歯磨き後のブクブクうがいは絶対ダメ!【墨田区の歯医者 本所吾妻橋・浅草 予防歯科】

こんにちは、篠塚歯科医院です。
歯みがきあるある——「歯みがきのあとは、ブクブクうがいをしてスッキリしたい!」。歯みがき剤のメンソール味や粘つきが気になって、つい何度もうがいをしたくなりますよね。とてもよく分かります。
でもそのうがい、実はせっかくの歯みがきの効果を大きく減らしてしまっているかもしれません。今回は、浅草・本所吾妻橋エリアで「なるべく削らない予防歯科」に力を入れている当院が、毎日の歯みがきの虫歯予防効果を最大にする「すすぎ方」を、研究データと日本の学会の推奨をもとに解説します。
目次
歯みがきは「汚れを落とす」だけではない

歯みがきの目的は、歯垢(プラーク)を落とすことだけではありません。もうひとつ大切なのが、歯みがき剤に含まれるフッ素を歯に行き渡らせることです。フッ素は歯の表面を修復し(再石灰化)、酸に溶けにくい強い歯質に変えてくれます。
ここで大事なのは、フッ素は「塗った瞬間に効く」のではなく、口の中にとどまっている時間が長いほど働くという点です。つまり、良い状態にしたら、そのままにしておくのが理想。洗顔にたとえるなら、歯みがきは「洗顔」と「美容液を塗る」を同時にやっているようなもの。汚れを落として美容液を塗ったあと、もう一度お水でバシャバシャ顔を洗いますか?——洗いませんよね。歯みがき後の何度ものうがいは、まさにそれと同じことをしているのです。
データで見る:すすぎ方でフッ素はここまで減る
「そうは言っても、少しくらい変わらないのでは?」と思われるかもしれません。しかし、実際に測ってみると差は歴然です。
フッ素入り歯みがき剤で磨いたあと、唾液中のフッ素濃度がどう変わるかを調べた研究では、まったくうがいをしない場合と比べて、水で1回うがいをすると約1〜2倍、2回うがいをすると約4〜5倍もフッ素濃度が下がったと報告されています(Sjögren&Birkhed「Effect of various post-brushing activities on salivary fluoride concentration after toothbrushing with a sodium fluoride dentifrice」Caries Research 第28巻2号, 1994年)。うがいの回数が1回増えるだけで、口の中に残るフッ素は大きく減ってしまうのです。
さらに興味深いのは、「長くすすぐこと」より「たくさんの水ですすぐこと」のほうが影響が大きいという点です。すすぎの時間(10秒と60秒)を変えてもフッ素の残り方に差はなかったのに対し、水の量を増やすと唾液・歯間の水分・歯間のプラークのいずれでもフッ素が大きく減ったことが分かっています(Sjögren&Melin「The influence of rinsing routines on fluoride retention after toothbrushing」Gerodontology 第18巻1号, 2001年)。意識すべきは「時間」ではなく「水の量と回数」ということです。
すすぎ方は、実際の虫歯の数にも関係していた
「フッ素が減るのは分かったけれど、本当に虫歯の数が変わるの?」——この点についても調査があります。平均12.5歳の2,621名を3年間追跡した臨床試験では、虫歯の増え方が「歯をみがく回数」だけでなく、「みがいたあとのすすぎ方」とも統計的に有意に関連していたと報告されています(Chestnuttほか「The influence of toothbrushing frequency and post-brushing rinsing on caries experience in a caries clinical trial」Community Dentistry and Oral Epidemiology 第26巻6号 406-411, 1998年)。
毎日の何気ない習慣が、数年後の虫歯の本数に効いてくる。すすぎ方は、それだけ影響の大きい「ひと手間」なのです。
日本の学会が示す推奨:うがいは「少量の水で1回」
この考え方は、いまや日本の公式な推奨にもなっています。2023年1月、日本口腔衛生学会・日本小児歯科学会・日本歯科保存学会・日本老年歯科医学会の4学会が合同で「フッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法」を発表しました(日本小児歯科学会「4学会合同の提言」2023年1月1日)。ポイントは次のとおりです。
- 回数……全年代で「就寝前を含めて1日2回の歯みがきを行う」
- 歯が生えてから2歳……1000ppmF(900〜1000ppmF)を「米粒程度(1〜2mm程度)」
- 3〜5歳……1000ppmF(900〜1000ppmF)を「グリーンピース程度(5mm程度)」
- 6歳〜成人・高齢者……1500ppmF(1400〜1500ppmF)を「歯ブラシ全体(1.5〜2cm程度)」
- うがい……3歳以上では「うがいをする場合は少量の水で1回のみ」
具体的には、大さじ1杯(15mL)ほどの水を口に含み、ブクブクせずにすぐ吐き出すくらいで十分です。「本当にこれだけ?」と思うほど少量ですが、それがフッ素を口の中に残すコツです。もちろん、小さなお子さんでうがいが上手にできない場合は無理をせず、歯みがき剤の量を年齢に合わせて調整してください。
歯みがきのあとの「飲食」にもひと工夫
せっかくうがいを最小限にしても、そのあとすぐに飲んだり食べたりしては、フッ素は流れていってしまいます。前述の研究でも、歯みがき後に噛んだり飲んだりすると唾液中のフッ素濃度が下がることが確認されています。
そこで当院がおすすめしているのが、歯みがきのあとしばらく(できれば2時間ほど)は飲食を控えるという習慣です。とはいえ日中は難しいこともあるでしょう。その場合は、寝る前の1回だけでも徹底するようにしてください。就寝中は唾液の分泌が減り、口の中の自浄作用が落ちるため、フッ素を残しておく価値がもっとも高い時間帯です。
よくある質問

