【麻酔のあと、いつ食べられる?】歯医者の麻酔が切れるまでの時間と、食事の注意点【歯医者が解説】

歯医者の麻酔のあと、おやつを前に困った顔の男の子と、時計を指さす母親のイラスト

こんにちは、篠塚歯科医院です。

歯医者で麻酔をしたあと、「唇がぼわっとしたままだけど、お昼ごはんは食べていいの?」と迷ったことはありませんか。

この記事では、麻酔が切れるまでの時間の目安と、食事のタイミング、しびれている間に気をつけたいことをお伝えします。

お子さんに付き添う保護者の方にも、ぜひ読んでいただきたい内容です。

この記事のポイント

  • 食事は、唇や舌のしびれがすっかり取れてからが基本です。しびれは、2〜3時間ほど残ることが多いです。
  • しびれている間は、唇・頬・舌を噛んだり、熱い物でやけどをしたりしやすくなります。お子さんは、大人がそばで見守りましょう。
  • 翌日になってもしびれが残る、じんましんや息苦しさが出たときは、すぐに歯科医院へ連絡してください。

歯医者の麻酔は何時間で切れる?

「治療は終わったのに、唇がまだ自分のものじゃないみたい」。麻酔のあとは、多くの方がそう感じます。

しびれが取れるまでの目安は、治療が終わってから2〜3時間ほどです。ただ、歯の場所や麻酔のかけ方、薬の種類によって長さが変わります。

歯の感覚より、唇や舌のしびれが長く残ります

歯の治療の麻酔は、歯の痛みを止めるためのものです。ところが、薬はまわりの唇や舌、頬にも広がります。

そのため、治療が終わったあとも、唇や舌のしびれはしばらく残ります[1]。

虫歯の治療や歯石取りで麻酔をした人の、しびれの戻り方を調べた研究があります。半数の人のしびれが取れたのは、下唇で約2時間半後でした[2]。

上唇は、それより少し早く、2時間あまりで感覚が戻っていました[2]。

上の歯と下の歯で、しびれ方が違います

上の歯は、まわりの骨がうすいので、歯ぐきに注射する「浸潤麻酔(しんじゅんますい)」でよく効きます[1]。

下の奥歯は骨が厚く、歯ぐきへの注射だけでは効きにくいことがあります。

そこで、神経の根元の近くに薬を置く「伝達麻酔(でんたつますい)」を使います[1]。

伝達麻酔では、下唇やあご、舌の片側まで広くしびれます。上の歯の麻酔より、しびれが長めに残りやすいのも特徴です[2]。

麻酔薬の種類によっても変わります

歯科の麻酔薬の多くには、血管を縮める成分が入っています。薬がその場にとどまりやすくなり、効き目が長く続きます[1]。

血管を縮める成分が入っていない麻酔薬もあり、こちらは効き目が短めです[3]。持病や治療の内容に合わせて、歯科医師が薬を選んでいます。

帰りぎわに「しびれはどのくらい続きますか?」と聞いておくと、食事の予定が立てやすくなります。

麻酔のあと、食事はいつから?何なら食べられる?

「お腹がすいたけど、食べても大丈夫?」。治療が昼どきや夕方にかかると、気になりますよね。

食事は、唇や舌のしびれがすっかり取れてからが基本です。当院でも、抜歯のあとは「麻酔が切れるまで食事は控えて下さい」とお伝えしています。

しびれている間は、噛んでいる感覚や熱さが分かりません。麻酔薬の説明書にも、むせたり口の中を噛んだりする危険が増えるおそれがある、と書かれています[4]。

いちばんのおすすめは「治療の前に食べておく」

麻酔をしそうな治療の日は、予約の前に軽く食事を済ませておくと安心です。食べたあとは、歯みがきをしてから来院しましょう。

治療のあとに予定がある日は、しびれが残ることも考えて、時間に余裕をもたせておきましょう。

飲み物は、冷たい物か常温の物を少しずつ

水分は、しびれている間でもとってかまいません。ただし、熱いお茶やコーヒーは、やけどに気づきにくいので避けましょう。

唇がしびれていると、口の端からこぼれやすくなります。コップから少しずつ、しびれていない側で飲むのがおすすめです。

どうしても食べるなら

しびれが長く続いて、どうしてもお腹がすいたときは、次のことを守りましょう。

  • しびれていない側で…治療した側と反対の歯で、ゆっくり噛む
  • やわらかい物を少しずつ…ヨーグルト、プリン、ゼリー、冷ましたおかゆなど
  • 冷ましてから…スープや麺類は、人肌くらいまで冷ます
  • 避けたい物…せんべい・ナッツ・フランスパンなどのかたい物、ガム、熱い物

