インプラント治療で骨を作る骨造成って?歯医者が詳しく解説!

こんにちは、篠塚歯科医院です。

インプラントは、顎の骨の量が不足していると治療できません。インプラント治療を希望して来院されたものの、顎の骨が足りず「適応外」と診断された経験がある方は、実際に少なくありません。しかし、そうしたケースでも骨を作る「骨造成(こつぞうせい)」を行えば、インプラント治療が可能になることがあります。今回は、浅草・本所吾妻橋エリアで診療している当院が、骨造成の概要と3つの種類、そして知っておきたいリスクまで解説します。

インプラント治療で行われる骨造成とは?

インプラントの骨造成

骨造成は、顎の骨が不足してインプラント治療の適応外となった方に対して、骨の量を増やす治療法です。インプラント治療は、顎の骨にインプラント体を埋めるための十分な厚み・高さ・硬さがないと行えません。骨造成によって必要な骨の量を確保できれば、あきらめていた治療が可能になります。

なぜ骨が足りなくなるのか。主な理由は次のとおりです。

  • 歯を失ってから時間が経っている……歯を支える骨は、噛む刺激がなくなると少しずつ痩せていきます。
  • 重度の歯周病で歯を失った……歯周病はもともと骨を溶かす病気のため、抜けた時点で骨が減っています。
  • 上顎の奥歯である……上顎の奥歯の上には「上顎洞(じょうがくどう)」という空洞があり、もともと骨の厚みが少ない部位です。

つまり歯を失ったまま放置した期間が長いほど、骨造成が必要になる可能性は高くなります。「いつかインプラントを」とお考えなら、早めのご相談をおすすめします。

骨造成の3つの種類

骨造成の種類

骨造成は、大きく3つに分けられます。

  • GBR法(骨誘導再生法)
  • ソケットリフト
  • サイナスリフト

以下に、それぞれの特徴を解説します。

GBR法

GBR法は、インプラント手術部位の顎の骨の幅や高さが足りない場合に行う治療法です。骨を増やしたい部分に、採取したご自身の骨(自家骨)または人工の「骨補填剤」を補填します。

骨の再生には3〜6か月の期間が必要で、歯ぐきの再生よりも遅く進みます。補填した部分に歯ぐきの組織が入り込むとうまく骨ができないため、「メンブレン」と呼ばれる人工の膜で覆って歯ぐきの侵入を防ぎます。再生させる骨の量によって、インプラント手術と同時に行う場合と、分けて行う場合があります。

ソケットリフト

ソケットリフトは、上顎の骨の厚みが足りない症例のうち、骨の不足量が5ミリ未満の場合に行う治療法です。インプラントを埋める予定の部分に穴を開け、上顎洞まで到達したら、周囲の組織を傷つけないように自家骨や骨補填材を補填します。上顎洞の底を持ち上げ、インプラント体を埋める十分な高さが得られたら、そのままインプラント体を埋入します。

インプラントを埋める穴からアプローチするため体への負担が少なく、感染のリスクも低いとされています。ただし、上顎洞粘膜の穿孔(膜が破れること)というリスクがあるため、注意深い操作が必要です。

サイナスリフト

サイナスリフトも、上顎の骨を増やすために行う治療法です。ソケットリフトと異なるのは、骨の不足量が5ミリ以上の場合に適応となる点です。骨の不足量が多い場合は、インプラント手術とは別に行うこともあります。

頬側の歯ぐきを切開して骨に窓を開け、上顎洞まで到達したら、周辺組織を傷つけないよう自家骨または骨補填材を補填します。補填が完了したら骨やメンブレンで周囲を覆い、歯ぐきを縫合して手術は終了です。手術後は6〜8か月の待機期間を経て、骨の再生を待ちます。こちらも上顎洞粘膜の穿孔に注意が必要です。

