【歯ブラシの交換時期と頻度】目安とベストタイミングを解説!

こんにちは、篠塚歯科医院です。
みなさん、歯ブラシをいつ交換したか覚えていますか? 交換時期を決めている方は、意外と少ないのではないでしょうか。しかし、古い歯ブラシを使い続けることは、汚れを落とす力の面でも衛生面でもおすすめできません。今回は、浅草・本所吾妻橋エリアで「なるべく削らない予防歯科」に力を入れている当院が、歯ブラシのベストな交換時期、古い歯ブラシがよくない理由、正しい保管方法を、研究データを交えて紹介します。
目次
歯ブラシの交換時期は「1か月」が目安

1日3回歯みがきをした場合、歯ブラシの寿命は1か月といわれています。「思ったより短い」と感じた方も多いのではないでしょうか。古い歯ブラシをおすすめしない理由は、大きく次の2つです。
- 汚れを落とす力が低下する
- 細菌が繁殖しやすく、不衛生になる
順に見ていきましょう。
理由① 汚れを落とす力が低下する
毛先が広がった歯ブラシでは、同じ時間みがいても汚れを落としきれません。これは感覚の問題ではなく、実際に測定した研究があります。
大学生20名を3か月間追跡した研究では、参加者を「毎月新しい歯ブラシに交換するグループ」と「最初に渡した1本を使い続けるグループ」に分けて比較しました。その結果、交換しなかったグループでは歯垢の付着を示す指数が有意に増加したと報告されています(Sforzaほか「Plaque removal by worn toothbrush」Journal of Clinical Periodontology 第27巻3号 212-216, 2000年)。
また、歯ブラシの摩耗度合いと汚れの落ち方を調べた研究もあり、摩耗が進むほどプラークの除去効率が下がることが示されています(Muller-BollaほかThe Journal of Clinical Dentistry 第18巻3号 73-78, 2007年)。人工の歯とプラークを使って長期使用を再現した近年の実験でも、6か月相当まで使うと毛先が平たくつぶれ、汚れの残存率が高くなることが確認されています。
もうひとつ大事なポイントがあります。1か月たっていないのに毛先が広がるのは、力の入れすぎが原因です。過度なブラッシング圧は、知覚過敏や歯ぐきが下がる原因にもなります。毛先が早く開く方は、まず力加減を見直しましょう。目安は100〜200g、爪を押して少し白くなる程度の軽い力です。
理由② 細菌が繁殖しやすく、不衛生になる
歯ブラシは毛先に水分が残りやすく、湿ったまま置いておくと細菌が繁殖しやすい環境になります。特に、洗面所という湿気の多い場所に、キャップをかぶせて保管したり、家族の歯ブラシと密着させて立てたりしていると、乾く時間が確保できません。
健康な方であれば、歯ブラシの細菌がただちに病気を引き起こすことは通常ありません。ただし、体調を崩しているときや抵抗力が落ちているときには、歯ぐきの炎症などの不調につながる可能性があります。「毎日口の中に入れる道具」ですから、清潔に保つに越したことはありません。
歯ブラシの正しいお手入れ・保管方法

誤ったお手入れ・保管をしていると、細菌が増える原因になります。ここでは、正しい方法を紹介します。
流水に当てながら洗う
流水を当てながら、10秒以上かけて念入りに洗います。指で軽くこすり洗いをして、毛に付いた食べかすやプラークを洗い流しましょう。洗い終わったら、歯ブラシの根元に汚れが残っていないか確認してください。根元は見落としやすい場所です。
水分をとって乾燥させる
洗ったあとは水分をよく切り、乾燥した状態で保管しましょう。乾燥が不十分だったり、キャップをかぶせたままにしたりすると、半乾きの状態が続きます。水分が残った状態や湿気の多い場所での保管は、細菌が繁殖しやすい環境になるため避けてください。
保管場所に気をつける
歯ブラシは、ほかの歯ブラシと触れないように別々で保管しましょう。家族の歯ブラシと毛先が触れ合うと、細菌を移し合ってしまいます。コップに入れて保管する場合は、毛先がコップの外に出るように立ててください。コップの中に毛先を入れると乾きにくく、細菌が増える原因になります。
こんなときは、1か月を待たずに交換を
- 毛先が広がってきた……上から見て、ヘッドから毛がはみ出していたら交換の合図です。
- 毛のコシがなくなった……見た目が大丈夫でも、弾力が落ちると汚れは落ちません。
- 風邪やインフルエンザなどの感染症にかかった……治ったタイミングで交換すると安心です。
- においが気になる……乾燥不足のサインでもあります。
ちなみに、交換を意識したいのは歯ブラシだけではありません。舌ブラシは毛先がへたったら、コップやスタンドは汚れがたまる前に洗浄を。デンタルフロスや歯間ブラシも、歯間ブラシは毛がつぶれたら交換の合図です(フロスは毎回使い捨てが基本です)。「口に入れる道具は消耗品」と考えると、交換のタイミングを判断しやすくなります。
また、歯ブラシを長持ちさせようとして、力を抜いて磨くのは本末転倒ではありません。むしろ逆で、適切な力で磨けば歯ブラシは1か月きれいに使え、歯ぐきも守られます。歯ブラシの寿命は、あなたの磨き方を映す鏡でもあるのです。
ちなみに、電動歯ブラシの替えブラシも同じ考え方です。メーカーが推奨する交換時期(多くは3か月程度)を目安にしつつ、毛先が広がったら早めに交換してください。歯ブラシ代を惜しんで治療費がかかっては本末転倒です。
よくある質問

Q. 毛先が広がっていなければ、2〜3か月使ってもよいですか?
A. 見た目が変わらなくても、毛のコシは徐々に落ちていきます。研究でも、交換しないグループでは歯垢の付着が増えることが示されています。1か月を目安に交換するのが安心です。
Q. 熱湯で消毒してもよいですか?
A. おすすめしません。毛の素材が熱で変形し、毛先の形が崩れてしまいます。流水でしっかり洗い、よく乾かすのがいちばんです。
Q. 1か月もたたずに毛先が開きます。
A. ほぼ確実に力の入れすぎです。歯ブラシを鉛筆のように軽く持ち、小刻みに動かしてみてください。歯ぐきが下がる原因にもなりますので、一度磨き方を確認しにいらしてください。
Q. 硬い毛と柔らかい毛、どちらがよいですか?
A. 基本は「ふつう」か「やわらかめ」です。硬い毛は磨けた感覚が得られますが、歯ぐきを傷めやすくなります。歯ぐきの状態によって適したものが変わりますので、ご相談ください。
Q. 歯ブラシだけで汚れは落としきれますか?
A. 歯と歯の間の汚れは、歯ブラシだけでは落としきれません。デンタルフロスや歯間ブラシを併用してください。虫歯も歯周病も、歯と歯の間から始まることが多いためです。
まとめ

歯ブラシの交換時期は1か月が目安です。ただし毛先が広がっている場合は、汚れを落とす力が落ちているので早めに交換しましょう。研究でも、交換せずに使い続けると歯垢の付着が増えることが示されています。
保管のポイントは、水分を残さず乾燥させること、ほかの歯ブラシと触れない場所に置くこと。そして、1か月たたずに毛先が開く方は、力の入れすぎを見直してください。
歯ブラシを適切な時期に交換することは、お口の健康につながる小さくて大切な習慣です。いま使っている歯ブラシが古くないか、毛先が広がっていないか、この機会に確認してみてください。そのほかにも、歯を一生涯守っていくために知っていただきたい知識がたくさんあります。
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篠塚歯科医院 歯学博士 篠塚嘉昭




