2026年11月03日
【前歯が閉じない?】オープンバイト(開咬)の原因・セルフチェックと治し方【歯医者が解説】

こんにちは、篠塚歯科医院です。
「奥歯でかんでいるのに、前歯がぴったり閉じない」「麺を前歯でかみ切れない」。そんなお悩みで、調べている方もいるのではないでしょうか。
奥歯でかんでも、上下の前歯のあいだにすき間が残る状態を、オープンバイト(開咬〔かいこう〕)といいます。
この記事では、見分け方と原因、放っておくと起こりうることをご説明します。子どもと大人の治し方、治したあとの後戻り、健康保険が使える場合もお伝えします。
この記事のポイント
- オープンバイト(開咬)は、奥歯でかんでも上下の前歯のあいだにすき間が残り、前歯が閉じないかみ合わせです。
- 子どもは、指しゃぶりなどの癖をやめると、自然に閉じることがあります。舌の癖や口呼吸が残ると閉じにくいので、早めにご相談ください。
- 大人は、ワイヤーやマウスピースによる全体の矯正が中心です。後戻りしやすいので、保定装置と舌の癖の改善が大切です。
オープンバイト(開咬)とは?前歯が噛み合わない状態の見分け方
「前歯が噛み合わないのは、オープンバイトなの?」と気になる方も多いでしょう。
ひとことで言うと、奥歯はかんでいるのに、前歯だけが閉じない状態です。

奥歯でかんでも、前歯にすき間が残る
ふつうのかみ合わせでは、奥歯でかむと、上の前歯が下の前歯に少しかぶさります。
オープンバイトは、この上下の前歯の重なりがない状態です[1]。前から見ると、上下の前歯のあいだにすき間が見えます。
「歯」「あごの骨格」「舌の使い方」の3つのタイプ
オープンバイトは、原因によって大きく3つのタイプに分けられます[1]。
- 歯が原因のタイプ…指しゃぶりなどで、前歯が前に傾いたり、十分に生えなかったりしたもの
- あごの骨格が原因のタイプ…あごが縦に長く成長した骨格によるもの
- 舌や唇の使い方が原因のタイプ…舌を前歯のあいだに出す癖などによるもの
いくつかが重なっていることも多いです。タイプによって治し方が変わるので、検査で見きわめることが大切です。
鏡でできるセルフチェック
「自分もそうかも」と思ったら、まず鏡で見てみましょう。
奥歯までしっかりかんで、唇を指で軽く広げます。上下の前歯のあいだに、すき間がないかを確かめてください。

次のようなときは、オープンバイトかもしれません。
- 前歯にすき間…奥歯でかんでも、上下の前歯が閉じない
- かみ切れない…麺やレタス、ハムなどを、前歯でかみ切りにくい
- 発音しにくい…サ行やタ行が、舌足らずに聞こえると言われる
- 口がぽかんと開く…気づくと口が開いている。飲み込むときに舌が前に出る
鏡だけでは、すき間の大きさや原因までは分かりません。当てはまるものがあれば、歯科医院で確かめてもらうと安心です。
どのくらいの人に見られる?
世界の調査をまとめた報告では、前歯が閉じない人は、およそ5%でした[2]。20人に1人ほどです。
日本の国の調査では、12〜20歳で前歯にすき間がある人は、約2%でした[3]。調べた人数が少ないので、目安としてご覧ください。
小さな子どものオープンバイトは、成長とともに減ることが多いです。スウェーデンで3歳から7歳まで追いかけた調査でも、前歯が閉じない子は大きく減っていました[4]。
ほかのかみ合わせについては、受け口の記事やディープバイトの記事でもご紹介しています。
オープンバイトの原因
「どうして前歯が閉じなくなったの?」と気になりますよね。
原因は1つではありません。毎日の癖や呼吸のしかた、あごの骨格や遺伝などが重なって起こります[5][6]。
指しゃぶり・おしゃぶり
子どものオープンバイトで、いちばんよく知られた原因です。
たくさんの研究をまとめた報告があります。指しゃぶりやおしゃぶりを、毎日、長く続けた子ほど、前歯が閉じなくなりやすい傾向がありました[7]。
日本の調査でも、2歳半を過ぎても指しゃぶりが続いた子には、3歳で前歯が閉じない子や、出っ歯の子が多くみられました[8]。
指やおしゃぶりが前歯のあいだに長くはさまると、前歯がまっすぐ生えにくくなるためです。
やめさせ方は、指しゃぶりと歯並びやおしゃぶりと歯並びの記事でご紹介しています。
舌で前歯を押す癖(舌突出癖)
飲み込むときや話すときに、舌を上下の前歯のあいだに出す癖を、舌突出癖(ぜつとっしゅつへき)といいます。
