【口の中に硬いこぶ】骨隆起(口蓋隆起・下顎隆起)の原因と、取ったほうがよいケース【歯医者が解説】

口の中の硬いこぶに気づいて、ほほに手を当てて首をかしげる女性のイラスト

こんにちは、篠塚歯科医院です。

「舌でさわったら、上あごの真ん中に硬いふくらみがある」「下の歯の内側に、ぼこっとしたこぶがある」。そんなことに気づいて、不安になっていませんか。

その多くは、骨隆起(こつりゅうき)と呼ばれる骨の出っぱりです。この記事では、できる原因と、受診したほうがよい変化をお伝えします。

この記事のポイント

  • 骨隆起は、あごの骨が部分的にもり上がったものです。腫瘍ではなく、症状がなければ、そのままで問題ないことがほとんどです。
  • 体質と、かむ力の両方が関わるとされています。下あごの骨隆起は、歯ぎしり・食いしばりを見直すきっかけになります。
  • 片側だけにある、大きくなってきた、傷が2週間たっても治らない。そんなときは、早めに歯科で確かめましょう。

口の中の硬いこぶ「骨隆起」とは?口蓋隆起・下顎隆起の特徴

「これって、できもの?悪いものだったらどうしよう」と心配になりますよね。

骨隆起は、あごの骨が部分的に厚くなって、もり上がったものです。腫瘍ではなく、良性のものとされています[1]。

歯科では「外骨症(がいこつしょう)」と呼ぶこともあります。できる場所によって、呼び名が変わります。

上あごの真ん中にできる「口蓋隆起」

口蓋隆起(こうがいりゅうき)は、上あごの天井の真ん中にできます[2]。「上顎にできものがある」と感じる場所です。

形はさまざまです。平たくなだらかなもの、丸いこぶのようなもの、でこぼこと分かれたものがあります[2]。

日本の60歳以上の方を調べた調査では、およそ6人に1人に見つかりました。男性より女性に多いことも分かっています[3]。

下の歯の内側にできる「下顎隆起」

下顎隆起(かがくりゅうき)は、下の歯の内側にできます。舌に面した側の、糸切り歯から少し奥のあたりです[2]。

左右の同じ場所に、対になってできることが多いのが特徴です[2]。

同じ日本の調査では、約3割の方に見つかりました[4]。大学生を調べた別の調査では、半数以上にあったと報告されています[5]。

調べ方がちがうので単純には比べられませんが、めずらしいものではありません。

歯ぐきの外側が、ぼこぼこすることも

歯ぐきの外側、ほほやくちびるに面した側の骨が、もり上がることもあります。「歯茎に骨の出っ張りがある」と感じるタイプです。

こうした出っぱりは、年齢が上がるほど見つかりやすいと報告されています[6]。

どうやって気づく?

骨隆起は、痛みなどの症状がないことがほとんどです。歯科の診察で、たまたま見つかることも多いです[2]。

大きくなるのは、とてもゆっくりです[2]。そのため、ある日ふと舌でさわって気づく、ということが起こります。

骨隆起の原因は?体質と「かむ力」が関わります

「どうして自分にだけ、できたんだろう」と思う方は多いです。

はっきりした原因は、まだ分かっていません[2]。体質と、かむ力などの刺激が重なってできると考えられています[7]。

体質(遺伝)