骨造成をしたインプラントは、長持ちするのか

「骨を足してまで埋めたインプラントは、すぐダメになるのでは?」と心配される方もいらっしゃいます。この点については、国際的な研究のまとめがあります。

上顎洞の底を持ち上げる方法(水圧を用いる術式)について24件の研究をまとめた分析では、2,231名・3,053本のインプラントで、生存率は98.40%(観察期間6か月〜8年)、上顎洞粘膜の穿孔は約2%と報告されています(Hughesほか「The Safety and Effectiveness of the Hydraulic Pressure Sinus Floor Elevation Technique: A Systematic Review」Australian Dental Journal 第71巻2号 101-118, 2026年)。適応を守り、丁寧に行えば、骨造成を伴うインプラントも十分に長期の成績が期待できるということです。

一方で、埋めたあとに骨がどれだけ覆っているかが予後を左右するという報告もあります。骨造成は「足せば終わり」ではなく、診断・術式の選択・術後の管理までを含めた総合力が問われる治療です。

当院の設備と体制

当院は「大切な人と過ごす“いつもの笑顔・お食事”を」という考えのもと、長期的な予後を重視した治療計画をご提案しています。骨造成を伴うケースでは、特に精密な診断が欠かせません。

  • 3D診断が可能なCT撮影……骨の厚み・高さ、上顎洞や神経との位置関係を立体的に確認します。
  • インプラントガイドの使用……誤差をコンマ数ミリと最小限に抑えた、計画どおりの手術を行います。
  • 滅菌管理された専用オペルーム……感染対策を徹底した環境で手術を行います。
  • 麻酔科医による全身管理と静脈内鎮静法……不安の強い方も、落ち着いた状態で手術を受けていただけます。
  • 実績あるメーカーの採用……スイスのノーベルバイオケア社と日本のGC社を使用しています。1965年以来の臨床実績があるシステムを含め、長期の臨床データとメーカーの存続性を重視して選定しています。

よくある質問

よくある質問

Q. 骨造成をすると、治療期間はどれくらい延びますか?
A. 方法によって異なります。GBR法では骨の再生に3〜6か月、サイナスリフトでは6〜8か月の待機期間が必要になることがあります。インプラント手術と同時に行える場合は、期間の延長を抑えられます。

Q. 自分の骨を採るのは怖いのですが、人工の材料でもよいのですか?
A. 症例によっては人工の骨補填材で対応できます。必要な量や部位によって使い分けますので、診断のうえでご説明します。

Q. 骨造成をしても、インプラントができないことはありますか?
A. まれにあります。骨の再生が思うように進まない場合や、全身の状態・喫煙習慣などが影響する場合です。事前の診断で見通しをお伝えし、他の選択肢(ブリッジ・入れ歯)もあわせてご提案します。

Q. 喫煙していると受けられませんか?
A. 絶対にできないわけではありませんが、喫煙は骨の再生や傷の治りに不利に働きます。治療期間中の禁煙をお願いしています。

Q. 他院で「骨がないので無理」と言われました。
A. CTで詳しく確認すると、骨造成によって可能になるケースがあります。まずは現状の骨の量を正確に把握することから始めましょう。セカンドオピニオンとしてのご相談も承ります。

まとめ

インプラント治療のまとめ

骨造成は、インプラント治療を行う際に顎の骨の厚さ・高さ・硬さが不足している場合に適応される治療法です。種類は「GBR法」「ソケットリフト」「サイナスリフト」の3つで、不足している骨の量や部位によって、適切な方法が選ばれます。

骨造成を行えばインプラントを支えるのに必要な骨の量を確保でき、研究でも良好な生存率が報告されています。「骨が足りないから無理」と診断された方も、あきらめる前に一度ご相談ください。

そして忘れてはいけないのが、インプラントを長持ちさせるのは手術の技術だけではないということです。埋めたあとのメインテナンスを怠ると、インプラント周囲炎で失うこともあります。治療後も定期的なチェックを続けていきましょう。

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篠塚歯科医院 歯学博士 篠塚嘉昭

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