鏡を見ながら食べると、唇や頬を巻きこんでいないか確かめられます。

麻酔が切れるまでの4つの注意。食事はしびれが取れてから(目安は2〜3時間)、熱い物は避ける、唇・頬・舌を噛まない、子どもは大人が見守る、の4つを並べた図

しびれている間のけが(唇・頬・舌を噛む、やけど)

「子どもが麻酔のあと、唇をずっと噛んでいた」。保護者の方から、よく聞くお話です。

しびれている間は痛みを感じないため、強く噛んでも気づきません。熱い物を口にしても熱さが分からず、やけどをすることもあります。

子どもは、とくに起こりやすい

子どもは、しびれた感じがめずらしくて、唇を噛んだり吸ったりしがちです。大人より、麻酔のあとのけがが起こりやすいとされています[1]。

幼稚園から小学生くらいの子どもの記録を調べた研究があります。麻酔のあとに自分で噛むなどしてけがをした子は、約6%でした[5]。

けがの場所でいちばん多かったのは唇で、全体の約7割でした。年齢が低いほど、けがが多い傾向もありました[5]。

別の研究でも、小さな子どもや、下の歯に麻酔をした場合に多く見られています[6]。

子どもでも、唇の感覚が戻るまでには2時間あまりかかります[7]。そのあいだは、大人の見守りが大切です。

付き添いの方にお願いしたいこと

  • しびれが取れるまで見守る…唇や頬を噛んだり、指でさわったりしていないか見てあげる
  • 食事やおやつは、しびれが取れてから…あたたかい飲み物も控える
  • まわりの大人にも伝える…園や学校、祖父母などに「今日は麻酔をした」と知らせておく
  • 気をそらす…絵本や遊びなど、口から気持ちがそれる過ごし方を

噛んでしまった傷は、翌日に唇が腫れたり、白っぽい傷になったりします。痛みが強いときや腫れが大きいときは、遠慮なくご連絡ください。

大人でも、話している途中や食事中に、頬の内側を噛んでしまうことがあります。しびれが取れるまでは、ゆっくり過ごしましょう。

お酒・お風呂・運動・授乳はいつから?

「今日はお酒を飲んでも大丈夫?」「赤ちゃんに授乳してもいい?」。食事のほかにも、気になることがありますよね。

虫歯の治療だけなら

虫歯の治療や歯石取りだけの日は、しびれが取れたら、ふだんどおりで構わないことが多いです。

お酒は、しびれが取れてからにしましょう。しびれている間は、むせたり、口の端からこぼれたりしやすいからです。

治療の内容によって、注意点は変わります。帰りぎわの説明に従ってください。

抜歯をした日は、お酒・湯船・激しい運動を控えて

歯を抜いた日は、お酒・湯船につかる入浴・激しい運動は控えましょう。どれも血のめぐりがよくなり、止まった血がまた出やすくなります。

当院では、湯船につからなければ、短い時間のシャワーは問題ないとお伝えしています(親知らずの抜歯のページ)。

抜歯のあとの過ごし方は、抜歯後の腫れとケアの記事や、ドライソケットの記事もご覧ください。

授乳中の方へ

歯の治療の麻酔は、体の一部だけに効く「局所麻酔」です。当院でも、授乳中の麻酔は「影響はほぼありません」とお伝えしています(よくある質問)。

歯の治療で麻酔を受けた授乳中のお母さん7人の、母乳を調べた研究があります。母乳に出る薬はわずかで、授乳を続けて差し支えないと結論しています[8]。

それでも気になる方は、治療の前に授乳を済ませておくと安心です。妊娠中の方は、妊娠中の歯科治療の記事も参考にしてください。

こんなときは連絡を(動悸・気分の悪さ・しびれが長引く)

