【歯が長くなった?】歯茎が下がる「歯肉退縮」の原因と今日からできる対策【歯医者が解説】

洗面所の鏡で自分の歯の根元を気にしている男性のイラスト

こんにちは、篠塚歯科医院です。「前より歯が長く見える」「歯の根元が見えてきて、冷たいものがしみる」。そんな変化に気づいて、不安になっていませんか。

それは、歯茎が下がる「歯肉退縮(しにくたいしゅく)」かもしれません。見た目だけでなく、知覚過敏や根元の虫歯にもつながる、放っておけないサインです。

この記事では、歯茎が下がる原因と、今日からできる進行を止めるお手入れ、下がった歯茎の治療法を、東京都墨田区東駒形の篠塚歯科医院がお伝えします。

この記事のポイント

  • 歯茎が下がるのは、年齢とともに誰にでも起こる、ありふれた変化です。
  • 一度下がった歯茎は、自然には元に戻りません。「これ以上下げない」ことがいちばん大切です。
  • やわらかめの歯ブラシを軽い力で。横のゴシゴシ磨きはやめて、定期的にチェックを受けましょう。

歯茎が下がる「歯肉退縮」とは

歯肉退縮とは、歯を包んでいる歯茎の位置が下がり、本来は隠れている歯の根元(歯根)が見えてしまう状態です。

歯そのものが伸びるわけではありません。歯茎が下がることで、「歯が長くなったように見える」のが特徴です。

決して珍しいものではありません。アメリカの大人を調べた大きな調査では、歯茎が3mm以上下がった場所が1か所以上ある人がおよそ5人に1人いました[1]。

別の報告では、65歳以上の9割近く、18〜64歳の半数に、1か所以上の歯肉退縮が見られました[2]。歯磨きが上手な人にも起こります。年齢とともに、誰にでも起こりうる変化なのです。

歯茎が下がると起こる、3つの困りごと

歯茎が下がると起こる3つの困りごと。見た目の変化、知覚過敏、根元の虫歯

「少し歯が長く見えるだけ」と思いがちです。でも、見えてしまった歯の根元には、次のようなリスクがあります。

  • 見た目の変化…歯が長く見えたり、歯と歯の間に黒い三角のすき間ができたりします。笑ったときの印象が変わります
  • 知覚過敏…根元は、かたいエナメル質に覆われていません。冷たいものや歯ブラシで「キーン」としみやすくなります
  • 根元の虫歯…見えた根元は酸に弱く、虫歯になりやすい場所です。とくにご高齢の方で問題になります