オープンバイトの方には、この癖がよく見られます[9]。ただ、癖が原因なのか、すき間があるから舌が出るのかは、まだはっきりしていません[9]。
どちらにしても、舌が前歯を押し続けると、すき間は閉じにくくなります。治療では、舌の使い方も一緒に見ていきます。
口呼吸・鼻やのどの病気
鼻がつまりやすいと、口で息をするようになります。のどの奥のアデノイドや扁桃(へんとう)が大きい子も、口呼吸になりがちです[5]。
3,000人ほどの子どもを調べた研究では、口呼吸の子に、前歯が閉じないかみ合わせが多くみられました[10]。
鼻やのどの病気が疑われるときは、耳鼻咽喉科での診察も大切です。口呼吸については、口呼吸の記事もご覧ください。
あごの骨格と遺伝
あごが縦に長く成長する骨格の方は、前歯が閉じにくくなります[1]。
あごの形は親から子へ受け継がれやすく、遺伝の関わりを調べる研究も進められています[6]。
ご家族に同じようなかみ合わせの方がいれば、お子さんも早めに見てもらうと安心です。
大人になってから前歯が閉じなくなったら
「子どものころは何ともなかったのに、最近、前歯が閉じない」。そんなときは、あごの関節の変化が隠れていることがあります。
あごの関節の骨が変形すると、関節の位置が上にずれて、前歯が開くことがあります[11]。
あごの関節の骨が、少しずつ吸収されていく病気もあります。主に10代〜若い女性にみられ、前歯が閉じなくなっていきます[12]。
関節リウマチで、あごの関節が変形し、前歯が閉じなくなった方の報告もあります[13]。
大人になってから前歯のすき間が広がってきたときは、早めに受診しましょう。あごの痛みや音があるときは、顎関節症の記事もご覧ください。
放っておくとどうなる?起こりうる問題
「見た目だけの問題なら、このままでもいい?」と思う方もいるでしょう。
オープンバイトは、見た目だけでなく、食べる・話すといった毎日の動作にも影響することがあります[6]。
前歯で食べ物をかみ切れない
前歯が当たらないので、麺やレタス、のりなどを、前歯でかみ切りにくくなります。
骨格によるオープンバイトの方を調べた研究があります。上下の歯が当たる場所が少なく、かむときのあごの動きも小さめでした[14]。
前歯で切れないぶん、奥歯だけで食べ物をかみ切ることになります。食べにくさが気になるときは、ご相談ください。
サ行・タ行が言いにくい
前歯のすき間から息がもれたり、舌が前に出たりして、発音がずれることがあります。
約120人を調べた研究では、前歯のすき間が2mmを超えると、発音がずれやすくなっていました[15]。特にずれやすかったのは、サ行やタ行にあたる音です[15]。
ただ、耳で聞いて分かるほどのずれは少なく、多くは話すときの舌の見え方の違いでした[15]。
口が閉じにくい・口呼吸になりやすい
前歯にすき間があると、飲み込むときに、口の前のほうを閉じにくくなります。そのぶん、舌を前に出して、すき間をふさごうとします[9]。
口がぽかんと開きやすくなり、口が乾きやすくなることもあります。
治療を考える目安
すき間が小さく、困りごとがなければ、急いで治さなくてよいこともあります。
ただ、子どもは癖や成長の様子を見ながら、早めに相談すると安心です。大人で、すき間が広がってきたときや、食べる・話すことに困っているときも、ご相談ください。
子どもの治療と始めどき
「子どもの前歯にすき間がある。すぐに治したほうがいい?」と迷う保護者の方は多いです。
子どもは、癖をやめることと、舌や口のまわりの使い方を整えることが、治療の土台になります。
健診で「開咬」と言われたら
日本小児歯科学会は、3歳児健診で、上下の前歯のあいだに少しでもすき間があれば、「経過観察」の目安にしています[16]。
当てはまると、かかりつけの歯科医院で相談するよう勧められています[16]。
学校の健診では、すき間が6mm以上あると、「歯科医師による診断が必要」の目安とされています[16]。
3歳で言われても、すぐに装置を使うとは限りません。指しゃぶりなどの癖や、歯の生え方を一緒に見守っていきましょう。
癖をやめると、自然に閉じることも
4〜12歳の子どもの研究をまとめた報告があります。指しゃぶりなどをやめると、前歯のすき間が自然に閉じることが多くみられました[17]。
4歳を過ぎてからやめた子でも、閉じることがありました[17]。ただ、研究の数は少なく、何歳までなら自然に閉じるのかは、まだはっきりしていません[17]。
