2026年10月28日
【気づかないうちに生えている?】6歳臼歯(第一大臼歯)が虫歯になりやすい理由と守り方【歯医者が解説】

こんにちは、篠塚歯科医院です。
「仕上げ磨きをしていたら、いちばん奥に見慣れない大きな歯があった」。こうして6歳臼歯に気づく保護者の方は、少なくありません。
6歳臼歯は、乳歯が抜けたあとではなく、乳歯の奥に生えてくる大人の歯です。そのため乳歯だと思われたまま、むし歯になってしまうことがあります。
この記事では、6歳臼歯(第一大臼歯)がいつ生えるのか、なぜむし歯になりやすいのか、どう守ればよいのかを、順にお話しします。
この記事のポイント
- 6歳臼歯は、乳歯の奥に「抜けかわりなし」で生える大人の歯です。今の日本の子どもでは、6歳半〜7歳ごろに生えはじめることが多いです。
- 噛む面の溝に汚れがたまりやすく、生えきるまで歯ぐきがかぶさるため、生えてから数年はむし歯に注意が必要です。
- 甘いものの回数、年齢に合ったフッ素、シーラント、定期検診を組み合わせて守りましょう。
6歳臼歯(第一大臼歯)は、いつ・どこに生える?
「奥歯が生えてきたけど、これって乳歯?」と迷う方は多いです。まずは、6歳臼歯がどんな歯なのかを知っておきましょう。
乳歯の奥に、抜けかわりなしで生えてくる
6歳臼歯は、正式には「第一大臼歯(だいいちだいきゅうし)」といいます。乳歯のいちばん奥の歯の、さらにうしろに生えてくる大人の歯です[1]。
前歯の真ん中から数えて、6番目の歯が6歳臼歯です。乳歯は奥歯まで数えて5本なので、6番目があれば大人の歯と考えてよいでしょう。
乳歯が抜けて入れかわるわけではないので、「歯が抜けた」というきっかけがありません。気づかないうちに生えていた、ということがよくあります。
生えはじめは、平均で6歳半〜7歳ごろ
名前は「6歳」ですが、生える時期には幅があります。
全国の子どもを調べた調査では、下の6歳臼歯は平均6歳半ごろに生えはじめていました[2]。上の6歳臼歯は、平均7歳ごろでした[2]。
女の子のほうが、少し早く生える傾向があります。個人差も大きく、早い子と遅い子では、生える時期が2年以上ちがうこともあります[2]。
年長さんになったら、ときどき奥歯のさらに奥をのぞいてみましょう。歯ぐきがふくらんで、白い歯の頭が見えてきたら、生えはじめのサインです。
ほかの大人の歯が生える順番は、永久歯の生え変わりの順番の記事でくわしくご紹介しています。
一生使う、噛み合わせの土台
6歳臼歯は、大人の歯のなかでも大きく、食べ物をすりつぶす力の中心になる歯です。上下の6歳臼歯の噛み合わせは、歯並び全体の基準にもなります。
そのため、6歳臼歯を早くに失うと、まわりの歯にも影響が出ます。
6歳臼歯を抜いた子どもを調べた研究をまとめた報告があります。すき間にまわりの歯が寄ってくる、前歯が内側に傾く、といった変化が見られました[3]。
6歳臼歯は、これから何十年も使っていく歯です。生えてきたその日から、大切に守っていきましょう。
6歳臼歯がむし歯になりやすい4つの理由
「生えたばかりなのに、もうむし歯?」と驚かれることがあります。実は、生えてまもない時期こそ、むし歯に気をつけたい時期です。
日本では、永久歯にむし歯の経験がある子は、5〜9歳ではわずかです。それが10〜14歳になると、約4人に1人に増えます[4]。
海外の報告でも、永久歯のなかでむし歯がとくに多いのは、6歳臼歯の噛む面とされています。しかも、生えてまもなく始まることが多いのです[5]。

① 乳歯の奥に生えるので、気づかれにくい
抜けかわりがないので、生えたことに気づきにくい歯です。乳歯だと思われて、「どうせ生えかわるから」と見過ごされることもあります。
まずは「もう生えているか」を知ることが、守るための第一歩です。
② 噛む面の溝に、汚れがたまりやすい
奥歯の噛む面には、細かい溝があります。子どものむし歯の8割以上は、歯ブラシの届きにくい奥歯の溝から始まる、という報告もあります[6]。