下あごの骨隆起を、ふたごで調べた研究があります。一卵性のふたごでは、ほとんどのペアで「ある・なし」がそろっていました[7]。

ご家族に骨隆起がある方は、ご自身にもできやすいのかもしれません。

かむ力・歯ぎしり・食いしばり

先ほどの日本の調査では、下あごに骨隆起がある方は、ない方よりかむ力が強い傾向がありました[4]。

歯のすり減りがある方に、下あごの骨隆起が多いという報告もあります[5][8]。

かむ筋肉がよく発達した方では、あごの骨が力に応えて厚くなる。そんなしくみが考えられています[2]。

上あごの骨隆起は、かむ力との関係がはっきりしません

上あごの口蓋隆起は、少し事情がちがいます。

日本の調査では、歯ぎしりやかむ力との関係は見られませんでした。体質の影響のほうが大きいと考えられています[3]。

「骨隆起がある=食いしばっている」とは限りません

「骨隆起があるから、歯ぎしりをしているはず」と決めつけることはできません。

たくさんの研究をまとめた報告では、ご本人が自覚している歯ぎしりとの関係は、結果が分かれていました[8]。

もとになった研究の質も高くなく、まだはっきりとは言い切れません[8]。骨隆起は、かむ力を見直す「きっかけのひとつ」と考えましょう。

骨隆起は放置して大丈夫?受診したほうがよい5つの変化

骨隆起かなと思っても早めに歯科で確かめたい5つの変化のチェックリスト。片側だけにある、大きくなってきた、やわらかい、傷が治らない、色や痛みの変化

「痛くないけれど、このままにしておいていいの?」。いちばん気になるところですよね。

結論からお伝えします。症状がなければ、そのままで問題ないことがほとんどです[1][2]。

年齢とともに大きくなる?

骨隆起は、少しずつ大きくなります。途中で自然に止まることもあるとされています[2]。

下あごの骨隆起を、年数をあけてCTで比べた研究があります。2〜9年たっても、大きくなった様子は見られませんでした[9]。

ただ、大きくなり方には個人差があります。定期検診のたびに、変化がないかを見てもらうと安心です。

こんな変化があったら、早めに歯科へ

「硬いから骨隆起だろう」と、ご自身で決めてしまうのはおすすめできません。次の5つの変化があれば、早めに診てもらいましょう。

  • 片側だけにある…左右で形や大きさがちがう
  • 大きくなってきた…前より明らかに目立つ[10]
  • やわらかい…骨のような硬さがない
  • 傷が治らない…表面の傷や口内炎が、2週間たっても治らない[11]
  • 色や痛みの変化…赤や白に変わる、出血する、痛みが続く[10][11]

