、タバコを控える。この3つで多くは防げます。

ドライソケットとは、抜いた穴の「かさぶた」が失われる状態です

歯を抜いたあと、抜いた穴には血がたまり、やがて固まってゼリー状のかたまりになります。これを血餅(けっぺい)と呼びます。

血餅は傷口の「かさぶた」です。むき出しの骨や神経を守りながら、その下で歯茎や骨が回復していく土台になります。

ところが、この血餅がはがれ落ちたり、うまく作られなかったりすると、穴の底の骨がむき出しになります。これがドライソケットです。

「乾いた穴」という名前のとおり、本来は血餅で満たされているはずの穴が、からっぽで乾いたように見えます。抜歯のあとの合併症の中でも、歯科医師がよく出会うものの1つです。

なぜあんなに痛い?症状と見分け方

痛みの経過で見分ける。ふつうの痛みは当日がピークで少しずつ和らぐ、ドライソケットは2〜3日後にぶり返して強くなる

抜歯のあとは、誰でも多少は痛みます。ふつうは、当日から翌日をピークに、日を追うごとに少しずつ和らいでいきます。

ドライソケットは、その逆です。抜歯の1〜5日後に、いったん落ち着いた痛みがぶり返して、強くなっていきます[1]。

骨の表面が、空気や食べ物、細菌に直接さらされるため、鋭くズキズキした強い痛みになります。

次のような症状があれば、ドライソケットが疑われます。

  • 抜歯の2〜3日後になって、痛みがかえって強くなってきた
  • 痛み止めが効きにくい。耳やこめかみのあたりまで痛みが広がる
  • 抜いた穴をのぞくと、赤黒い血のかたまりが見えず、白っぽい骨や食べかすが見える
  • 口臭や、口の中の嫌な味が続く

ドライソケットは、上の歯より下の親知らずを抜いたあとに起こりやすいことが知られています。当院の親知らずのページでも、頻繁なうがいで起こりやすくなるとご案内しています。

強い痛みが続くときは、我慢せずに、抜歯を受けた歯科医院に連絡してください。

ドライソケットになりやすい人と、その原因

歯科で口元を指して相談する女性と、話を聞くスタッフ

ドライソケットは、血餅が失われる、または作られないことで起こります。リスクを高めるものとして、次のようなことが報告されています。

1. タバコ(いちばん大きなリスクの1つ)

タバコは、ドライソケットのリスクをはっきり高めます。研究をまとめた報告では、タバコを吸う人は、吸わない人の3倍以上ドライソケットになっていました[1]。

ニコチンで血流が悪くなること、吸い込む動作で血餅が吸い出されること、煙の刺激が関係すると考えられています。

抜歯した当日に吸った人ほど、起こりやすかったという報告もあります[2]。

2. 難しい抜歯(下の親知らず、埋まっている歯)

横向きや斜めに埋まった親知らずのように、手術が必要な難しい抜歯ほど、リスクは上がります。骨を削ったり、歯を分けて取ったりする処置では、傷口への負担が大きくなるためです[3]。

3. 頻繁なうがい、傷口をさわること

「早くきれいにしたい」と、口をブクブク強くゆすいだり、抜いた穴を舌や指、歯ブラシでさわったりすると、せっかくできた血餅がはがれてしまいます。

いちばん身近な原因の1つで、自分で防げる部分でもあります。

4. 経口避妊薬(ピル)

女性ホルモンは、血液の固まりやすさに影響します。研究をまとめた報告では、ピルを使っている女性は、使っていない女性のおよそ2倍ドライソケットになりやすいとされています[4]。

同じ報告では、ピルを使っていない女性のリスクは男性とほぼ同じでした。「女性だから起こりやすい」のではなく、ピルの影響が大きいと考えられます。服用中の方は、抜歯の前に歯科医師へお伝えください。

ドライソケットを防ぐ5つのポイント

ドライソケットを防ぐ5つのポイント。強いうがいをしない、傷口をさわらない、数日は禁煙、血流を上げない、お薬は指示どおり

予防でいちばん大切なのは、できあがった血餅を守り、傷口の血流を安定させることです。抜歯のあとは、次のことを心がけてください。

  1. 強いうがいをしない…しばらくは、水を含んでそっと吐き出す程度に。ブクブクと勢いよくゆすがないことが、血餅を守るいちばんのコツです
  2. 傷口をさわらない、吸わない…舌や指、歯ブラシで穴をさわらない。ストローで強く吸うのも避けましょう
  3. 当日から数日は禁煙する…少なくとも当日、できれば数日は控えるのが理想です
  4. 血流が上がることを控える…当日の飲酒、湯船につかる入浴、激しい運動は、再出血や炎症のもとになります
  5. 処方されたお薬は指示どおりに…痛みがなくても、抗菌薬などは最後まで飲みましょう