溝の形そのものより、そこに汚れが厚くたまったままになることが大きい、と考えられています[5]。溝の汚れを毎日落とすことが、いちばんの守りです。
③ 生えきるまで背が低く、歯ぐきがかぶさる
6歳臼歯は、生えはじめてから上下で噛み合うまでに時間がかかります。そのあいだ、噛む面を歯ぐきがおおっている期間が長く、歯ブラシがうまく当たりません[1]。
まわりの乳歯より背が低いので、いつもどおり歯ブラシを動かしても、毛先が届きにくいのです。
生えている途中の歯では、しっかり噛み合った歯よりも、進んでいるむし歯が多く見られました[5]。
④ 生えたての歯は、まだやわらかい
生えたばかりの歯は、表面がまだ固まりきっておらず、酸に溶けやすい状態です。しっかり固まるまでには、生えてから2〜4年かかるとされています[6]。
生えてからの数年間が、6歳臼歯を守る大事な時期です。この時期を乗りきれば、歯はだんだん丈夫になっていきます。
生まれつき歯がもろい「MIH」にも気をつけて
「生えてきた奥歯が、はじめから白や茶色っぽい」。そんなときは、MIHかもしれません。
MIH(エムアイエイチ)は、6歳臼歯や前歯の表面(エナメル質)が、うまく固まらないまま生えてくる状態です[7]。歯がつくられる時期に、何らかの影響を受けて起こります[1]。
前歯と6歳臼歯は、同じころにつくられます。そのため、両方に同じような変化が見られることが多いです[1]。
日本の7〜9歳の子どもを調べた調査では、およそ5人に1人にMIHが見られました[8]。決してめずらしいものではありません。
MIHの歯はしみやすく、むし歯が早く進みやすいといわれます[7]。表面がもろいので、欠けてしまうこともあります。
ただ、茶色いからといって、すぐに削るとは限りません。フッ素を塗って歯を強くしたり、表面をおおったりして守っていきます[1]。
はじめから色がちがう、冷たいものがしみると言う。そんなときは、早めにご相談ください。見分け方は、歯の白い斑点の記事でご紹介しています。
生えるときの痛み・腫れと、受診の目安
「歯がないところを痛がる」「奥の歯ぐきが赤く腫れている」。6歳臼歯が生えるころには、こんなご相談がよくあります。
少し生えてくると、おさまることが多い
歯のないところを痛がるときは、6歳臼歯が生えてくるときの痛みのことが多いです。歯が少し出てくると、痛みはおさまることが多いとされています[1]。
ただ、歯のうしろに歯ぐきがかぶさっていると、そこに汚れがたまります。汚れで歯ぐきに炎症が起きると、痛みが強くなります[1]。
生えてくる歯の上に、白く小さな骨のかけらが見えることもあります。多くは自然に取れますが、噛むと痛い・血が出るときは、歯科医院で取り除きます[1]。
おうちでできること
- やさしく磨く…痛いところも避けずに、やわらかい毛先でそっと汚れを落とします。
- タフトブラシを使う…毛先が小さな筆のような歯ブラシで、歯ぐきのきわを磨きます[1]。
- やわらかい食事にする…腫れているあいだは、硬いものを控えましょう。
こんなときは受診しましょう
次のようなときは、様子を見ずに歯科医院を受診してください。
- 歯ぐきが大きく腫れている、うみが出ている
- 熱がある、ほおや顔まで腫れている
- 痛くて食事ができない、夜眠れない
- 数日たっても、痛みや腫れがおさまらない
- 生えてきた歯が、はじめから白や茶色っぽい、欠けている
歯科医院では、歯ぐきのすき間の汚れをきれいにして、炎症をおさえる手当てをします。早めに見せていただくと安心です。
おうちでできる6歳臼歯の守り方
「何から始めればいいの?」と思う方も多いと思います。6歳臼歯は、おうちでのケアと歯科医院での予防を組み合わせて守ります。

まずは、おうちでできる甘いもののとり方、フッ素、磨き方から見直しましょう。
甘いものは「回数」を決めて
むし歯を防ぐには、甘いものの量だけでなく、食べる回数を減らすことが大切です[9]。ちょこちょこ食べると、歯が酸にさらされる時間が長くなるためです。