「注射のあと、胸がドキドキした」「次の日も、まだしびれている」。そんなときの目安をまとめます。

注射のあとのドキドキや気分の悪さ

麻酔の注射の前後に、緊張から血圧が下がり、めまいや冷や汗、吐き気が出ることがあります。

これは、歯科でいちばん多い急な体調の変化のひとつです[1]。多くは、横になって休むと落ち着きます。

麻酔薬に入っている血管を縮める成分で、脈や血圧が一時的に上がることもあります[1]。

気分が悪くなったら、がまんせず、すぐにスタッフに伝えてください。

前に注射で気分が悪くなったことがある方は、治療の前に教えていただけると、準備をして臨めます。

アレルギーはとてもまれ

歯科の麻酔薬への本当のアレルギーは、きわめてまれです。注射のあとの気分の悪さは、緊張による反応のことが多いといわれます[1]。

ただし、全身のじんましん、息苦しさ、顔や唇の腫れが出たときは、すぐに連絡してください。息苦しさが強いときは、迷わず救急車を呼びましょう。

しびれが翌日まで残るとき

ごくまれに、注射の針や薬で神経が傷つき、しびれやピリピリした感じが長く残ることがあります[4]。

とくに、下の奥歯の伝達麻酔のあとで報告されています。頻度は、多く見積もった報告でも数万回に1回ほどで、多くは時間とともに回復します[9]。

それでも、翌日になってもしびれが取れないときは、早めに治療を受けた歯科医院へ連絡しましょう。様子を見すぎないことが大切です。

麻酔のあと連絡してほしいサイン。ドキドキ・気分が悪い、翌日もしびれが残る、じんましん・息苦しさ、の3つを並べた図

麻酔が効きにくいことがある理由と、当院の痛みを減らす工夫

「麻酔をしたのに、まだ少し痛い」「そもそも注射が怖い」。どちらも、多くの方が感じることです。

ズキズキ痛む歯は、麻酔が効きにくい

強い炎症がある歯は、炎症のない歯にくらべて、麻酔が効きにくいことが知られています[10]。

炎症が起きると、まわりが酸性に傾き、麻酔薬が神経に届きにくくなります。さらに、麻酔が効きにくいタイプの神経の通り道も増えます[1]。

下の奥歯は骨が厚いことも、効きにくさの理由のひとつです[1]。

痛むときはがまんせず、手を挙げて合図してください。麻酔を足したり、方法を変えたりして対応します。

ズキズキが強くなる前に受診することも、楽に治療を受けるための近道です。

当院の4つの工夫

当院では、注射の痛みや怖さをできるだけ減らすために、次の工夫をしています(虫歯治療のページ)。

  • 表面麻酔…注射の前に歯ぐきに麻酔のゼリーを塗り、針が入るときの痛みをやわらげます
  • 極細の針…歯科で使われる中でもいちばん細い、33Gの針を使っています
  • 電動麻酔注入器…機械で一定の速さを保ち、ゆっくり時間をかけて薬を入れます
  • 笑気麻酔…鼻から吸うガスで、気持ちを落ち着けます。保険が使え、吸入器を2台用意しています

研究で分かっていること

電動の注入器は、たくさんの研究をまとめた報告で、手で注射するより痛みが少し小さいという結果でした[11]。

子どもを対象にした報告でも、同じ傾向が見られています[12]。麻酔薬の説明書にも「できるだけゆっくり注射すること」と書かれています[4]。

一方で、針の太さだけで痛みがどれくらい変わるかは、研究によって結果が分かれています[13][14]。だからこそ当院では、いくつかの工夫を組み合わせています。

笑気麻酔は、たくさんの研究をまとめた報告で、9割を超える方が治療をうまく進められていました[15]。

どの工夫も、痛みを完全になくせるわけではありません。それでも「怖い」「痛い」を少しでも減らせるよう、一人ひとりに合わせて進めていきます。

よくある質問

よくある質問

Q. 麻酔が切れたかどうかは、どう確かめればいいですか?
A. 唇や頬を指で軽くさわり、反対側と同じ感覚に戻っていれば、切れてきた目安です。厚ぼったい感じが残るうちは、まだ効いています。

Q. 麻酔が切れたら、歯が痛くなってきました。
A. 削ったあとや、神経に近いところを治療したあとは、しみたり痛んだりすることがあります。数日で落ち着くことが多いですが、強くなる・腫れてくるときはご連絡ください。

Q. 麻酔のあと、車の運転はできますか?
A. 歯ぐきへの麻酔だけなら、意識がぼんやりすることはありません。ただ、気分が悪くなった日は、しっかり休んでからにしましょう。静脈内鎮静法や全身麻酔を受ける日は、車や自転車での来院は避けてください。

Q. 妊娠中でも、麻酔をして大丈夫ですか?
A. 歯の治療の麻酔は体の一部だけに効くもので、当院では「影響はほぼありません」とお伝えしています。痛みをがまんするストレスのほうが負担になることもあるので、妊娠中の歯科治療の記事も参考に、気軽にご相談ください。