当てはまっても、悪いものと決まったわけではありません。ただ、まれに見逃したくない病気がかくれていることがあります。

国立がん研究センターも、2週間たっても治らない口内炎には注意が必要としています[11]。

骨隆起と似ているもの

骨隆起とよく似たものに、骨腫(こつしゅ。骨にできる良性の腫瘍)があります。

骨腫は、大人になってからも少しずつ大きくなり続けるのが特徴です[12]。見た目だけでは、区別しにくいこともあります。

歯科ではこうして確かめます

診察では、場所・形・硬さ・表面の粘膜の様子を、目で見て、指でさわって確かめます[2]。

はっきりしないときは、エックス線やCTで骨の形をくわしく調べます[2][12]。当院にも、歯科用のCTがあります。

一度確かめておけば、あとは定期検診で変化を追うだけで済みます。

骨隆起が痛い?困るのはこんなとき

「ふだんは気にならないのに、ときどき痛い」。そんな経験はありませんか。

骨隆起そのものは、症状がないのがふつうです[2]。ただ、出っぱっているぶん、まわりで困りごとが起きやすくなります。

傷や口内炎ができやすい

骨隆起をおおう粘膜は薄く、血のめぐりも少なめです[2][13]。そのため、ちょっとした刺激で傷がつきやすくなります。

せんべい、フランスパンの皮、揚げものの衣。こうした硬い食べ物がこすれて、傷をくり返すことがあります[1]。

熱いピザやたこ焼きにも、気をつけたいところです。硬いものはゆっくり、熱いものは少し冷まして食べましょう。

傷が2週間たっても治らないときは、歯科で診てもらってください[11]。

入れ歯が当たって痛い・安定しにくい

入れ歯を使う方では、骨隆起がじゃまになることがあります。入れ歯が安定しにくくなったり、当たって傷ができたりします[2]。

入れ歯の形を工夫して、骨隆起をよけて作れることもあります[2]。取るかどうかは、お口の状態を見て考えます。

入れ歯の種類については、入れ歯の種類の記事でご紹介しています。

大きくなると、話しにくい・食べかすがたまりやすい

かなり大きくなると、発音しにくい、かみにくいと感じる方もいます[2]。

でこぼこのすき間に、食べかすがたまりやすくなることもあります[2]。小さめの歯ブラシで、やさしく磨きましょう。

骨粗しょう症などのお薬を使っている方へ

骨粗しょう症や、がんの骨への転移の治療では、骨が減るのを抑えるお薬が使われます。

こうしたお薬を使っている方では、あごの骨が傷んで治りにくくなることがあります。骨隆起は、それが起こりやすい場所のひとつです[14]。

粘膜が薄く、傷がつきやすいためと考えられています[13]。

起こりやすさは、お薬の種類や量によってちがいます[14]。ご自分の判断で、お薬をやめないでください。

お薬のことは、主治医と歯科の両方に伝えておきましょう。骨隆起に傷ができて治らないときは、早めにご相談ください。

骨隆起を取ったほうがよいケースと、手術のあらまし

骨隆起を取ることを考える3つのケース。入れ歯のじゃまになる、傷をくり返す、話す・食べるに支障がある

「取らないといけないのかな」と心配される方もいるでしょう。

多くの場合、取る必要はありません[1][2]。取ることを考えるのは、生活に困りごとがあるときです。

代表的なのは、次の3つのケースです[1][2]。

  • 入れ歯のじゃまになる…当たって痛い、安定しない
  • 傷をくり返す…同じ場所に、何度も傷や口内炎ができる
  • 話す・食べるに支障がある…発音しにくい、かみにくい

手術のあらまし

取る場合は、もり上がった骨を削って、なだらかに整えます。多くは、歯科でふだん使う部分麻酔で行われます[2]。

流れは、次のとおりです[2]。

  1. 麻酔をして、骨隆起の上の歯ぐきを開く
  2. 出っぱった骨を、専用の器具で削って取る
  3. 表面をなめらかに整えて、歯ぐきを縫い合わせる

手術のあとは、はれや内出血、軽い痛みが出ることがあります[2]。

多くはありませんが、まわりの神経や血管を傷つけるなどの合併症も報告されています[2]。

取ったあと、また大きくなることは?

取ったあとにまた大きくなることは、まれとされています[15]。

ただ、歯ぎしりのある方で、手術のあと短い期間で元の大きさに戻った例も報告されています[15]。

取ったほうがよいかどうかは、お口の状態や困りごとによって変わります。まずは診察でご相談ください。

下あごの骨隆起は、歯ぎしり・食いしばりを見直すきっかけに

「歯ぎしりなんて、していないと思うけれど…」。そう感じる方も多いはずです。

歯ぎしりや食いしばりは、ご自身では気づきにくいものです。下あごに骨隆起がある方は、ほかのサインがないかを確かめてみましょう。

こんなサインはありませんか

  • 朝のあご…起きたとき、あごが疲れている・だるい
  • 歯の変化…すり減っている、ヒビがある、しみる
  • 詰め物…よく取れる
  • 筋肉…エラが張ってきた、肩こりや頭痛がある
  • あごの関節…カクカク鳴る、口が開けにくい

当てはまるものが多い方は、歯やあごに負担がかかっているかもしれません。くわしくは歯ぎしりの原因の記事をご覧ください。

あごの音や痛みが気になる方は、顎関節症の記事も参考にしてください。

今日からできること|上下の歯を離す

何もしていないとき、上下の歯はふれていないのがふつうです。歯がふれている時間は、1日に20〜30分ほどといわれています。

パソコンや家事に集中していると、気づかないうちに歯を合わせていることがあります。

「歯を離す」と書いたふせんを、よく目に入る場所に貼ってみましょう。気づいたら、力を抜いて歯を離します。

くわしい方法は、当院の歯ぎしり・食いしばりのページでもご紹介しています。

歯科でできること

歯ぎしりから歯を守る方法に、寝るときにつけるマウスピース(ナイトガード)があります。当院では、型をとってお一人ずつ作ります。

くわしくはナイトガードの記事をご覧ください。かむ筋肉の力をやわらげるボトックス注射という方法もあります。

ナイトガードで骨隆起は小さくなる?

ここは、正直にお伝えします。マウスピースで骨隆起が小さくなるか、大きくなるのを防げるかは、まだはっきり分かっていません。

マウスピースの目的は、あくまで歯やあごを守ることです。骨隆起をなくすための治療ではない、と考えておきましょう。

よくある質問

よくある質問

Q. 骨隆起は、がんになりますか?
A. 骨隆起は腫瘍ではなく、良性のものとされています[1]。ただ、見た目だけで骨隆起と決めることはできません。気になる変化があれば、歯科で確かめましょう。

Q. 若い人にもできますか?
A. 大学生を調べた日本の調査でも、半数以上に下あごの骨隆起が見つかっています[5]。小さな子どもにできることは、少ないとされています[2]。

Q. いびきや睡眠時無呼吸と関係がありますか?
A. 肥満のない睡眠時無呼吸の方を調べると、下あごに骨隆起がある方は、呼吸が止まる回数が多い傾向でした[16]。ただ、骨隆起が原因と決まったわけではありません。いびきや日中の眠気が気になる方は、まず医科で検査を受けましょう。