当院では、おやつは3歳以降は1日1回を目安にお伝えしています。時間を決めて食べ、ダラダラ食べにならないようにしましょう。
ジュースやスポーツドリンクを、ちびちび飲み続けるのも同じです。のどがかわいたときは、お水やお茶がおすすめです。
6歳からは、フッ素の濃い歯みがき剤に
6歳からは、フッ素の濃さが1,400〜1,500ppmの歯みがき剤を、歯ブラシ全体につけて使いましょう[10]。
寝る前を含めて1日2回磨き、磨いたあとのうがいは、少量の水で1回だけにします[10]。何度もうがいをすると、せっかくのフッ素が流れてしまいます。
フッ素入りの液でぶくぶくうがいをする「フッ素洗口」も効果的です。6歳臼歯が生える就学前に始めて、中学生まで続けるのがよいとされています[11]。
フッ素の安全性が気になる方は、フッ素は体に悪い?の記事もご覧ください。
6歳臼歯の磨き方
6歳臼歯は、いつもの磨き方だけでは磨き残しやすい歯です。次の3つを意識しましょう。
- 口の横から入れる…ほおの側から6歳臼歯に向けて歯ブラシを入れると、背の低い歯にも毛先が届きます。
- 噛む面の溝を小刻みに…溝に毛先を当てて、小さく動かします。
- タフトブラシで仕上げる…歯ぐきがかぶさっているところは、毛先の小さなブラシが便利です。
仕上げ磨きは、歯みがきに慣れていく、親子のふれあいの時間でもあります。当院では、9〜10歳ごろまで続けることをおすすめしています。
自分で磨けるようになってきたら、「奥歯だけ仕上げ」に切りかえるのも一つの方法です。くわしくは、仕上げ磨きはいつまで?の記事をご覧ください。
保護者の方のお口も、一緒に整えて
むし歯の原因になる菌は、身近な大人から子どもへ伝わります。当院では、予防は家族みんなで進めるのが理想と考えています。
保護者の方ご自身も、むし歯の治療や定期検診で、お口の中を整えておきましょう。
歯科医院でできること:シーラント・フッ素塗布・定期検診
「家で気をつけていても、溝の奥までは心配」。そんな方は、歯科医院での予防も組み合わせましょう。
シーラントで、噛む面の溝をふさぐ
シーラントは、奥歯の噛む面の溝を、歯科用のプラスチックやセメントでふさぐ予防処置です[1]。歯を削らずに行えます。
日本小児歯科学会の指針は、生えてまもない永久歯の健康な噛む面に、シーラントを行うことを提案しています[12]。
指針がまとめた研究では、シーラントをしなかった歯は、1年で約12%がむし歯になりました。シーラントをした歯では、約4%でした[12]。
ただ、指針は、この結果の確かさはまだ高くないとしています。むし歯のなりやすさによって、効果の大きさは変わるとも考えられています[12]。
また、シーラントは取れたり欠けたりすることもあります[13]。シーラントをしたあとも、定期検診で状態を確かめてもらいましょう。
当院でもシーラントを行っています。お子さんに合うかどうかは、歯の生え方やむし歯のなりやすさを見て、一緒に考えましょう。
費用は、診察時にご案内します。くわしくは、シーラントの記事をご覧ください。
フッ素塗布は、定期的に続けて
歯科医院では、家庭用の歯みがき剤より濃いフッ素を、歯に直接塗ります。生えたての6歳臼歯を強くするのに役立ちます。
フッ素塗布は、1回だけでは効果が得られにくく、定期的に続けて受けることが大切です[14]。
定期検診で、生えはじめから見てもらう
愛知県の小学生を調べた調査があります。歯科医院で6歳臼歯を見てもらっていた子は、6歳臼歯のむし歯の増え方が、およそ半分でした[15]。
当院の定期検診では、むし歯のチェックに加えて、染め出しで磨き残しの場所を一緒に確かめます。どこが磨けていないかが、目で見て分かります。
初期のむし歯が見つかっても、すぐに削るとは限りません。穴があいていない初期のむし歯は、フッ素と定期的なチェックで様子を見ることが多いです。
くわしくは、虫歯の進行度C0〜C4の記事をご覧ください。当院の小児歯科については、小児歯科のページでご紹介しています。
よくある質問