日本の研究では、大人の上の前歯が生えそろっても残っていたすき間は、その後も自然には閉じませんでした[18]。
大人の前歯が生えてくる前に、すき間が閉じているのが望ましいとされています[18]。
日本小児歯科学会は、3歳ごろまでの指しゃぶりは、特に禁止する必要はないとしています。4歳以降も頻繁に続くときは、積極的な対応が必要としています[19]。
4歳を過ぎても指しゃぶりが続くときは、一度ご相談ください。
舌や口のまわりのトレーニング(筋機能療法)
舌の位置や飲み込み方、唇を閉じる力を整えるトレーニングを、筋機能療法(きんきのうりょうほう)といいます。
舌の癖をともなう子どものオープンバイトについて、研究をまとめた報告があります。矯正装置と筋機能療法を組み合わせる方法が、いちばん効果的とされていました[20]。
小学生の子どもで比べた研究では、トレーニングで舌の力や、ふだんの舌の位置が良くなりました。一方、発音までは良くなりませんでした[21]。
トレーニングは、ご家庭で毎日続けることが大切です。
装置を使う治療
癖をやめにくいときや、あごの成長に問題があるときは、装置を使います。
研究では、指や舌が前歯に触れないようにする柵のついた装置などで、すき間が閉じたと報告されています。ただ、研究の数が少なく、まだはっきりとは言い切れません[5]。
当院の小児矯正
当院の小児矯正は、口呼吸や指しゃぶりなど、歯並びやあごの成長をさまたげる癖を取り除くことを、目的の1つにしています。
癖が主な原因のときは、マウスピース型の装置(プレオルソ)などを使います。あごの骨格が主な原因のときは、あごの幅を広げる拡大床などを使います。
当院では、6歳〜15歳ごろを小児矯正の時期と考えています。はじめのご相談は無料です。
骨格によっては、小児矯正のあとに大人の矯正が必要になることも多くあります。費用は、小児矯正の費用の記事でもご紹介しています。
大人の治療:ワイヤー矯正・マウスピース矯正・外科的矯正治療
「大人になってからでも治せるの?」と心配される方もいます。歯を動かす矯正は、大人になってからでもできます。
大人はあごの成長を使えないので、歯を動かしてすき間を閉じます。骨格のずれが大きいときは、手術を組み合わせます[1]。
前歯だけの部分矯正では治せません
オープンバイトは、かみ合わせ全体を整える必要があります。前歯だけを整える部分矯正では、オープンバイトは治せません。
上下の歯並び全体を動かす、全体の矯正(全顎矯正)が必要です。
ワイヤー矯正とマウスピース矯正
大人のオープンバイトをマウスピース矯正で治した研究をまとめると、すき間は平均で3mm近く閉じていました[22]。主に、前歯を少し伸ばす動きで閉じていました[22]。
大人を調べた別の研究では、ほとんどの方で、上下の前歯が重なるようになりました。軽い〜中くらいのオープンバイトに向いているとされています[23]。
当院では、ワイヤー矯正とマウスピース矯正(インビザライン)のどちらも行っています。マウスピース矯正は、1日20時間以上つけることが大切です。
どちらが向いているかは、精密検査の結果をもとにご説明します。
奥歯を沈めて、前歯を閉じる方法
骨格が原因のオープンバイトでは、奥歯を少し骨のほうへ沈める方法もあります。奥歯が低くなると、下あごが閉じる方向に回り、前歯が近づきます。
あごの骨に小さなねじ(歯科矯正用アンカースクリュー)を入れ、それを支えにして奥歯を沈めます。
研究をまとめた報告では、奥歯が平均1.7mmほど沈み、前歯のかみ合わせが良くなりました[24]。手術より体への負担が少ない方法とされています[24]。
この方法が合うかどうかは、骨格や歯の状態によって変わります。
あごの骨のずれが大きいとき
あごの骨格のずれが大きいと、矯正だけでは治しきれないことがあります[1]。
そのときは、あごの骨の手術と矯正を組み合わせる「外科的矯正治療」を考えます。手術の前後に矯正で歯並びを整え、手術であごの位置を整えます。
手術が必要な場合は、病院の口腔外科などと連携して進めます。
健康保険が使えるのは、限られた場合です
矯正の治療は、ふつうは健康保険がききません。保険が使えるのは、次のような場合に限られます[25]。
- 国が定めた病気…唇顎口蓋裂など、生まれつきの病気が原因のかみ合わせ
- 歯が生えてこない…前歯や小臼歯の大人の歯が3本以上、骨の中に埋まって出てこない
- 顎変形症…あごの骨を切る手術が必要な、骨格の大きなずれ(手術の前後の矯正)