Q. うがいを減らすと、口の中が気持ち悪くありませんか?
A. 最初は慣れないかもしれません。泡が気になる場合は、みがいたあとにいったん泡を吐き出してから、少量の水で1回だけすすぐとすっきりします。味が強い歯みがき剤が苦手な方は、低刺激のタイプに変えるのも一つの方法です。
Q. フッ素を飲み込んでしまって大丈夫ですか?
A. 学会が示す年齢別の使用量を守っていれば問題ありません。お子さんの場合は年齢に応じた量(米粒〜グリーンピース程度)を守り、保護者の方が管理してください。
Q. マウスウォッシュを使うときは、いつがよいですか?
A. 歯みがきの直後に水で洗い流すように使うと、せっかくのフッ素を流してしまいます。使うなら歯みがきとは別のタイミング(外出先や食後など)がおすすめです。フッ素入りの洗口液であれば、歯みがきとは時間をずらして使うと効果的です。
Q. 朝と夜、どちらを重視すればよいですか?
A. 就寝前です。寝ているあいだは唾液が減り、口の中を守る力が落ちます。学会の推奨も「就寝前を含めて1日2回」となっています。
Q. 高濃度のフッ素の歯みがき剤を使えば、うがいは普通でよいですか?
A. いいえ。濃度が高くても、たくさんの水で何度もすすげば流れてしまいます。濃度・量・すすぎ方の3つがそろって、はじめて効果が発揮されます。
まとめ

今日のおさらいです。虫歯予防の効果を最大にする、歯みがき後の2つのポイント。
- 歯みがき後のうがいは、少量の水で1回だけ(大さじ1杯ほどを含んで、すぐ吐き出す)
- そのあとしばらく飲食を控える(できれば2時間、難しければ就寝前だけでも徹底する)
研究では、うがいを2回すると唾液中のフッ素が4〜5倍も減ること、すすぎ方が数年後の虫歯の増え方と関連することが示されています。日本の4学会も「うがいをする場合は少量の水で1回のみ」と推奨しています。道具を買い替える必要も、時間をかける必要もありません。今日の夜から変えられる、いちばん手軽な虫歯予防です。
そのほかに必要な歯みがきのコツは、歯並びやお口の環境によって一人ひとり異なります。自分に最適な磨き方は、ぜひ歯科医院で身につけていきましょう。
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篠塚歯科医院 歯学博士 篠塚嘉昭