Q. 骨隆起の上に口内炎ができて痛いです。どうすればよいですか?
A. 硬いものや熱いものをひかえて、やさしく歯磨きをしながら様子を見ましょう。2週間たっても治らないときは、歯科を受診してください[11]。

Q. 何科にかかればよいですか?
A. まずは、かかりつけの歯科で大丈夫です。診察で、骨隆起かどうかを確かめます。くわしい検査が必要なときは、歯科口腔外科で調べることもあります。

まとめ

  • 骨隆起は、あごの骨が部分的にもり上がったものです。腫瘍ではありません。
  • 体質とかむ力が関わります。下あごの骨隆起は、かむ力との関係が報告されています。
  • 症状がなければ、そのままで問題ないことがほとんどです。
  • 片側だけ・大きくなってきた・やわらかい・傷が2週間治らないときは、早めに歯科へ。
  • 入れ歯のじゃまになるときや、傷をくり返すときは、取ることを考えます。
  • 骨粗しょう症などのお薬を使っている方は、主治医と歯科の両方に伝えましょう。

「これは骨隆起かな?」と思ったら、定期検診のついでに声をかけてください。一度確かめておくと、安心して過ごせます。

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墨田区の篠塚歯科医院では、患者さんのお口の健康を守るため予約は一人一時間を確保して、丁寧な診療を心掛けています。お口の中の気になる点やお悩みがあれば、いつでもご相談ください。

篠塚歯科医院 歯学博士 篠塚嘉昭

参考文献

  1. Gonsalves WC ほか. Common oral lesions: Part II. Masses and neoplasia. Am Fam Physician. 2007;75(4):509-512. PubMed
  2. García-García AS ほか. Current status of the torus palatinus and torus mandibularis. Med Oral Patol Oral Cir Bucal. 2010;15(2):e353-e360. PubMed
  3. Yoshinaka M ほか. Prevalence of torus palatinus among a group of Japanese elderly. J Oral Rehabil. 2010;37(11):848-853. PubMed
  4. Yoshinaka M ほか. Prevalence of torus mandibularis among a group of elderly Japanese and its relationship with occlusal force. Gerodontology. 2014;31(2):117-122. PubMed
  5. Morita K ほか. Prevalence of Torus Mandibularis in Young Healthy Dentate Adults. J Oral Maxillofac Surg. 2017;75(12):2593-2598. PubMed
  6. Jainkittivong A ほか. Buccal and palatal exostoses: prevalence and concurrence with tori. Oral Surg Oral Med Oral Pathol Oral Radiol Endod. 2000;90(1):48-53. PubMed
  7. Auškalnis A ほか. Multifactorial etiology of Torus mandibularis: study of twins. Stomatologija. 2015;17(2):35-40. PubMed
  8. Bertazzo-Silveira E ほか. Association between signs and symptoms of bruxism and presence of tori: a systematic review. Clin Oral Investig. 2017;21(9):2789-2799. PubMed
  9. Schnutenhaus S ほか. Prevalence, Characteristics, and Dynamics of Mandibular Tori in a Southern German Population: A Cone Beam Computed Tomographic Analysis. Oral. 2025;5(3):54. 論文を開く
  10. 日本口腔外科学会 口腔外科相談室「『きずやできもの』ができた」 ページを開く
  11. 国立がん研究センター「口腔がんの原因・症状について」 ページを開く
  12. Tarsitano A ほか. Craniofacial Osteomas: From Diagnosis to Therapy. J Clin Med. 2021;10(23):5584. PubMed
  13. Amin H ほか. Surgical and conservative treatment outcomes of medication-related osteonecrosis of the jaw located at tori: a retrospective study. Oral Maxillofac Surg. 2024;28(3):1117-1125. PubMed
  14. 顎骨壊死検討委員会「薬剤関連顎骨壊死の病態と管理:顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー2023」 資料を開く
  15. Valentin R ほか. Early recurrence of mandibular torus following surgical resection: A case report. Int J Surg Case Rep. 2021;83:105942. PubMed
  16. Ahn SH ほか. Torus mandibularis affects the severity and position-dependent sleep apnoea in non-obese patients. Clin Otolaryngol. 2019;44(3):279-285. PubMed

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