歯科医院によっては、殺菌成分(クロルヘキシジン)のうがい薬をすすめることがあります。抜歯の当日とそのあと数日の使用で、ドライソケットが減ったという報告があります[5]。

市販品を自己判断で使わず、歯科医師の指示に従ってください。

なってしまったら、どう治すのか

ドライソケットになっても、多くは1〜2週間ほどで自然に治っていきます。ただ、その間の痛みが強いので、歯科での処置が役に立ちます。

治療の基本は、抜いた穴をきれいに洗うことです。そのうえで、痛みを抑える薬のガーゼを詰めたり、必要に応じてレーザーなどを組み合わせたりします[6]。決まった1つの方法があるわけではなく、状態に合わせて選びます。

大切なのは、自己判断で放ったり、市販薬だけでしのごうとしたりしないことです。処置で、痛みが楽になることが多いです。

強い痛みに加えて、熱、大きな腫れ、膿が出る、といった症状があるときは、感染など別のトラブルの可能性もあります。早めにご相談ください。

よくある質問

よくある質問

Q. ドライソケットの痛みは、いつまで続きますか?
A. 個人差はありますが、多くは1〜2週間ほどで骨の表面が新しい組織に覆われ、少しずつ和らぎます。歯科で洗浄や薬の処置を受けると、痛みが軽くなることが多いです。長引く場合は、必ず受診してください。

Q. ふつうの抜歯後の痛みと、ドライソケットの見分け方は?
A. ふつうの痛みは、当日から翌日がピークで、そのあと和らいでいきます。逆に、いったん落ち着いた痛みが2〜3日後にぶり返して強くなるなら、ドライソケットが疑われます。

Q. 抜歯のあとの食事は、どうすればいいですか?
A. 当院では、麻酔が切れるまでは食事を控え、そのあとも辛いものや酸っぱいものは避けるようご案内しています。傷口の反対側で、やわらかいものを噛むと安心です。

Q. ドライソケットは、放っておいても治りますか?
A. 時間がたてば治っていくことが多いです。ただ、その間の痛みがとても強いので、放っておくのはおすすめしません。洗浄や薬の処置で楽になることが多いので、我慢せずご連絡ください。

まとめ

  • ドライソケットは、抜いた穴の血餅が失われて、骨がむき出しになることで強く痛むトラブルです。
  • 下の親知らずを抜いたあとに起こりやすく、タバコ、強いうがい、傷口への刺激が大きなリスクです。
  • 血餅をそっと守り、当日のタバコやお酒を控え、お薬を指示どおりに使うことで、多くは防げます。
  • なってしまっても、歯科の処置で痛みが和らぐことが多いです。強い痛みを我慢しないでください。

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墨田区の篠塚歯科医院では、親知らずの抜歯や抜歯後のケアについても、お一人おひとりに時間をかけて丁寧にご説明しています。抜歯後の痛みや腫れが心配な方、抜くかどうか迷っている方も、いつでもお気軽にご相談ください。

篠塚歯科医院 歯学博士 篠塚嘉昭

参考文献

  1. Kuśnierek W ほか. Smoking as a Risk Factor for Dry Socket: A Systematic Review. Dent J (Basel). 2022;10(7):121. PubMed
  2. Al-Belasy FA. The relationship of “shisha” (water pipe) smoking to postextraction dry socket. J Oral Maxillofac Surg. 2004;62(1):10-14. PubMed
  3. Larsen PE. Alveolar osteitis after surgical removal of impacted mandibular third molars. Oral Surg Oral Med Oral Pathol. 1992;73(4):393-397. PubMed
  4. Tang M ほか. Oral Contraceptive Use and Alveolar Osteitis Following Third Molar Extraction: A Systematic Review and Meta-Analysis. Int J Dent. 2022;2022:7357845. PubMed
  5. Caso A ほか. Prevention of alveolar osteitis with chlorhexidine: a meta-analytic review. Oral Surg Oral Med Oral Pathol Oral Radiol Endod. 2005;99(2):155-159. PubMed
  6. Garola F ほか. Clinical management of alveolar osteitis. A systematic review. Med Oral Patol Oral Cir Bucal. 2021;26(6):e691-e702. PubMed

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