まとめ

  • 麻酔のしびれは、2〜3時間ほど残ることが多いです。下の奥歯の麻酔は、長めになりがちです。
  • 食事はしびれが取れてから。治療の前に食べておくのがいちばんです。
  • しびれている間は、噛むけがとやけどに注意。お子さんは大人が見守りましょう。
  • 翌日もしびれが残る、じんましんや息苦しさがあるときは、すぐにご連絡ください。

麻酔のあとのことで分からないことがあれば、遠慮なくお電話ください。

虫歯治療についての詳細はこちらをクリック!

初診のWEB予約はこちら

篠塚歯科医院では、患者さんのお口の健康を守るため予約は一人一時間を確保し、痛みや不安に配慮した診療を心掛けています。麻酔や治療への不安があれば、いつでもご相談ください。

篠塚歯科医院 歯学博士 篠塚嘉昭

参考文献

  1. Decloux D ほか. Local anaesthesia in dentistry: a review. Int Dent J. 2021;71(2):87-95. PubMed
  2. Hersh EV ほか. Reversal of soft-tissue local anesthesia with phentolamine mesylate in adolescents and adults. J Am Dent Assoc. 2008;139(8):1080-1093. PubMed
  3. 日本歯科薬品「スキャンドネストカートリッジ3%」添付文書(医薬品医療機器総合機構) 資料を開く
  4. デンツプライシロナ「歯科用キシロカインカートリッジ」添付文書(医薬品医療機器総合機構) 資料を開く
  5. Olszewska A ほか. Pain Management and Parafunctional Activity Secondary to Local Anesthesia in Children 4-12 Years Old-A Retrospective Study. J Clin Med. 2025;14(13):4623. PubMed
  6. Bagattoni S ほか. Self-induced soft-tissue injuries following dental anesthesia in children with and without intellectual disability. A prospective study. Eur Arch Paediatr Dent. 2020;21(5):617-622. PubMed
  7. Tavares M ほか. Reversal of soft-tissue local anesthesia with phentolamine mesylate in pediatric patients. J Am Dent Assoc. 2008;139(8):1095-1104. PubMed
  8. Giuliani M ほか. Could local anesthesia while breast-feeding be harmful to infants? J Pediatr Gastroenterol Nutr. 2001;32(2):142-144. PubMed
  9. Aquilanti L ほか. A Systematic Review on Nerve-Related Adverse Effects following Mandibular Nerve Block Anesthesia. Int J Environ Res Public Health. 2022;19(3):1627. PubMed
  10. Wang YH ほか. Local anesthesia in oral and maxillofacial surgery: A review of current opinion. J Dent Sci. 2021;16(4):1055-1065. PubMed
  11. Libonati A ほか. Pain and anxiety associated with Computer-Controlled Local Anaesthesia: systematic review and meta-analysis of cross-over studies. Eur J Paediatr Dent. 2018;19(4):324-332. PubMed
  12. Shirani M ほか. Comparison of injection pain levels using conventional and computer-controlled local anesthetic delivery systems in pediatric dentistry: A systematic review and meta-analysis. J Dent. 2025;157:105770. PubMed
  13. Flanagan T ほか. Size doesn't matter: needle gauge and injection pain. Gen Dent. 2007;55(3):216-217. PubMed
  14. N S ほか. Pain perception in 4-6-year-old children following intraoral dental injection with 26 and 31-gauge needles: a randomized controlled trial. J Dent Anesth Pain Med. 2024;24(2):101-108. PubMed
  15. Rossit M ほか. Success rate of nitrous oxide-oxygen procedural sedation in dental patients: systematic review and meta-analysis. J Dent Anesth Pain Med. 2021;21(6):527-545. PubMed

一覧へ戻る