【口がぽかんと開いていませんか】口呼吸が歯と体に与える影響と治し方【歯医者が解説】

こんにちは、篠塚歯科医院です。

「気がつくと口がぽかんと開いている」「朝起きると口の中がカラカラ」「子どもがいつも口を開けている」——そんな心当たりはありませんか。これらは口呼吸のサインかもしれません。

呼吸は鼻でも口でもできるため、口呼吸は「くせ」程度に思われがちです。しかし歯科の立場から見ると、口呼吸は虫歯・歯周病・口臭・歯並びのすべてに関わる、見過ごせない習慣です。今回は、浅草・本所吾妻橋エリアで「なるべく削らない予防歯科」に力を入れている当院が、口呼吸が口と体に与える影響と、その治し方を研究データをもとに解説します。

「お口ぽかん」は3人に1人。しかも自然には治りにくい

まず知っておいていただきたいのが、これが決して珍しい状態ではないということです。全国66の小児歯科医院を受診した3〜12歳の子ども3,399人を対象にした大規模な調査では、30.7%——およそ3人に1人の子どもに、唇がきちんと閉じられない状態(口唇閉鎖不全、いわゆる「お口ぽかん」)がみられたと報告されています(Nogamiほか「Prevalence of an incompetent lip seal during growth periods throughout Japan」Environmental Health and Preventive Medicine 第26巻1号 11, 2021年)。

さらに注目すべきは、その割合が年齢とともに増えていたという点です。研究者らは「この状態は成長の過程で自然に改善するとは限らない」と結論づけています。「そのうち治るだろう」と待っていても、自然には戻りにくい——ここが、早めに気づいて手を打つべき理由です。

あなたは大丈夫? 口呼吸のセルフチェック

まずは、次の項目に当てはまるものがないか確認してみてください。

  • 気づくと口が開いている、唇を閉じているとつらい
  • 朝起きたとき、のどがヒリヒリする・口の中がカラカラ
  • いびきをかく、寝ているときに口が開いている
  • 唇がいつも乾燥している、荒れやすい
  • 前歯の表面が乾いて見える、歯ぐきが赤く腫れている
  • 口臭が気になる
  • 鼻がつまりやすい、花粉症やアレルギー性鼻炎がある
  • 食べるときにクチャクチャ音がする

もうひとつ、簡単な確認方法があります。安静にしているとき、あなたの舌はどこにありますか?正しい位置は、上あごの前方(上の前歯の少し後ろのふくらみ)に舌全体が軽く触れている状態です。舌が下の歯の裏に落ちている、どこにも触れていないという方は、口呼吸になっている可能性が高いといえます。

口呼吸が口の中に与える影響

唾液が乾き、口を守る力が落ちる

口呼吸のいちばんの問題は、口の中が乾くことです。唾液には、汚れを洗い流す働き、食後に酸性へ傾いた口の中を中和する働き、溶けかけた歯を修復する働き、細菌の増殖を抑える働きがあります。口を開けて呼吸していると、これらの守りがすべて弱まります。

特に影響が出やすいのが前歯の表面です。乾燥しやすいうえ、唾液が届きにくいため、汚れが固まりやすくなります。「前歯の歯ぐきだけいつも赤い」という方は、口呼吸を疑ってみてください。

研究でも示されている、歯ぐきとプラークへの影響

これは感覚的な話ではありません。子どもと青年を対象にした11件の研究をまとめた分析では、口呼吸のある人は、歯ぐきからの出血・プラークの蓄積・歯ぐきの変化が増えていたと報告されています。虫歯についても、初期の段階の病変と進行した病変で関連がみられました(Kimuraほか「Dental Caries and Periodontal Outcomes in Mouth-Breathing Children and Adolescents: A Systematic Review」International Journal of Paediatric Dentistry 第36巻1号 24-32, 2026年)。

さらに、口呼吸の子どもの唾液を詳しく調べた研究では、唾液の性質が変化し、口の中の細菌のバランスが乱れて、虫歯や歯周病に関わる菌が増えていたことも報告されています(ZhangほかInternational Dental Journal 第76巻4号 109580, 2026年)。同じように歯を磨いていても、口呼吸があると条件が不利になるということです。

口臭にもつながる

口の中が乾くと細菌が増え、においのもとになる物質がつくられやすくなります。「歯みがきをしているのに口臭が気になる」という方は、乾燥が背景にあることも少なくありません。詳しくは口臭の原因についての記事もあわせてご覧ください。

子どもの歯並び・顔の成長にも関わる

お子さんの場合、口呼吸はさらに大きな意味を持ちます。舌が本来の位置(上あご)にないと、内側から上あごを押し広げる力が働かなくなり、顎の成長の方向が変わってしまうと考えられているからです。

13件の研究をまとめたメタ分析では、口呼吸のある子どもは上あごの歯列の幅(犬歯どうし・臼歯どうしの幅)が有意に狭く、奥のほうの口蓋が深く、奥歯の交叉咬合(上下の噛み合わせが横にずれた状態)が多いことが示されています(Lekvijittadaほか「Dental arch dimension and palatal morphology in children and adolescents with mouth breathing」BMC Oral Health 第26巻1号 1047, 2026年)。

歯列の幅が狭ければ、永久歯が並ぶスペースは足りなくなります。当院の小児矯正でも、「適切な歯並びや顎の成長を妨げる口呼吸や指しゃぶりなどの悪習癖を取り除くこと」を目的のひとつに掲げているのは、このためです。装置で歯を並べる前に、並ぶための土台と機能を整えるという考え方です。

