【何分磨けばいい?】歯磨きの時間の目安と磨き残しを減らす順番【歯医者が解説】

歯ブラシとタイマーを持って首をかしげる女性と、話しかける歯科スタッフのイラスト

こんにちは、篠塚歯科医院です。「歯磨きって、結局何分磨けばいいんですか?」診療室で、とてもよくいただく質問です。

1分でさっと終える方もいれば、10分以上かけている方もいます。毎日のことなのに、「正解」を教わる機会は意外と少ないですよね。

この記事では、歯磨きにかける時間の目安と、磨き残しを減らすコツを、東京都墨田区東駒形の篠塚歯科医院がお伝えします。どれも、今日の夜から試せる内容です。

この記事のポイント

  • 歯磨きの目安は「1回2分以上」です。
  • 2分磨いても、歯ブラシだけでは汚れの半分以上が残ります。順番・時間・力加減の3つを見直しましょう。
  • 歯と歯の間は、フロスや歯間ブラシで。寝る前の1回を、いちばん丁寧に。

歯磨きの目安は「1回2分以上」です

「1分も磨けば十分でしょ?」と思っている方は、多いかもしれません。でも、1分と2分では、落ちる汚れの量にはっきり差が出ます。

たくさんの研究をまとめた報告では、1分磨いて落ちた歯垢(しこう。歯の表面につく細菌のかたまり)は平均27%。2分では平均41%でした[1]。たった1分の違いで、落ちる量はおよそ1.5倍です。

時間を変えて比べた別の研究でも、長く磨くほど歯垢はよく落ちていました[2]。

まずは「1回2分」を目安にしてみてください。「あと1分」が、思った以上に効いてきます。

2分磨いても、汚れの半分以上は残ります

ここは、少し耳の痛いお話です。じつは歯ブラシだけでは、どんなに丁寧に磨いても、歯垢は落ちきりません。

先ほどの報告でも、1回の歯磨きで落ちる歯垢は平均42%ほどでした[1]。半分以上は、歯に残っていることになります。

とくに残りやすいのが、歯の内側です。同じ人が同じ時間磨いても、外側(ほほ側)は69%落ちたのに、内側(舌側)は21%しか落ちなかった、という研究があります[3]。

鏡で見えて、手も動かしやすい外側ばかり磨いてしまう。これは誰にでもあることで、私たちもつい、やってしまいます。

磨き残しが多い4つの場所

  1. 下の奥歯の内側…舌がじゃまをして、歯ブラシが届きにくい場所です。歯石もここによく付きます。
  2. 歯と歯の間…歯ブラシの毛先が入りません。
  3. 歯と歯ぐきの境目…角度が少しずれるだけで、汚れが帯のように残ります。
  4. いちばん奥の歯のうしろ側…口を少し閉じぎみにすると、歯ブラシが届きやすくなります。

「自分はここが苦手かも」と思う場所から、意識してみましょう。

磨き残しを減らす3つのコツ

磨き残しを減らす3つのコツ。順番を決める、時間をはかる、力を抜く

時間を延ばすだけでなく、磨き方を少し変えると、汚れの落ち方が変わります。

1. 磨く順番を決める

「右上の外側から始めて、ぐるっと一周。次は内側」のように、毎回おなじ道順で磨きましょう。

順番が決まっていれば、考えごとをしていても手が同じ道を通ります。磨き忘れる場所が、出にくくなります。

2. 時間は「はかる」

体で感じる2分は、思ったより短いものです。スマホのタイマーや砂時計を、洗面所に置いてみませんか。2分くらいの曲を1曲流すのも、おすすめです。

タイマーつきの電動歯ブラシを使うのも、良い方法です。

3. 力を抜く

歯磨きにかける力は、150gほどが理想と言われています。これ以上力がかかると長期的に歯茎を傷つけ、歯肉が下がり、知覚過敏などが生じる可能性があります。

ところが実際には、もっと強い力で磨いている方が多いようです。ある研究では、磨くときの力は平均で約330gでした[3]。

「強くこすったほうが落ちる」と思われがちですが、そうとは限りません。同じ研究では、ある程度までは力を入れたほうが落ちるものの、強すぎるとかえって落ちにくくなっていました[3]。強く握るほど、毛先が寝てしまうからです。

歯ブラシは、えんぴつを持つように軽く握りましょう。毛先が広がらないくらいの力で、小さく動かすのがコツです。

歯磨き粉の役目は「フッ素を届けること」

意外かもしれませんが、歯垢をはがしているのは、歯ブラシの毛先です。

1分間の歯磨きで比べた研究では、歯磨き粉を使っても使わなくても、落ちた歯垢の量は変わりませんでした[2]。

では、歯磨き粉はいらないのでしょうか。いいえ、とても大切です。歯磨き粉のいちばんの役目は、フッ素を歯に届けて、虫歯になりにくくすることです。

「汚れを落とすのは毛先と時間」「歯を強くするのはフッ素」。この2つを分けて考えると、歯磨きがぐっと分かりやすくなります。フッ素の上手な使い方は、フッ素洗口の記事でもご紹介しています。

1日何回?寝る前の1回を、いちばん丁寧に

国の調査では、毎日2回以上歯を磨く人は79.2%でした[4]。多くの方が、朝と夜に磨いていることになります。

回数については、磨く回数が少ない人ほど、虫歯になりやすい傾向があることが分かっています[5]。ただ、「必ず2回でなければいけない」とまで言える、はっきりした根拠はまだありません。