歯茎が下がる主な原因

歯茎が下がった歯の根元のイラスト

歯肉退縮は、1つの原因で起こるのではなく、いくつかの要因が重なって進むと考えられています。代表的なものを挙げます。

1. 歯周病

いちばん代表的な原因です。歯茎の炎症が続くと、歯を支える骨が溶けて下がり、それに合わせて歯茎も下がっていきます。

歯周病は自覚症状が出にくいまま進みます。気づいたときには、歯茎がかなり下がっていることも少なくありません。

2. 強すぎる歯磨き、間違った歯磨き

「しっかり磨こう」と力を入れすぎたり、かたい歯ブラシで横にゴシゴシこすったりすると、歯茎を傷めて下がる一因になると考えられています。

ただ、研究をまとめた報告では、歯磨きが歯肉退縮の原因だと言い切るにも、否定するにも、まだ証拠は十分ではないとされています[3]。

一方で、同じ報告は、歯肉退縮と関係する要因も挙げています。磨く回数の多さ、横方向のゴシゴシ磨き、毛のかたさ、磨く時間の長さです[3]。

「原因と言い切れないが、避けたほうがよい磨き方はある」というのが正確な理解です。

3. 加齢

先ほどの調査のとおり、歯肉退縮は年齢とともに増えます。長年の歯磨きや噛む力の積み重ね、歯茎の変化などが影響すると考えられています。

4. 歯ぎしり、食いしばり

寝ているときの歯ぎしりや、日中の食いしばりで強い力がかかり続けると、歯茎や骨に負担がかかり、歯肉退縮を進める一因になりえます。

心当たりのある方は、寝るときに着けるマウスピース(ナイトガード)も選択肢になります。

5. 歯並び、矯正治療

もともと歯が外側に傾いている、歯を覆う骨や歯茎が薄い、という場合は、その部分の歯茎が下がりやすくなります。

矯正治療で歯を動かす途中に起こることもあります。歯茎が薄い方は、治療前の評価が大切です。

6. 喫煙

タバコは歯茎の血流を悪くし、歯周病を進めやすくします。歯肉退縮と関係する要因の1つとして知られています。

一度下がった歯茎は、自然には元に戻りません

ここが、いちばん大切なところです。一度下がった歯茎が、自分のお手入れで元の高さまで戻ることは、基本的にありません。

だからこそ、「下がってから治す」より、「これ以上下げない」「下がる前に防ぐ」ことが何より大切です。

「歯茎が下がってきたかも」と感じた段階で早めに受診し、原因を見きわめて進行を止めることが、将来の歯を守ることにつながります。

今日からできる、進行を止めるお手入れ

歯茎をこれ以上下げない3つの習慣。やわらかめの歯ブラシ、横のゴシゴシ磨きをやめる、定期的なチェック

やわらかめの歯ブラシを、軽い力で

毛のかたさと歯茎への影響を調べた研究をまとめた報告では、かための歯ブラシは、やわらかめや普通のものより歯茎の傷が多いとされています[4]。

歯ブラシはペンを持つように軽く握りましょう。鉛筆を紙にすべらせるくらいの力で十分です。

横方向のゴシゴシ磨きをやめる

歯と歯茎の境目に毛先を斜め45度で当てて、小さく動かすのが基本です。力まかせの横磨きは、歯茎にも歯の根元にも負担になります。

歯周病と、歯ぎしりへの対策

原因が歯周病なら、その治療が第一です。歯石を取り、磨き方を見直して炎症を抑えることが、退縮を止める土台になります。

強い力が原因の1つなら、マウスピースなどで歯や歯茎への負担を減らします。

定期的に、歯科でチェックを受ける

歯茎の変化は、自分では気づきにくいものです。定期的なチェックで、下がり始めを早めにとらえましょう。

下がってしまった歯茎を治す方法

すでに大きく下がっている場合でも、手術で改善できることがあります。上あごの内側などから歯茎の組織を移して、見えた根元を覆う方法(結合組織移植術)です。

見た目や知覚過敏の改善が期待できます。当院でも、歯周外科としてこうした歯茎の移植術に対応しています。

ただし、下がり方の程度、原因、歯茎や骨の状態によって、できる方法は変わります。まずは診察で状態を確認し、費用や治療の範囲も含めてご案内します。

よくある質問

よくある質問

Q. 歯茎が下がってきました。マッサージや塗り薬で戻せますか?
A. 残念ながら、一度下がった歯茎がご自分のお手入れで元の高さに戻ることは、基本的にありません。まずは、これ以上進ませないことが目標です。改善を希望される場合は、歯茎の移植術などが選択肢になりますので、ご相談ください。

Q. 歯茎が下がったのは、私の歯磨きが強すぎたせいですか?
A. 強い横磨きやかたい歯ブラシは避けたほうがよい要因です。ただ、研究では「歯磨きだけが原因」と言い切れるほど証拠はそろっていません。歯周病・加齢・歯ぎしり・歯並びなどが重なって起こることが多いので、ご自分を責めすぎず、原因を一緒に確認していきましょう。

Q. 歯茎が下がると、放っておいたら歯が抜けますか?
A. 歯肉退縮そのものが、すぐ抜歯につながるわけではありません。ただ、原因が歯周病の場合は、支える骨が溶け続けると、歯のぐらつきや喪失につながります。原因を見きわめて、進行を止めることが大切です。

まとめ

  • 歯茎が下がる歯肉退縮は、年齢とともに誰にでも起こりうる変化です。見た目だけでなく、知覚過敏や根元の虫歯の入り口にもなります。
  • 原因は、歯周病・強すぎる歯磨き・加齢・歯ぎしり・歯並びなどさまざまで、一度下がった歯茎は自然には戻りません。
  • だからこそ、やさしい歯磨きと定期的なチェックで「これ以上下げない」ことが何より大切です。
  • 大きく下がった歯茎には、歯茎の移植術という方法もあります。

「歯が長くなった気がする」「根元がしみる」と感じたら、早めにご相談ください。

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墨田区の篠塚歯科医院では、予約は一人一時間を確保し、歯茎の状態を丁寧に確認しながら、一人ひとりに合った予防と治療を心がけています。お口の中の気になる点やお悩みがあれば、いつでもご相談ください。

篠塚歯科医院 歯学博士 篠塚嘉昭

参考文献

  1. Albandar JM ほか. Gingival recession, gingival bleeding, and dental calculus in adults 30 years of age and older in the United States, 1988-1994. J Periodontol. 1999;70(1):30-43. PubMed
  2. Kassab MM ほか. The etiology and prevalence of gingival recession. J Am Dent Assoc. 2003;134(2):220-225. PubMed
  3. Heasman PA ほか. Evidence for the occurrence of gingival recession and non-carious cervical lesions as a consequence of traumatic toothbrushing. J Clin Periodontol. 2015;42 Suppl 16:S237-S255. PubMed
  4. Ranzan N ほか. Are bristle stiffness and bristle end-shape related to adverse effects on soft tissues during toothbrushing? A systematic review. Int Dent J. 2019;69(3):171-182. PubMed

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