なぜ口呼吸になるのか

原因は大きく3つに分けられます。ここを見極めないと、対策が空振りになります。

  1. 鼻が通らない……アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎、鼻中隔弯曲、アデノイドや扁桃の肥大など。鼻で呼吸できないから口で呼吸している状態です。
  2. 口まわりの筋肉が弱い・舌の位置が悪い……唇を閉じる力が足りず、口が開いてしまう。舌が下がったままになっている。
  3. 習慣・環境……長く口呼吸を続けた結果として定着している、姿勢の問題、やわらかい食事ばかりで噛む回数が少ないなど。

特に大切なのは①です。鼻がつまっている方に「口を閉じましょう」と言っても、苦しいだけで続きません。まずは耳鼻咽喉科で鼻の通りを確認・改善することが出発点になります。

口呼吸を治す方法

①まず「鼻で呼吸できる状態」をつくる

鼻づまりがある方は、耳鼻咽喉科での治療が最優先です。お子さんの場合、アデノイドや扁桃の肥大が背景にあることも少なくありません。いびきが大きい、寝ているときに息が止まっているように見えるといった場合は、早めに相談してください。

②舌の位置を覚え直す

安静時の舌の正しい位置は、上の前歯の少し後ろのふくらみ(スポット)に舌先を当て、舌全体が上あごに軽く触れている状態です。まずは日中、気づいたときに舌をこの位置に戻す——それだけでも変化が出てきます。付箋やスマートフォンの待受など、思い出せる仕掛けを作るのがコツです。

③口まわりの筋肉を鍛える

唇を閉じる力、舌を持ち上げる力を育てるトレーニングがあります。よく知られているのが「あいうべ体操」です。「あー」「いー」「うー」「べー」と大きく口と舌を動かす簡単な運動で、1日30回程度を目安に続けます。ほかにも、ガムを奥歯で左右均等に噛む、よく噛んで食べるといった日常の工夫が、口まわりの機能を育てます。

④「口テープ」は自己判断で使わない

就寝時に口をテープでとめる方法が知られていますが、鼻がつまっている状態で口を塞ぐのは危険です。睡眠中に無呼吸のある方も同様で、呼吸を妨げるおそれがあります。使用を考えている方は、まず鼻で呼吸できるかを確認し、医療機関に相談したうえでにしてください。小さなお子さんへの使用は特に慎重に判断すべきです。

歯科医院でできること

当院では、口呼吸が疑われる方に次のような視点で対応しています。

  • お口の状態の記録……12枚の口腔内写真で、歯ぐきの炎症や乾燥の状態を記録し、変化を追えるようにします。
  • リスクの見える化……唾液検査で虫歯菌の数や唾液の抵抗力を調べ、乾燥がどれだけ不利に働いているかを確認します。
  • 歯ぐきのケア……乾燥で炎症が起きやすい前歯まわりを中心に、クリーニングと磨き方の指導を行います。
  • お子さんの成長への対応……悪習癖の改善を含めた小児矯正のご提案が可能です。
  • 医科との連携……鼻の治療が必要と考えられる場合は、耳鼻咽喉科の受診をおすすめします。

よくある質問

よくある質問

Q. 大人になってからでも治せますか?
A. 顎の骨格を変えることは難しくなりますが、舌の位置や唇を閉じる習慣は、大人になってからでも改善できます。乾燥による虫歯・歯周病・口臭のリスクを減らす意味は十分にあります。

Q. 子どもの口呼吸は、成長とともに自然に治りますか?
A. 鼻づまりが原因の場合、その治療で改善することがあります。一方、習慣として定着していると自然には戻りにくく、顎の成長の時期を逃してしまうこともあります。気になる場合は早めにご相談ください。

Q. 歯医者と耳鼻科、どちらに行けばよいですか?
A. 鼻づまりの自覚がある方は耳鼻咽喉科が先です。自覚がない場合や、歯ぐきの腫れ・口臭・歯並びが気になる場合は、歯科でお口の状態を確認するところから始めましょう。必要に応じて受診をご案内します。

Q. マスク生活で口呼吸が増えたと聞きました。
A. 息苦しさから口が開きやすくなる、口元が隠れて気づきにくい、といった指摘があります。ご家族どうしで「口、開いてるよ」と声をかけ合うだけでも、意識づけになります。

Q. トレーニングはどのくらい続ければよいですか?
A. 数日で変わるものではありません。歯みがきと同じで、毎日の習慣にすることが前提です。数か月単位で、定期検診のたびに変化を一緒に確認していきましょう。

まとめ

口呼吸は単なるくせではなく、口の中の環境を根本から不利にしてしまう習慣です。研究でも、口呼吸のある方は歯ぐきからの出血やプラークの蓄積が増え、唾液の性質や細菌のバランスまで変化することが示されています。お子さんの場合は、上あごの歯列が狭くなるなど、歯並びと成長にも関わってきます。

改善の順番は、①鼻で呼吸できる状態をつくる → ②舌の位置を覚え直す → ③口まわりの筋肉を育てる。この順番が大切です。口テープなどの道具は、鼻が通ることを確認してから、医療機関に相談したうえで検討してください。

「うちの子、いつも口が開いている」「朝起きると口がカラカラ」——そんな方は、一度お口の状態を見せにいらしてください。歯みがきの工夫だけでは届かない部分に、原因があるかもしれません。

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予防歯科について

墨田区の篠塚歯科医院では、予防歯科に注力し、患者さんのお口の健康を守るため予約は一人一時間を確保して、丁寧な診療を心掛けています。診療室はすべて個室ですので、お子さん連れでも周囲を気にせずご相談いただけます。お口まわりで気になることがあれば、お気軽にご連絡ください。

篠塚歯科医院 歯学博士 篠塚嘉昭

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