インプラントの歯周病はこれで予防!インプラント周囲炎の原因と予防法とは?

こんにちは、篠塚歯科医院です。

「インプラント周囲炎」という言葉を聞いたことはありますか。インプラントは仕上がりの自然さと、自分の歯に近い噛む感覚が得られることから、失った歯を補う方法として選ばれる方が増えています。

インプラントの寿命は長く、ある論文では平均7.5年追跡した結果、成功率は98.5%でした(Journal of Oral Implantology 2008;34(3):150-160)。ブリッジの耐用年数を平均8年程度とする報告もあるため、この成績はかなり高いといえます。

しかし、インプラント治療後の過ごし方によっては、早期にインプラントを失ってしまうことがあります。その大きな原因のひとつが「インプラント周囲炎」です。今回は、その原因・症状・予防方法を解説します。

インプラント周囲炎とは?

インプラント周囲炎とは

インプラント部分が歯周病の細菌に感染し、歯周病と同じような状態になることをいいます。症状は歯周病と似ていますが、インプラントを支えている顎の骨が失われるスピードが速く、自覚症状が出るころにはかなり進行していることが多いのが特徴です。

しかも、歯周病に比べて一度感染すると完治が難しいという違いがあります。天然の歯には、歯と骨をつなぐ「歯根膜」という組織があり、細菌への防御に働きます。しかしインプラントにはこれがありません。だからこそ、予防と早期発見・早期治療が何よりも重要になります。

頻度も決してまれではありません。歯周病専門の診療科を受診した患者さんを対象とした調査では、インプラント周囲炎は患者さんの約10人に1人(9.9%)、その手前の段階である「インプラント周囲粘膜炎」は36.4%にみられたと報告されています(JaafarほかClinical Oral Implants Research, 2026年)。

インプラント周囲炎の原因

インプラント周囲炎の原因

原因は大きく2つです。

  1. 磨き残しによるプラーク
  2. 歯ぎしりなど、過度な噛む力

インプラントは、治療が完了したら終わりではありません。その後のケアで寿命が大きく左右されます。歯ブラシが当たらず慢性的に汚れがたまっていると、リスクは確実に高まります。

また、喫煙の習慣がある方は、タバコの影響で全身の血行が悪くなります。歯ぐきの血行も悪くなるため、細菌に対する抵抗力が弱まり、リスクが高くなります。そのほか、糖尿病などの持病がある方も、かかりやすいといわれています。

インプラント周囲炎の症状

インプラント周囲炎の症状

進行が速いため、早期発見がポイントになります。次の5つに当てはまるものがないか、確認してみてください。

  • 歯ぐきが腫れている・出血がある
  • 歯ぐきを押すと膿が出る
  • インプラントのあたりに痛みがある
  • 歯ぐきが下がってきた
  • インプラントが揺れる

少しでも当てはまる症状があれば、早めに担当医に確認してもらいましょう。とくに「揺れ」は進行したサインですので、すぐにご連絡ください。

インプラント周囲炎の予防方法

インプラント周囲炎の予防

セルフケアと生活習慣の見直し

大きな原因はプラークです。プラークは歯ブラシで落とせる汚れですから、毎日のブラッシングでしっかり除去しましょう。インプラントと歯ぐきの境目には、歯間ブラシやタフトブラシ(毛束が小さい歯ブラシ)が有効です。

細菌は体の抵抗力が落ちると優位に働きます。睡眠不足やストレスなど、抵抗力の弱まる生活は見直しましょう。喫煙も重要な要素です。タバコは全身の血行を悪くし、歯ぐきに酸素や栄養が届きにくくなるため、細菌と戦う免疫の働きが低下します。

歯ぎしり対策のマウスピースを使う

過度な噛む力は、インプラントを支えている骨を壊してしまいます。歯科医院で歯ぎしり・食いしばりを指摘された方、日中にも噛みぐせがある方、そしてインプラントに至った抜歯の原因が「根の破折」だった方は、インプラントにかかる負担を最小限にするため、マウスピース(ナイトガード)の使用をおすすめします。

天然の歯には、噛む力を感じ取ってブレーキをかける仕組み(歯根膜のセンサー)がありますが、インプラントにはそれがありません。力がかかりすぎても気づきにくい——この点も、力のコントロールが重要な理由です。

定期メンテナンスに通う

治療後も定期的に歯科医院を受診し、メンテナンスを受けましょう。異常を早期に発見して対処できるので、インプラントの寿命を長く保つことにつながります。必要に応じて噛み合わせの調整も行います。

通う頻度は歯科医院によって異なりますが、3か月ごとが一般的です。少なくとも年に2回は状態を確認してもらいましょう。また、インプラントに保証制度を設けている歯科医院では、「定期メンテナンスに通っていること」が保証の条件になっているケースが多いので、指示どおりに受診することが大切です。

「粘膜炎」の段階で気づけるかが分かれ道

インプラントのまわりの病気は、2段階に分けて考えます。

  • インプラント周囲粘膜炎……歯ぐきに炎症は起きているが、骨はまだ失われていない段階。腫れや出血が主な症状です。この段階なら、清掃状態を改善することで元に戻せる可能性があります。
  • インプラント周囲炎……炎症が骨にまで及び、骨が溶け始めた段階。一度失われた骨は自然には戻りません。

前述の調査でも、粘膜炎の段階の方が36.4%と、周囲炎(9.9%)よりずっと多く見られました。つまり、多くの方が「まだ戻せる段階」で見つけられる可能性があるということです。歯ぐきの腫れや出血を「よくあること」と流さず、早めに確認してもらいましょう。

よくある質問

よくある質問

Q. インプラントは虫歯にならないから安心では?
A. 虫歯にはなりませんが、まわりの歯ぐきと骨は病気になります。むしろ天然の歯より進行が速いため、油断は禁物です。

Q. 治ったあとの歯ぐきの腫れは、放っておいてもよいですか?
A. いいえ。腫れや出血は「粘膜炎」の段階のサインです。この段階なら清掃の改善で戻せることが多いので、早めにご相談ください。骨が溶け始めると元には戻りません。

Q. どんな歯ブラシを使えばよいですか?
A. 通常の歯ブラシに加えて、歯間ブラシやタフトブラシの併用をおすすめします。サイズや当て方は、メンテナンスの際にお伝えします。

Q. 一度インプラント周囲炎になったら、抜くしかないのですか?
A. 進行度によります。早期であれば、清掃と処置で進行を止められる場合があります。骨の吸収が大きい場合は撤去を検討することもあります。だからこそ早期発見が重要です。

Q. 他院で入れたインプラントもメンテナンスできますか?
A. 可能です。使用しているインプラントの種類が分かる資料があるとスムーズです。お持ちでない場合もご相談ください。

まとめ

インプラントを守る

インプラント周囲炎は、インプラントを失う大きな原因です。感染すると進行が速く、完治が難しいため、予防と早期発見・早期治療がポイントになります。

原因は「プラーク」と「過度な噛む力」。プラークは歯ブラシで落とせますので、毎日のケアで口の中を清潔に保ちましょう。噛む力は、マウスピースでコントロールできます。そして、治療後は歯科医院の定期メンテナンスを必ず受けてください。

インプラントは、しっかりケアを行えばメリットの多い治療法です。セルフケアと歯科医院でのメンテナンス、この両輪でインプラントを守っていきましょう。

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篠塚歯科医院 歯学博士 篠塚嘉昭

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