Q. 6歳臼歯かどうか、家で見分けられますか?
A. 前歯の真ん中から数えて、6番目の歯が6歳臼歯です。乳歯は奥歯まで5本なので、その奥に生えていれば大人の歯です。迷ったら、歯科医院で確かめましょう。
Q. 生えかけの6歳臼歯を痛がります。様子を見てもいいですか?
A. 少し生えてくると、痛みはおさまることが多いです。ただ、大きく腫れている、うみが出る、熱がある、食べられないときは、早めに受診してください。
Q. シーラントをしたら、歯みがきは軽くてもいいですか?
A. シーラントが守るのは、噛む面の溝だけです。歯と歯の間や歯ぐきのきわは守れないので、歯みがきとフッ素はこれまでどおり続けましょう。
Q. 6歳臼歯に初期のむし歯があると言われました。すぐ削りますか?
A. 穴があいていない初期のむし歯なら、削らずにフッ素と定期的なチェックで様子を見ることが多いです。進み具合を確かめながら、治療が必要かを判断します。
まとめ
6歳臼歯は、乳歯の奥に抜けかわりなしで生えてくる、大人の奥歯です。一生使う、噛み合わせの土台になる歯でもあります。
生えきるまで時間がかかり、汚れがたまりやすいので、生えてからの数年間はむし歯に注意が必要です。守るために、次のことを続けていきましょう。
- 甘いものは回数を決めて、ダラダラ食べをしない
- 6歳からは1,400〜1,500ppmのフッ素入り歯みがき剤で、寝る前を含めて1日2回
- 口の横から歯ブラシを入れて、噛む面の溝を磨く
- シーラント・フッ素塗布・定期検診で、歯科医院と一緒に守る
「もう生えているかな?」と思ったら、一度お口の中を見せてください。生えはじめの時期から、一緒に守っていきましょう。
予防歯科についての詳細はこちらをクリック!

墨田区の篠塚歯科医院では、予防歯科に注力し、患者さんのお口の健康を守るため予約は一人一時間を確保して、丁寧な診療を心掛けています。お口の中の気になる点やお悩みがあれば、いつでもご相談ください。
篠塚歯科医院 歯学博士 篠塚嘉昭
参考文献
- 日本小児歯科学会「こどもたちの口と歯の質問箱(小学生低学年)」 資料を開く
- 日本小児歯科学会 ほか「日本人小児における乳歯・永久歯の萌出時期に関する調査研究II その2.永久歯について」小児歯科学雑誌. 2019;57(3):363-373. J-STAGE
- Saber AM ほか. Consequences of early extraction of compromised first permanent molar: a systematic review. BMC Oral Health. 2018;18(1):59. PubMed
- 厚生労働省「令和6年歯科疾患実態調査結果の概要」 資料を開く
- Carvalho JC. Caries process on occlusal surfaces: evolving evidence and understanding. Caries Res. 2014;48(4):339-346. PubMed
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「ライフステージ別にみたむし歯の特徴」 ページを開く
- Saitoh M ほか. Molar incisor hypomineralization: A review and prevalence in Japan. Jpn Dent Sci Rev. 2021;57:71-77. PubMed
- Saitoh M ほか. Prevalence of molar incisor hypomineralization and regional differences throughout Japan. Environ Health Prev Med. 2018;23(1):55. PubMed
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「甘味(砂糖)の適正摂取方法」 ページを開く
- 日本小児歯科学会「フッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法について」(日本口腔衛生学会・日本小児歯科学会・日本歯科保存学会・日本老年歯科医学会の4学会合同の提言・普及版、2023年4月) 資料を開く
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「フッ化物洗口」 ページを開く
- 日本小児歯科学会「乳歯と幼若永久歯の小窩裂溝塡塞ガイドライン」2025年3月 資料を開く
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「シーラント(予防法)」 ページを開く
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「フッ化物歯面塗布」 ページを開く
- 中根理 ほか「歯の健康記録手帳『歯のパスポート』を用いた8020運動支援“6歳臼歯保護育成事業”の効果測定」口腔衛生学会雑誌. 2013;63(1):28-34. J-STAGE