おすすめは、寝る前の1回をいちばん丁寧にすることです。寝ている間はだ液が減って、細菌が増えやすくなるからです。

忙しい朝は、短めでも大丈夫です。夜だけは、ゆっくり時間をかけてあげましょう。

歯と歯の間は、フロスや歯間ブラシで

歯ブラシ、デンタルフロス、歯間ブラシ

何分磨いても、歯ブラシの毛先が入らない場所があります。歯と歯の間です。

ここは、デンタルフロスや歯間ブラシの出番です。歯磨きに加えて使うと、歯ぐきの炎症や歯垢が減る可能性がある、と報告されています[6]。ただ、研究の結果はまだ確実とは言い切れません。その点も、正直にお伝えしておきます。

それでも、歯ブラシが届かない場所があるのは事実です。国の調査では、歯と歯の間のお手入れをしている人は50.9%。およそ2人に1人でした[4]。

まだの方は、1日1回、寝る前から始めてみませんか。サイズの選び方は、歯間ブラシの記事にまとめています。

自分の磨き残しは「染め出し」で見えます

ここまで読んで、「自分はどこが磨けていないんだろう?」と気になった方も、いらっしゃると思います。歯垢は歯と同じような白っぽい色なので、鏡で見てもなかなか分かりません。

当院では、歯垢を赤く染める「赤染め」で、磨き残しをご自身の目で確かめていただいています。予防歯科プログラムでは「磨き残し20%以下」を目標に、歯並びや苦手な場所に合わせて、磨き方を一緒に練習します。

歯ブラシの角度を少し変えるだけで、落ちるようになる場所はたくさんあります。「ちゃんと磨いているのに…」という方こそ、一度ご相談ください。

よくある質問

よくある質問

Q. 長く磨けば磨くほど、良いのでしょうか?
A. 時間を延ばすと落ちる量は増えますが、だんだん頭打ちになります。10分ゴシゴシ磨くより、2〜3分を決まった順番とやさしい力で磨きましょう。そこにフロスや歯間ブラシを足すほうが、効率的です。長い時間の強い歯磨きは、歯ぐきが下がる原因にもなります。

Q. 電動歯ブラシなら、短い時間で済みますか?
A. 短い時間で済ませてよい、という根拠は今のところありません。多くの電動歯ブラシには、2分のタイマーが付いています。タイマーが鳴るまで、場所を移しながら当てましょう。押しつけず、軽く添えるのがコツです。

Q. 忙しくて、毎回2分もかけられません。
A. すべての回を2分にしなくても大丈夫です。朝や昼は短めでも、寝る前の1回だけは時間をかけましょう。歯と歯の間のお手入れも、そのときに一緒に行うのがおすすめです。

Q. 強く磨いたほうが、汚れは落ちますか?
A. いいえ。強すぎる力では、かえって汚れが落ちにくくなることが分かっています。歯ぐきが下がる原因にもなります。歯ぐきが下がってきた方は、歯肉退縮の記事もご覧ください。

Q. しっかり磨いているのに、歯ぐきから血が出ます。
A. 出血は、磨きすぎよりも、歯ぐきに炎症があるサインであることが多いです。自己判断で歯磨きをやめずに、歯科医院でご相談ください。歯石がついている場合は、ご自宅の歯磨きだけでは良くなりません。

まとめ

  • 歯磨きの目安は1回2分以上。1分より2分のほうが、汚れはよく落ちます。
  • それでも、歯ブラシだけでは半分以上が残ります。とくに下の奥歯の内側に注意しましょう。
  • 順番を決める、時間をはかる、力を抜く。この3つで、磨き残しは減らせます。
  • 歯と歯の間は、フロスや歯間ブラシで。寝る前の1回を、いちばん丁寧に。

「毎日磨いているのに、虫歯や歯周病になってしまう」。そんな方は、時間が足りないのではなく、歯ブラシが当たっていない場所があるのかもしれません。気になる方は、お気軽にご相談ください。

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予防歯科について

墨田区の篠塚歯科医院では、予防歯科に注力し、患者さんのお口の健康を守るため予約は一人一時間を確保して、丁寧な診療を心掛けています。お口の中の気になる点やお悩みがあれば、いつでもご相談ください。

篠塚歯科医院 歯学博士 篠塚嘉昭

参考文献

  1. Slot DE ほか. The efficacy of manual toothbrushes following a brushing exercise: a systematic review. Int J Dent Hyg. 2012;10(3):187-197. PubMed
  2. Creeth JE ほか. The effect of brushing time and dentifrice on dental plaque removal in vivo. J Dent Hyg. 2009;83(3):111-116. PubMed
  3. Van der Weijden GA ほか. Relationship between the plaque removal efficacy of a manual toothbrush and brushing force. J Clin Periodontol. 1998;25(5):413-416. PubMed
  4. 厚生労働省「令和4年歯科疾患実態調査結果の概要」 資料を開く
  5. Kumar S ほか. Effect of Toothbrushing Frequency on Incidence and Increment of Dental Caries: A Systematic Review and Meta-Analysis. J Dent Res. 2016;95(11):1230-1236. PubMed
  6. Worthington HV ほか. Home use of interdental cleaning devices, in addition to toothbrushing, for preventing and controlling periodontal diseases and dental caries. Cochrane Database Syst Rev. 2019;4:CD012018. PubMed

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