2026年6月からは、生まれつき歯が続けて3本以上ない18歳未満の方なども、対象に加わりました[26]。
オープンバイトで保険が使えるのは、主に、手術が必要な顎変形症と診断された場合です。
保険で治療できるのは、国に届け出た医療機関だけです[25]。当院の矯正は、自由診療(保険がききません)です。
手術や保険での治療が必要かもしれないときは、対応できる医療機関をご案内します。
治したあとの後戻りと保定
「せっかく治しても、また開いてくるの?」と心配になりますよね。
オープンバイトは、治したあとに戻りやすいかみ合わせです。だからこそ、治療のあとの過ごし方が大切です。
たくさんの研究をまとめた報告では、治療から1年以上たっても前歯の重なりが保たれていた方は、7〜8割ほどでした[27]。手術をした方でも、しなかった方でも、同じくらいでした[27]。
奥歯を沈めて治した場合も、沈めた量の1〜3割ほどが戻ると報告されています[28]。
舌や唇の癖を残さないことが大切
後戻りの理由のひとつが、治療のあとも残る舌の癖です。
筋機能療法を矯正と一緒に行った人は、矯正だけの人より、後戻りが小さかったという報告があります[29]。ただ、比べ方に限界のある研究で、まだはっきりとは言い切れません。
また、すでに戻ってしまったすき間を、トレーニングだけで閉じるのは難しいという報告もあります[30]。
当院でも、大人になってから前歯がだんだん開いてきた、20代の女性の方を治療しました。口呼吸や、舌が下がった状態が残っていたことが原因でした。
再び矯正を行い、口呼吸の改善と、舌の使い方を整える筋機能療法を組み合わせて、安定した歯並びになりました。経過は患者さんごとに異なります。
くわしくは、小児矯正のページの症例をご覧ください。
保定装置(リテーナー)を決められたとおりに
矯正のあとは、歯が元の位置に戻らないように、保定装置(リテーナー)を使います。
当院では、矯正にかかった期間と同じ〜2年ほどを、保定の期間にしています。はじめは長い時間つけ、その後は寝るときだけにしていきます。
保定の期間が終わっても、歯は少しずつ動きます。そのあとも、ときどきつけると歯並びを保ちやすくなります。
保定装置については、リテーナーの記事もご覧ください。
よくある質問

Q. 指しゃぶりをやめれば、前歯のすき間は閉じますか?
A. 早めにやめると、自然に閉じることが多いです。ただ、大人の前歯が生えそろっても残るすき間や、舌の癖があるときは、閉じにくいことがあります。4歳を過ぎても続くときは、ご相談ください。
Q. オープンバイトは、舌のトレーニングだけで治りますか?
A. 歯の位置やあごの骨格は、トレーニングだけでは変えられないことが多いです。矯正と組み合わせることで、治療の効果や後戻りの防止に役立ちます。
Q. 大人の矯正の費用は、どのくらいですか?
A. 当院の全体の矯正(全顎矯正)は、ワイヤー矯正でもマウスピース矯正でも880,000円(税込)です。オープンバイトは部分矯正では治せないため、全体の矯正になります。くわしくは料金表のページをご覧ください。
Q. 大人になってから、前歯が閉じなくなってきました。
A. あごの関節の骨の変化など、歯並び以外の原因が隠れていることがあります。様子を見続けず、早めに受診しましょう。原因を確かめてから、治療の方法を考えます。
まとめ
- オープンバイト(開咬)は、奥歯でかんでも前歯にすき間が残り、前歯が閉じないかみ合わせです
- 指しゃぶりやおしゃぶり、舌の癖、口呼吸、あごの骨格や遺伝などが重なって起こります。大人になってから起きたときは、あごの関節の変化も考えます
- 前歯でかみ切れない、サ行・タ行が言いにくいなど、毎日の困りごとにつながることがあります
- 子どもは癖をやめることと舌のトレーニング、装置による治療、大人は全体の矯正が中心です。骨格のずれが大きいときは、手術を組み合わせます
- 後戻りしやすいので、保定装置と、舌や唇の癖の改善を続けましょう
「前歯が閉じないかも」と思ったときが、相談のタイミングです。お子さんでも大人の方でも、お気軽にご相談ください。
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篠塚歯科医院 歯学博士 篠塚嘉昭
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